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社内DXのその先へ。紙・FAX・メールに頼っていた仕入先対応をデジタル化し、年間371時間を削減


MONOVATE株式会社
業務推進部 業務推進課 田丸 昌憲 様
MONOVATE株式会社は、医薬品・食品・化学品など幅広い製造業向けに、産業用ステンレス容器や攪拌装置を設計・製造・販売しています。「モノづくり開発企業」をパーパスに掲げ、お客さまの要望に合わせたオーダーメイドの製品開発を通じて、多様化するモノづくりの現場を支えています。
kintoneとgusuku Customine(以下、カスタマイン)を活用した社内業務のデジタル化については、同社 業務推進部 業務推進課の浪岡喬臣氏が推進し、着実な成果を上げてきました。
(詳しくはこちらの事例記事をご覧ください)
業務効率化の次のステップとして同社が取り組んだのが、gusuku Everysite(以下、エブリサイト)を活用した社外との接点のデジタル化です。推進役を担ったのは、業務推進部 業務推進課の田丸昌憲氏です。営業部門でkintoneを活用してきた経験を活かし、仕入先から材料証明書を収集するためのWebサイトをエブリサイトで構築しました。社内改善とあわせて、年間371時間の工数削減につながっています。その取り組みの経緯と効果について、お話を伺いました。
課題:社内は整った。残るは紙・FAX・メールに頼る、社外とのやりとり
田丸氏が同社に入社したのは2019年、当初は営業部に所属していました。2020年のkintone全社展開時には別のメンバーが営業部のkintone推進担当を務めており、田丸氏はその後任として担当を引き継ぎました。当時は、見積書作成のペーパーレス化や、製品を実際に試してもらい購入につなげるデモ機貸し出しの仕組みなど、kintoneとカスタマインを使った業務改善を重ねてきました。その後、2025年4月に業務推進課へ異動し、現在は生成AIを活用したDX推進も含め、社内のデジタル化全般を担っています。
kintoneの導入によって社内のデジタル化は着実に進みました。一方で、仕入先とのやりとりは紙・FAX・メールに頼ったままの状態が続いていました。中でも田丸氏がずっと気になっていたのが、材料証明書(ミルシート)の収集業務でした。
同社が製造するステンレスタンクは、医薬品や食品メーカーが使うケースも多くあります。異物混入などの品質リスクを避けるため、液体に直接触れる部品には「品質が保証されたステンレス製である」という証明が求められ、製造に使用した材料の品質を証明する書類(材料証明書)を仕入先から集めて納品先に提出する必要があります。1つの製品が複数の部品で構成されており、部品ごとに材料証明書が必要になるため、製品によっては数十枚分の書類をたくさんの仕入先からかき集めることになります。
当初の材料証明書の収集業務では、紙を中心とした一連の作業が発生していました。
材料証明書は、仕入先から主にFAXやメールで届きます。資材担当は、届いた材料証明書をすべて印刷し、「ミルシートチェック表」と照らし合わせながら並べ替えます。このチェック表は、製品を構成している複数の部品のうち、材料証明書が必要な部品をまとめた一覧表で、基幹システムから出力していました。収集した材料証明書を順番どおりに並べるのは、抜け漏れを確認しやすくするための工夫です。

不足がないことを確認した材料証明書は、紙のまま事務部門や品質保証部門へそれぞれ持参します。事務部門では製品に添付するための準備を行い、品質保証部門では内容を精査します。しかし、事務部門は別の階、品質保証部門は別工場にあるため、建物間の移動や階段の上り下りが何度も発生していました。
内容の確認を終えた材料証明書の原本は、製品に添付して出荷します。一方で、社内保管用のデータも必要なため、別途PDFとしてスキャンする作業も欠かせませんでした。

