
導入事例
約100件/月の請求書チェック業務を自動化。
担当者を解放し、空いた時間を他の業務へ
アールスリーが、自分たちのバックオフィス業務を生成AIで改善した事例です。

必要なものを、必要なだけ。
業務改善の新しいカタチ。
kintoneを活用した業務改善・システム開発サービス
kintoneを活用した業務改善・システム開発サービス
概要
アールスリーでは毎月、約100件の請求書を送付前にチェックしています。件数が多く観点も多いため、担当者が全件を目視で確認する負担と、見落としのリスクが課題でした。負担が集中する「チェック」の工程を、生成AIとルールベースを組み合わせて自動化。担当者が目を通すのは、生成AIが「要確認」に挙げたものだけになりました。全件に張り付いていた時間がまとまって空き、その分を他の業務に充てられるようになっています。

現状と課題
アールスリーはシステム開発を手がけており、毎月、バックオフィスチームがお客様に請求書を送っています。請求データはkintoneで管理し、そこからPDFで請求書を作成しています。
一筋縄でいかないのは、請求書の中身が毎月同じではないことです。案件ごとに内容が違うのはもちろん、同じ案件でも、役務やライセンスの内容が月によって変わります。当月分のデータは前月分をベースに用意し、前月の複製や日付の設定といった定型部分は自動化していますが、その月ごとの変更点は人が手で反映しています。

そして送付する前に、担当者がその内容を一件ずつ確認します。件数は毎月約100件。確認することも一つではなく、どれも業務の背景を知らないと判断できないため、毎月かなりの時間がかかっていました。人が目視で全件を見る以上、見落としのリスクもつきまといます。

解決方法
① まず考えたこと
問い1:そもそも生成AIを使う必要があるのか?
バックオフィスチームから「このチェックを改善できないか」と相談を受けたとき、システム開発グループは、最初から「生成AIを使って解決しよう」と決めていたわけではありません。
まず考えたのは、チェックそのものを減らせないか、ということでした。作成をさらに自動化できれば、チェックの負担も根本から減らせるはずです。そこで、作成の残りの部分もルール(従来のプログラム)で組めないかを検討しました。
ところが、バックオフィスチームにヒアリングして検討すると、完全な自動化は現実的でないとわかりました。
その月の実際の利用数などは、別のシステムで人が確認して反映する必要があります。理屈のうえではルール化もできなくはありませんが、あらゆるケースに対応させようとすると運用もシステムも複雑になり、費用対効果が見合いません。さらに、イレギュラーなケースまで含めるとすべてのパターンを洗い出すのは難しく、ルールベースだけでは反映漏れも起こりがちです。
そこで、作成の完全自動化は目指さず、チェックもルールベースだけには頼らないことにしました。作成は今のかたち⸻一部は自動、変更点は人が反映⸻のまま人が担い、そのぶん負担とミスのリスクが集中する「確認(チェック)」の工程を、しっかり改善する。そういう方針に切り替えたのです。
| 検討した選択肢 | 実現性 | 運用の柔軟性 | 構築コストの低さ | 負担軽減の効果 |
|---|---|---|---|---|
| 請求データ作成を完全自動化する 実績が出るまで決まらない請求があり実現できない。 ルールに縛られイレギュラーにも弱く、構築も大がかり | × | × | × | ◎ |
| 作成は今のまま、チェックの負担を減らす ←採用 人の手を残すぶん柔軟に運用でき、大がかりな開発も不要。チェックは残るが大きく軽くできる | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ |
◎=優れる/○=問題なし/×=難しい。作成の完全自動化は実現性・柔軟性・コストのどれもが難しく、作成は今のまま、チェックの負担を減らす道を選びました。
問い2:AIを使うとして、どこに使うべきか?
チェックを改善すると決めたシステム開発グループが次に考えたのは、「チェックのどこに生成AIを使い、どこは使わないか」です。ここでも、すべてを生成AIに任せようとはしませんでした。
チェックの中身を分解すると、多くは生成AIを使わなくても、決まったルールで機械的に照合できるものでした。一方で、案件担当者が自然な文章で書いた変更指示の読み取りや、コメント欄でのやり取り(担当者への実績確認が取れているか)の判断だけは、業務の文脈を汲む必要があり、従来のプログラムが苦手とするところ。ここに生成AIを使いました。
| 確認の観点 | ルールベース (従来のプログラム) | 生成AI |
|---|---|---|
| 日付が当月になっているか | ● | |
| 数量・単価が契約と合っているか | ● | |
| 前月から意図せず変わった箇所はないか | ● | |
| PDFと明細が食い違っていないか | ● | |
| … | … | … |
| 自由記述の変更指示が反映されているか | ● | |
| 担当者への実績確認(コメント欄で取れているか) | ● | |
| 送付先の変更が反映されているか(自社システムの依頼と照合) | ● |
機械的に照合できる観点はルールベースで確実に。文脈を読む必要がある「自由記述の変更指示」だけを生成AIが担当します。
自由記述の変更指示


