言いづらいことは商談の最初に言おう

前回は「kintone 提案に必要な質問力」というテーマで書かせていただきました。引き続いて kintone の提案に携わる方に役立てていただきたいお話を書かせていただきます。

前回のブログ:kintone 提案に必要な質問力

今回のテーマは「言いづらいことは商談の最初に言う」です。

商談においては言いづらいことを伝えなければいけないシーンが多々あると思います。商談にネガティブな影響を与えることはどうしても先延ばしにしがちですが、「ネガティブなことほど商談の序盤に伝えるべき」ということを実例とともにご紹介します。

kintone の商談でありがちなこと

例えば、kintone の商談ではお客さんからこんな問い合わせが来ることがあると思います。

「kintone って 780円 でアプリ作り放題で、他のシステムとも連携できるって聞いたので是非導入したい。年内に予算使いたいから至急 200 ユーザーで見積りを欲しい!」

200ユーザーの見積りとなるとすぐ飛びついてしまいがちですが、落ち着いて考えてみましょう。このお客さんは色々と誤解していそうです。

  • 780円という価格は ライトコースなのでアプリは 200個 までしか作れない
  • ライトコースの制限事項を知らなそう(API 利用不可など)
  • 他システムと連携するためには連携サービス・プラグインを使うか、カスタマイズのために開発が必要なケースもある
  • 年内の予算と言っているけど、毎年更新する必要がある

お客さんの言葉から推測するとこれらのことをご存じないように見えます。

「伝えずにおけば契約してもらえる」「お客さんが見積りくれといってるんだから出すべき」と考える方もいるかもしれませんが、私は全く良いと思いません。

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冒頭のような問い合わせがあったら最初にこれらをハッキリと伝えましょう。

  • kintone は 2 つのコースがあって実現できることに違いがある
  • 他システムとの連携は標準機能だけでは実現できない
  • 利用している限り毎年更新し続ける必要がある

何故最初に伝えるのが良いか?

私は心理学などを専門に学んだわけではないのですが、人は基本的に「自分の期待を超えられたとき」に喜ぶものだと思っています。反対に期待を裏切られたときには、その事前の期待が大きければ大きいほどガッカリするもので、これは商談でも同じことが言えると思います。

今回の例でいうと一見するとお客さんの要望は「kintone の 200ユーザー分の見積もりが欲しい」ですが、実はそうではありません。お客さんの本当の要望(= 期待)は「780円でアプリ作り放題、他システムとも連携できて、今年の予算で買える kintone の見積りが欲しい」です。

そのため、言われたがままに見積もりを出してお客さんが kintone を購入した場合、買った後に「自分が欲しかった kintone じゃない」ということになり、期待を裏切られたという気持ちになります。

また、購入直前になってから誤解を解いた場合でも「なんで最初に言ってくれなかったんだ!もう 780円で稟議通したんだから値引いてくれ。」と言われたりするかもしれません。

反対に最初にお客さんの誤解を解いた場合、

  • 1,500円でもいいから検討したい
  • 連携は必要になったらそのときに費用を払うから今は考えなくていい
  • 思っていたものと違うから導入は見送る

などの展開が想定されるかと思います。この3つ目の「導入見送り」が怖いがために言いづらいことを言えない方がいると思いますが、仮に導入を見送るという結論になった場合でもお客さんとしては「自分の誤解を解いて、正しい情報をくれてありがとう」という信頼に繋がると思います。

従来の買い切り型のハードウェア・ソフトウェアだと目の前の売上が大切だとされていましたが(私はそうは思いませんが)、クラウドサービスは継続的に使っていただくものです。そのため、尚の事お客さんが言っていることに間違いがあればそれが言いづらいことであってもハッキリと早い段階で伝えるほうが、結果として信頼に繋がりお客さんとの継続的な良い関係構築にも繋がると思います。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

では、また

投稿者プロフィール

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築山 春木
gusuku シリーズのエンドユーザー様への提案・パートナー様への支援をメインに活動しています