技術より大事だった3つのこと。kintone導入現場で見えてきた“本当の成功要因”

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システム開発グループの井上(たーぼー)です。

kintoneを使った業務改善に取り組み始めてから、気がつけば100件を超えるアプリ導入やカスタマイズに関わってきました。
JavaScriptやREST APIでの拡張、外部サービスとの連携など、技術的なノウハウも多く蓄積できましたが、それ以上に実感しているのは、「技術だけではアプリは使われない」という事実です。

今回は、現場で実践してきた「非技術的だけど超重要」な工夫を、3つの視点から共有したいと思います。

1. “ヒアリング”は要件定義じゃない。日常の違和感を聞きにいく

最初の頃は、システム開発の定石通り「要件をヒアリングしてアプリを設計する」というやり方をしていました。
ところが、完成後には「うーん、ちょっと違うんだよね……」という微妙な反応をもらうことも多く、正直戸惑いました。

その原因は、「現場の人は、自分の課題を明確に言語化できない」という点にあります。
だからこそ、「困っていることはありますか?」と尋ねるより、業務をそばで見て、何気ないやりとりから不満や違和感を拾うほうが効果的です。

例えば、こんな質問が有効でした:

  • 「この作業って、毎日どれぐらい時間かかってます?」
  • 「この表、何を確認するために使ってるんですか?」
  • 「“めんどくさいけど仕方ない”って思ってる作業ってあります?」

こうした問いかけから見えてくるのは、転記の手間、確認ミスへの不安、承認のあいまいさといった「小さいけれど大きな負担」。
この“ぼんやりした違和感”に対応することが、アプリ活用の第一歩です。

開発者は技術的な内容を深堀りしようとする傾向がありますが、現場の方は特に使い勝手が重要になります。

このあたりは、「kintone SIGNPOST」の「1-06 業務のkintone化」が参考になりますね

2. 完成度より“納得感”。まずは7割で見せる

アプリに慣れてくると、つい「完成度」にこだわりがちですが、最初は“7割完成”くらいで見せるのがベストです。

例えば、フィールドの並び順を業務の手順に合わせただけで、「めっちゃ見やすいですね!」という声をもらえたことがあります。
また、「たたき台」を提示することで、現場の人が自分ごととして関わってくれる空気が生まれます。

アプリの完成度よりも、「一緒につくる」プロセスが、現場の納得感を高める最大の要素です。

2-20 小さなリリース単位」を特に意識しながら進めています。

3. 導入の成否は“人間関係”で決まる

kintone導入プロジェクトで何より大切なのは、人と人の関係性です。

フィードバックをくれた人に「ありがとうございます!」とSlackで一言返すだけで、次回も協力してくれるようになります。
逆に「直しておきました」の一言で終わると、以降は沈黙が続くことも。

また、運用を任せる人には「業務に詳しい人」だけでなく、「相談されやすい人」を選ぶのがポイントです。
その人が“声のハブ”となり、改善のスピードや定着率が一気に上がります。

kintone導入がうまくいくためには、「4-33 現場代表」でも言っているようにキーマンを作り上げることが重要です

まとめ:kintoneの真の力は“巻き込み力”にある

kintoneの魅力は、カスタマイズ性やAPI連携だけではありません。

すごいものを作ったとしても使われなかったり、改善できてなかったらゴミなんです。

見た目がすごいアプリを作るよりも、 「これなら自分たちで変えられるかも」と思わせる柔軟さ、そして「一緒につくる」感覚を生む仕組みこそが、kintone最大の武器です。

これまで100件以上の導入に関わって痛感したのは、
課題を“見つける力”と、現場に寄り添う姿勢こそが成功の鍵だということ。

技術を活かすためには、まず人と信頼関係を築くことから始まる。
kintoneは、それに気づかせてくれる最高の現場ツールです。

キミノマホロ for kintone

アールスリーでは業務改善・システム開発を行うサービスを「キミノマホロ for kintone」として提供しています。

キミノマホロ for kintone」は業務改善のプロセスをイロハで3つのフェーズに分け、フェーズごとに作業をメニュー化しています。

  【イ】業務改善の始まり:業務改善の方向性を決める

  【ロ】業務改善に必要なkintoneアプリ作成:業務改善を実現するための仕組み(kintoneアプリ)を作る

  【ハ】業務改善の実行サポート:業務改善を進める

今回の記事のようなお話は、イロハのどのステップでも弊社が気にしている内容になります。また、システム開発グループではkintoneに関するお悩み相談をお受けする「kintone駆け込み相談室」を随時開催しています。kintoneのシステム開発でお悩みの方がいらっしゃいましたらぜひお申し込みください!

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いのうえ
いのうえ
さすらいの、kintoneエンジニア