“ナレッジが自然とたまる”ゆるくて強い記録文化のつくり方(後篇)

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本記事は情報提供を目的としており、本記事の内容は無保証、サポートの対象外です。
サポート窓口、問合せ窓口にご質問をいただいても対応いたしかねますのでご了承ください。

こんにちは!

カスタマーリレーションチームの、おおのです。

前篇では、
・なぜナレッジをためる仕組みを作ろうと思ったのか
・どんなツールをどう使っているのか
・どんな情報をナレッジとして扱っているか
までをご紹介しました。

後篇では、
・なぜこのナレッジアプリが定着したのか
・実際に感じている効果や副次的なメリット などをお伝えしていきます!

✅ なぜナレッジアプリは定着したのか?

実はこれまでにも、「この情報をアプリで管理しよう!」という取り組みはたくさんありました。
ですが正直、続かなかったものも少なくありません。最初は勢いよく登録されても、数ヶ月経つと誰も更新しなくなる――そんな“アプリあるある”を、私たちも経験してきました⋯。

ではなぜ、このナレッジアプリは例外だったのでしょうか?
私は、大きく2つの理由があると考えています。

✒️ 1. 書き方の自由度を確保した

ナレッジの投稿に、厳密なテンプレートや記述ルールを設けませんでした。
「テンプレート通りに書かないとナレッジとして登録できない」といったルールを課してしまうと、どうしても登録のハードルが上がります。そして、「ちゃんと書かないといけないから、後でやろう……」となって結局やらなくなってしまう未来が見えました。

  • タイトルと本文があればまずはOK(足りなければ加筆すればいい)
  • カテゴリも厳密でなくてOK(あとから直せばいい)
  • 一言メモレベルでも投稿してOK

こうしたゆるいルールが、「とりあえず入れておく文化」を生んだのだと思います。
雑な状態でもいいから「とにかく忘れる前に、流れる前に入れる」ことを重視しています。
ナレッジが「たまらない理由」をつくらないこと。それが継続には不可欠でした。

☁️ 2. 「これナレッジ行きだね」と言える空気

ルールをゆるくしただけでは、実はうまくいかないと思っています。
もうひとつ大事なのは、チーム内に「ナレッジは残すもの」という共通認識があることです。

Slackでの会話に、「これ、ナレッジアプリに入れときます!」「それ、ナレッジアプリに入れておいてほしい!」という言葉が自然に出てくるような雰囲気があります。

会話に“ナレッジ”という言葉が混ざるだけで、「これも書いていいんだ」「誰かの役に立つんだ」「私も書いてみよう」という空気が広がります。

このゆるさと自発性がうまくかみ合って、継続的に活用される仕組みになっていったのだと思います。

🌱 ナレッジは「みんなで育てる」もの

私たちは、ナレッジを「一人で完成させるもの」とは考えていません。

  • 書いた直後は“たたき台”でもいい
  • 「もう少し補足したほうが良さそう」と思ったら、誰でも追記OK
  • 「この言い回し、他の人に伝わりづらいかも」と思えば、自由に編集OK

こうしたスタンスがあることで、ナレッジが“止まらずに育つ”のだと思います。

もちろん、最初に書いてくれた人へのリスペクトは大切ですが、
「書いた人が最後まで一人で面倒を見る必要はないよね」という前提があることで、
チーム全体で自然にメンテナンスされていく空気が生まれたと思います。

ナレッジは、みんなで使いながら、少しずつアップデートされていくのが理想だなと思っています。

🌟 ためてよかった!と感じること

ナレッジをためていて、実感しているメリットを挙げると、こんなものがあります。

  • 同じ質問への対応時間が減った!
     以前の対応がすぐ見つかるので、ゼロから考え直さずにすみます。
  • 新メンバーのキャッチアップがスムーズになった!
     過去の事例があることで、どう対応するのが自然かが掴みやすくなりました。
  • 「あの人しか知らない」が減ってきた!
     属人化していた知見が、少しずつみんなのものになってきた実感があります。

また、「私たちって、こんなに知恵を出してたんだな」と見える化されることも、嬉しいポイントだったりもします。

🔄 副産物:他チームにも使われるように

ナレッジアプリは当初、チーム内だけで使われることを想定していました。
ですが最近では、サポートチームやバックオフィスチームなど、他部署のメンバーも参照してくれているようです。
想像以上にみんなの役にたっていると知り、とても嬉しいです。

これも、kintone SIGNPOST「0-03 開かれた情報」の考え方に通じますね。
「オープンにすれば、自分のためにもなるし誰かのためにもなる」んです!

🧭最後に:ナレッジは「ためること」ではなく「使うこと」がゴール

まとめると、ナレッジアプリが定着した理由は、

  • 厳密な運用ルールを設けず、気軽に溜められる仕組みにすること
  • チーム内での会話に「ナレッジ」という言葉を混ぜていくこと

だったと感じています。

完璧な記録よりも、まずは少しでも形に残すこと。それが大切な第一歩!
最初からうまくまとめようとしすぎず、「まずは残す」姿勢を定着化できたことが、結果的にチームの力になっていると思います。

Slackの発言が、他のメンバーに活かされて、再利用されて、さらに発展していく。
そんな循環が生まれることが、ナレッジ運用のゴールだと思っています。

📣 みなさんの工夫も、ぜひ教えてください!

私たちのナレッジアプリもまだまだ成長途中です。
たとえば、先日はカテゴリの見直しを行いました。ナレッジの増加に伴い、以前の分類では探しづらくなったり、
「どのカテゴリに入れればいいか分からない」という迷いが出てきたからです。

他にも、gusuku Customineで実現できる、OpenAIを活用した検索機能もお試し中です。
たとえば、「◯◯ってどこに注意するんだっけ?」のような曖昧な問いかけにも、該当するナレッジを自動的に引っ張ってきてくれるようになってきました。

この検索機能は、OpenAIと連携し、ナレッジアプリの複数レコードを参照して回答候補を提示する仕組みです。まだまだ回答精度が今ひとつですが、プロンプトを見直しながら改善していきたいと思っています。

このカスタマイズについては、こちらの記事を参考にしてみてください!👇
複数レコードの情報を使用し、OpenAIを呼び出す

“使われる状態”を保つには、継続的な振り返りが欠かせません。
このあたりの考え方については、kintone SIGNPOST「5-37 継続的な振り返り」もぜひご覧ください。

みなさんのチームでも「こうやってるよ!」「これおすすめ!」という工夫があれば、ぜひ教えてください!

🔍 おまけ:kintone SIGNPOST、すごく使えます!

業務改善の方向性に迷ったとき、パターン集として非常に参考になるのがkintone SIGNPOST。
今回もいくつか引用していますが、私自身、日々の業務の中で繰り返し読み返しています。

今回のようなシンプルな例であっても、パターンはとても参考になり、有効です。kintoneでの業務改善の進め方に迷ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。

kintone SIGNPOSTの理解をもっと深めたい!という方は、kintone認定資格であるアプリデザインスペシャリストやカイゼンマネジメントスペシャリストの勉強もおすすめです。

私の受験記はコチラ👇
絶対に1回で合格したかった私のKME(カイゼンマネジメントエキスパート)受験記

また、弊社の提供サービス「キミノマホロ」では、kintone SIGNPOSTに準拠した提案を行っています。メニューごとに対応パターンが見られる構成になっているので、ぜひ一度チェックしてみてください!

必要なものを、必要なだけ。
業務改善の新しいカタチ

kintoneを活用した業務改善・システム開発サービス

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投稿者プロフィール

大野あずさ
大野あずさ
カスタマーリレーションチームで活動しています!