土台:紙のチェック表からkintoneで管理へ。社内から始める改善の一歩
田丸氏は、こうした負担を解消するため、社内における材料証明書のデータ管理方法の整備をステップ1、仕入先とのやりとりのデジタル化をステップ2として改善に取り組みました。
まず、部品単位で材料証明書の要否や収集状況を管理できる機能を既存の発注一覧アプリに追加しました。これにより、ミルシートチェック表の作成や、印刷した材料証明書を並べ替えて確認する作業、また別部署への紙の運搬を廃止することができました。
また、ステンレス板材など、ある程度まとめて発注し社内で在庫している部品(在庫品)の材料証明書は、すでにミルシート保存用アプリに登録しているので、カスタマインで材料証明書を自動で紐づける仕組みも構築し、社内のデータを整えました。
ただ、仕入先から発注の都度メールやFAXで届く材料証明書については、発注一覧アプリのレコードへ紐付ける作業が手動のままでした。
材料証明書の受け取りの部分からデジタル化する。それは、田丸氏が長く抱き続けていた課題でした。
そこで着手したのが、ステップ2となる社外連携です。こうして、社内改善と社外連携という2つのステップで、材料証明書の収集業務は変わっていきます。
導入:入力フォームでも、情報閲覧だけでもない。エブリサイトで実現した仕入先向けマイページ
長らく構想を練っていた社外連携のデジタル化へ向けて、本格的に動き出したのは2025年の秋のことでした。
それまでにも、kintoneへデータを登録するためのWebフォームと、kintoneの情報を社外に公開するためのサービスを組み合わせて、仕組みを構築する案はありました。しかし、複数のサービスを組み合わせる方法では、田丸氏が理想とする運用を実現できませんでした。
材料証明書の提出依頼ごとに専用フォームを作成すれば、回答がどの依頼に対するものかは特定できます。ただし、それでは仕入先が自ら依頼の一覧を確認し、対応を進めるという動きはできません。
一方で、一つの汎用的なフォームで済ませようとすると、今度は仕入先自身がどの依頼に対する回答なのかを入力する必要があり、記載ミスや後からの照合の手間が発生します。田丸氏が求めていたのは、単発のフォームではなく、仕入先がログインして使えるサイトとしての仕組みでした。
さらに、複数のサービスを組み合わせる場合は設定やメンテナンスの手間も増えるため、着手には踏み切れずにいました。
「シンプルなフォームだと、入力して送信して終わりになってしまう。仕入先の方に依頼の一覧を見てもらい、そこから材料証明書を添付してもらうことができる。そういうマイページのようなものを作りたかったんです」
ちょうど育休から業務に復帰した際に出会ったのが、当時リリースされたばかりのエブリサイトでした。エブリサイトは、入力して送信するだけのフォームだけではなく、ログイン機能やデータビューを備えた一つのWebサイトを構築できます。仕入先が依頼を確認し、対象の依頼を選んで材料証明書を提出するという、田丸氏が思い描いていた運用をひとつのサービスで実現できる仕組みでした。ひとつの設定の中でkintoneのレコード取得からWebサイトへのデータ表示、またWebサイトに設置したフォームからのkintoneへのレコード追加や更新まで完結でき、メンテナンスの手間も抑えられます。検証を進める中で、「これでやろう」と判断するのに、それほど時間はかかりませんでした。
「エブリサイトがあったから、社外とのやりとりの仕組みづくりに取り組めたと思います。デザイン面でも設計面でも自由度が高くて、ログインの仕組みもあるので安心感がありました。日頃利用しているカスタマインと同じく、あらかじめ用意された日本語の『やること』や『条件』を選んで組み立てていくだけだったので、Webサイト作成の知識がなくても問題なく進められました」
こうして、社内改善に続くステップ2、仕入先を巻き込んだ社外連携が動き出します。
活用:kintoneのデータを、そのまま社外とつながる「マイページ」に
マイページの運用は、全仕入先に一斉に案内するのではなく、やりとり全体の約7割を占める、取引頻度の高い20社の仕入先から優先的に進めました。
仮登録の仕組み
対象となる20社の仕入先には、まず会社名・担当者名・メールアドレスを入力し、仮登録を行ってもらいました。その登録内容を取引先マスタと照合します。会社名の表記ゆれ(例:「(株)」と「株式会社」)によって、仕入先とデータが正しく紐づかなくなり、情報漏洩に直結するおそれがあるため、この照合はあえて資材担当が目視で確認し、手作業で行います。該当する取引先が確認できた段階で本登録へ切り替わり、登録したメールアドレスへ本登録完了メールが自動で送信されます。
登録完了後は、次のような画面構成で材料証明書のやりとりができる仕組みにしています。