案件担当者から、その月の変更が自由な文章で届きます。書式は決まっていません。
担当者への実績確認(コメント欄)


「◯◯さんに要確認」というメモに対し、実際の数量をコメント欄でやり取りして確定します。その確認が取れているかを見ます。
送付先の変更(自社システム)

送付先の変更依頼が、自社システムに自由な文章で届きます。これが請求書に反映されているかを確認します。
役割を分けたのには、もう一つ理由があります。請求はお金に関わることです。そして生成AIは、ときに間違えます。だからこそ、決まったルールで確実に判定できるところは従来のプログラムに任せ、生成AIを使うのは、それでは立ち行かない文章の読み取りに絞りました。なんでも生成AIにしないぶん、コストを抑えながら、確実に動く仕組みになります。
② 具体的な仕組み
実現方法
チェックの仕組みには、Claudeデスクトップアプリを採用しました。
いちばんの理由は、開発せずに始められることです。チェックを回すのはバックオフィスの担当者一人。そのために専用のシステムを一から作り込むのは、やはり大がかりすぎます。専用システムなら、データを処理する仕組みだけでなく、担当者が操作する画面まで用意しなければなりません。Claudeデスクトップアプリなら、その画面がはじめから備わっています。あとはkintoneとつなぐMCPサーバーを組み合わせるだけで、すでにkintoneに貯まっているデータの上でそのまま動かせて、担当者自身がすぐに実行できます。

担当者の指示で、Claudeが kintone MCPサーバー経由でkintoneの請求書データ・契約データを、自社システム用のMCPサーバー経由で自社システムの送付先の変更依頼を取り出し、ルールベースとAIによる照合を行います。その結果をもとにAIが最終判定し、「OK」と「要確認」に分けます。kintoneだけに閉じず、複数の情報源を横断して確認できるのが強みです。
※ kintone MCPサーバーは、生成AIがkintoneのデータを直接読み書きするための連携サーバーです(サイボウズ提供)。詳しくはこちら。
どう動くか
使い方は、担当者がClaudeに対象の月を伝えるだけです。

対象の月を伝えると、Claudeがkintoneからその月の請求データを取得し、チェックを始めます。(画面は先月分を指定した例)
あとはClaudeデスクトップアプリが、kintone MCPサーバー経由でkintoneから当月分・前月分の請求データや契約のデータを、自社システム用のMCPサーバー経由で自社システムから送付先の変更依頼を取り出し、全件をチェックします。10分ほどで、結果が「OK」と「要確認」に仕分けられて出てきます。

チェック結果。「要確認」だけが、引っかかった理由と次に確認すべきことまで添えて挙がってくる。
そして「詳細を見たい」と伝えれば、全件について一件ずつの判断根拠まで確認できます。「OK」としたものも、なぜそう判断したのかを担当者があとから追える。人が最後に確かめる運用を、しっかり支えています。


全件の判断根拠。「OK」としたものも、観点ごとに根拠を確認できる。
効果
担当者が目を通すのは、生成AIが「要確認」に挙げたものだけになりました。全件に張り付いていた作業から解放され、確認が本当に必要なところにだけ集中できます。空いた時間はまとまったものになり、他の業務に充てられるようになりました。
| 項目 | これまで | これから |
|---|---|---|
| 確認する件数 | 全件(約100件)を目視 | 生成AIが「要確認」とした5件程度の、指摘ポイントのみ |
| チェックの時間 | 6〜8時間 | 約0.5時間 |
| 担当者の関与 | 全件に張り付き | 要確認の確認に集中 |
| 見落としリスク | 目視ゆえに残る | ルールベースの照合と、生成AIの判断+人の最終確認で補完 |
まずは、いまの業務の困りごとをお聞かせください。
具体的な課題や、「生成AIで何を解決したいか」が固まっていない段階のご相談も歓迎です。
どういう姿を目指すべきかを、業務からご一緒に考えます。