公開日:
システム開発グループの井上(たーぼー)です。
今日は、私たちがこの1年間、東京・大阪で続けてきた「業務改善・DX成功のコツをつかむワークショップ」について、主催者の立場から感じたこと・学んだことを、綴ってみたいと思います。
なぜワークショップを続けてきたのか——「目的」なき業務改善の落とし穴
ワークショップを始めたきっかけは、お客様からよくこんな相談を受けていたからです。
「kintoneを入れたものの、思ったほど現場が良くならない」「せっかくアプリを作ったのに、使い続けてもらえない」
その背景をじっくり伺うと、「どうしてその業務を改善したいのか」「最終的に何を良くしたいのか」という**“目的の設定”が曖昧だったり、そもそも十分に議論されていないまま**スタートしているケースがとても多いことに気付きました。
私自身も何度も現場で、
「kintoneを入れること」や「新しい仕組みを作ること」が“目的化”してしまい、本来の“現場を良くしたい”という根本の目的が見失われてしまっている。そんな場面を目にしてきました。
「業務改善」は手段であって目的ではありません。
本当に大切なのは、「何のためにやるのか?」という問いを、みんなで納得いくまで突き詰めていくことだと思っています。
この課題を一人ひとりが自分事として考える場として、ワークショップを開催してきました。
「目的」から考え直す——みんなで言語化し、共有する
ワークショップでは、まず「どんな困りごとがあるのか」「その背景にはどんな想いがあるのか」といったことから始めていきます。
自社の業務フローや現状の課題をあらためて書き出し、「なぜこの業務を変えたいのか?」という“目的”の部分をじっくり掘り下げていきます。
すると、「本当はここが一番困っていた」「つい業務の効率だけを追いかけていたけど、実は現場の声を活かすことが一番大事だった」など、現場の本音や、隠れた課題が浮かび上がってきます。
ある参加者の方は「目的をあいまいにしたまま進めていたことに気付かされました」と感想をくださり、また別の方は「一度立ち止まって“なぜこれをやるのか”をチームで考え直す良いきっかけになった」と話してくださいました。
参加者のリアルな声——“現場の悩み”が“学び”に変わる瞬間
この1年間で印象的だったのは、参加者のみなさんの“生の声”が、回を重ねるごとに深みを増していったことです。
たとえば、あるメーカーの方は、
「これまで業務改善と言いながら、ただ現場の声を拾ってkintoneに流し込むだけだった。でも“何のために?”を考えないまま進めていたことに、ワークショップで気付きました」
と、最初は少し戸惑いながらも素直な感想を話してくださいました。
また、普段は総務を担当している方からは、
「チームで業務フローを書き出すワークを通じて、“この作業って実は目的があいまいなまま毎日やってたんだ…”と、改めて自分たちの仕事を見つめ直すきっかけになりました」と感謝の言葉をいただきました。
ワークショップの終盤、グループディスカッションが白熱することもしばしばありました。
「うちの現場だと“手間を減らすこと”ばかりに目が行っていましたが、他の参加者の“情報共有の透明性を高めたい”という目的設定の話が参考になりました」
「自分たちの“当たり前”が、他社では全然違う形で実現されていることを知り、思い込みに気付けた」
そんな相互作用が、会場に生まれる空気そのものを変えていくのを、主催者として肌で感じていました。
ある参加者は、
「分かったつもりになっていた“課題”が、目的を見つめ直したことで全然違う切り口から見えてきました。自分一人じゃ絶対に気付けなかった」と、興奮気味に話してくれました。
他にも、
「他社の方の工夫を聞くことで、うちの会社でも小さな改善を始めてみようと思えた」
「“改善って難しい”と思い込んでいたけど、目的をしっかり定めれば、やるべきことがシンプルになると感じた」
「オンラインで参加していた他部門の同僚と初めて腹を割って話せたのが大きな収穫でした」
など、一人ひとりが何かしらの“気付き”や“突破口”を持ち帰ってくださったのがとても印象的でした。
「気付き」の積み重ねが、現場の一歩を変えていく
アンケートの自由記述には、さらにこんな声もありました。
「現状抱えている課題を、あえて“みんなの前で言葉にする”という経験が新鮮でした。普段は“なんとなく困っている”で済ませていましたが、目的と手段を明確に整理して話せるようになったのは自分でも大きな進歩です。」
「業務改善を自分ごととして考える。その意味が、ワークショップの後になってじわじわ分かってきた感じがします。“誰かに決めてもらう”のではなく、自分たちでどうするかを考え続ける大事さを学びました。」
「他の参加者の“失敗談”や“やり直しの経験”がリアルで良かった。うちでも完璧にいかない部分があっても“それでいい、また見直せばいい”と思えるようになった。」
一度の参加だけで全てが劇的に変わるわけではありません。でも、こうした「自分なりの気付き」「失敗や悩みをオープンにできる空気」が少しずつ現場に持ち帰られていく。その積み重ねが、業務改善の“自走”につながっていくのだと強く感じています。
主催者の学びと、これから
ワークショップを1年間続けてきて、私自身もたくさんのことを学ばせていただきました。
新しいkintoneの機能やトレンドにキャッチアップし続けることの大切さも感じますし、何より、現場で起きているリアルな課題や、みなさんが「これが本当に困っているんです」と話してくださる熱量からも多くの刺激をもらいました。
また、参加者の方同士が「この後も情報交換しませんか?」と自然にネットワークを作ってくださる様子を見ると、「こういう場が必要だったんだな」と実感します。
「自分たちで業務改善を広げていく」その一歩を、これからも多くの方とご一緒できたら嬉しいです。
おわりに
最後に、これまでワークショップにご参加くださったみなさま、支えてくれたスタッフのみなさま、本当にありがとうございました。
たくさんの現場の悩み、そして一緒に考えてくれる仲間と出会えたことが、私にとっても大きな財産です。
今後も、わたしたちは「自分たちで業務改善を広げていく」現場を一つでも多く生み出していきたいと思っています。
もしご興味を持っていただけたなら、ぜひ一度ワークショップに遊びにきてください。
“現場のリアル”や“自分たちで変えていく手応え”を、きっと感じていただけるはずです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
より深くお付き合いするために、募集枠は少なめに設定しておりますので、ウォッチし続けていただければとおもいます。
投稿者プロフィール

- さすらいの、kintoneエンジニア