依頼通知の仕組み
kintone上で材料証明書の依頼が必要な部品の登録があると、翌朝、仕入先の担当者へメールで通知が送られます。この機能はカスタマインで構築しています。

仕入先の担当者にマイページへログインしてもらうと、ホーム画面に遷移します。現在は材料証明書の依頼確認・回答と、過去のやりとりを閲覧できる「過去一覧」の2つの機能を備えています。

「材料証明書依頼確認・回答」へ進むと、自社宛ての依頼だけを一覧で表示するようにしています。他の仕入先の情報が表示されることはなく、情報漏洩の心配もありません。
この材料証明書一覧のもとになっているのは、kintoneの発注一覧アプリです。発注データが登録されたこのアプリには、全仕入先分のデータが部品単位で混在しているため、エブリサイトの設定で、ログインした仕入先のメールアドレスをもとに表示するレコードが自動的に絞り込まれるようにしています。

材料証明書提出の仕組み
一覧から対象の依頼を開いてもらい、「材料証明書依頼詳細」画面から対応する材料証明書を添付して送信してもらいます。
「一覧から必要な依頼を探して、詳細画面を開いて添付してもらう。この多画面遷移の仕組みは、エブリサイトでないとできないと思っていました。実際にその通りの仕組みが実現できました」
複数の依頼をまとめて送付できる機能も備えているため、件数が多い仕入先の負担も抑えられます。

仕入先から送信された材料証明書は、そのまま発注一覧アプリのレコードに登録される仕組みになっており、依頼一覧の状況も「未受付」から「回答済」へ切り替わります。これまでメールやFAXで届いた材料証明書を1件ずつ手作業でレコードに紐づけていた作業が、この仕組みによって不要になりました。

依頼一覧には未受付の案件のみを表示する設定にしているため、以前のやりとりを見返す場面では「過去一覧」で指図番号や注文日で検索できるようにしています。仕入先が自身でこれまでのやりとりを確認できるようになったことで、「あの件はどうなっていますか?」といった問い合わせの頻度も減っています。
また、リマインドの運用にも工夫を凝らしています。材料証明書の提出が済んでいない依頼のうち、基準日を過ぎても未提出のものを毎朝自動でピックアップし、仕入先へメールで通知する仕組みをカスタマインで構築しました。対応が完了している案件に無駄な連絡が届く心配もなく、資材担当者が1件ずつ督促を行う負担も解消されています。
効果:2つのステップで年間371時間の工数削減。数字と現場の両面に生まれた変化
こうして仕組みを整え、使いながら育ててきた成果は、数字にもはっきりと表れています。ステップ1の社内改善とステップ2の社外連携を合わせて、年間371時間もの工数削減を実現しました。
まず、ステップ1の社内改善では、発注一覧アプリの機能追加や在庫品の材料証明書自動割り当てなど、社内のデータ基盤整備によって、年間約245時間の工数削減が生まれました。あわせてコピー用紙も年間約1万枚の削減となり、ペーパーレス化も大きく進みました。
数字だけでなく、社内の変化は心理面にも表れています。特定の担当者に業務が集中する属人化が解消され、紙を抱えて部署間を移動する物理的な負担からも解放されました。
一方、ステップ2の社外連携では、仕入先とのメール件数に大きな変化が出ています。督促のメールは月77件から27件に、受信するメール全体でも132件から55件へと、ともに半分以下になっています。この業務を主に担っていた1〜2名の担当者の工数も、年間で126時間削減され、削減された時間は他の業務に充てられるようになりました。
「資材担当者からは、メールでやりとりしていた頃より、確認や督促のタイミングが早くなったと聞いています」と田丸氏は話します。仕入先からの提出状況が発注一覧アプリにそのまま反映されるため、未回答の依頼を一覧で見られるようになり、対応漏れにも気づきやすくなったといいます。
先行導入した20社の仕入先すべてが継続して使い続けていることにも、この取り組みの効果が表れています。
その背景には、導入時の進め方がありました。田丸氏は、日頃からやりとりしている資材担当者から仕入先に声をかけてもらう形を取りました。資材担当者と仕入先の間にはすでに信頼関係があったため、受け入れてもらいやすかったといいます。
あわせて、サイト自体の分かりやすさも意識されています。最初から多くの機能を持たせるのではなく、まずは材料証明書の収集という一つの用途に絞ってスタートし、仕入先からの要望を見ながら少しずつ機能を追加していきました。
田丸氏は仕入先へアンケートを実施し、寄せられた声に耳を傾けながら改善を重ねる姿勢を続けています。実際に、発注番号だけでは案件を管理しづらいという仕入先の声を受けて、仕入先自身が使い慣れた番号(貴社管理番号)を登録できる機能を追加しました。あわせて、登録された貴社管理番号で案件を検索できるようにもしています。専門的な開発知識がなくても、田丸氏自身が気づいたところから直接手を加えられる。そんなエブリサイトの手軽さが、継続的な運用と改善を支えています。

エブリサイトはリリースされて間もないサービスであり、田丸氏が思い描く使い方に必要な機能がすべて揃っていたわけではありません。こうした機能は、運用の中で気づいた要望をその都度エブリサイトのサポートチームに伝えながら形にしてきました。
「要望を伝えたときのレスポンスが速くて助かっています。自分が希望した機能が実装されるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです!」
展望:仕入先や顧客ともっと豊かな関係へ。エブリサイトとともに描くMONOVATEの未来
エブリサイトの活用は、材料証明書の収集業務だけにとどまりません。見積依頼・受領のやりとりをエブリサイト上で行う仕組みの構築も進んでいます。これが完成すれば、メールやFAXで行っている見積のやりとりも、Webサイト上で完結できるようになります。
その次に見据えているのは、仕入先への発注業務のデジタル化です。今はFAXで行っている発注データのやりとりをWebサイト上で共有し、単価変更や納期回答の連絡も、メールなど複数の経路に分散している状態から、ひとつの窓口に集約したいと考えています。
ほかにも、フォームサービスとkintoneを組み合わせ、なんとか運用している仕組みがあり、こうしたものもいずれはエブリサイトで作り直すことを見据えています。
さらに、仕入先とのやりとりのみならず、購入後の顧客接点にもエブリサイトの活用を広げる構想もあります。マーケティング部門と連携しながら、製品を購入した顧客が保証書などをダウンロードできるページの検討を進めています。将来的には、部品の交換時期をお知らせしたり、購入から一定期間が経った顧客に自動でフォローのメールを送ったりと、販売後のアフターフォローにもつなげていく考えです。
「販売して終わりではなく、そのあとのフォローまでできる会社でありたいんです。そうするとお客さまとの関係も長く続いて、満足度もきっと上がると思っています」
社外とのやりとりを効率化することは、単に手間を減らすだけではありません。紙・FAX・メールのやりとりに費やしていた時間や労力を、こうした顧客対応の充実に振り向けられるようになる。それこそが、この取り組みの本当の価値だといえます。
社内のデータ基盤整備から始まり、仕入先とのやりとり、そして発注や顧客対応へ。エブリサイトを起点にした社外とのやりとりのデジタル化は、MONOVATEと仕入先、顧客との関係をより豊かにしながら、着実に領域を広げています。
取材日2026年6月