巴バルブ株式会社様 事例紹介

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納入品仕様書35万&納入図9万件を有するレガシーシステムをkintoneにリプレイス。「kintoneだけで業務が回る世界」に王手

巴バルブ株式会社
業務改革室 大坂 菜摘 様

巴バルブ株式会社はバタフライバルブを主力製品とする会社です。2019年に業務効率化を目的にkintoneを導入。書類中心の業務フローから一気にクラウド化が進み、kintoneは数年で全社の業務基盤として定着しました。そんな同社では、2025年に「納入品仕様書35万&納入図9万件を有する検索システム」をkintoneにリプレイスしました。その結果、次のフェーズで目指している「kintoneだけで業務が回る世界」に王手をかけました。本インタビューでは業務改革を牽引する大坂様に、リプレイスの成果やアールスリーの伴走支援の感想をうかがいました。

営業アシスタント出身者が、製造業の業務改革をkintoneで牽引

Q:大坂様は2019年に営業アシスタント職から業務改革室に異動し、猛勉強と実践を経てkintone開発のエキスパートになられたそうですね。その過程についてお聞かせください。

大坂様

私はkintoneの導入時に未経験で開発の担当になりました。業務改善とkintone開発の流れを学ぶことは大変でしたが、その助けになったことが3つあります。

  1. 上司が業務改善のノウハウを叩き込んでくれたこと
  2. アールスリーのkintone開発伴走支援サービスと保守契約
  3. gusuku Customine (JavaScript不要のkintoneカスタマイズツール)

アールスリーの伴走支援では、自分でアプリをつくる時の相談にのっていただいたり、難易度の高いアプリの開発をお願いしたりしています。アールスリーの開発陣の相談しやすさとレスポンスの速さは抜群です。課題を噛み砕いてよく理解してくれたうえで、kintoneの知見を活かして「できる方法」をいつも提案してくれます。
また、gusuku Customineは使い方が分かりやすくサポートサイトも充実しています。このおかげで私と同僚は未経験からkintoneアプリを自作できるようになりました。
このような、kintoneのプロに相談できる環境や、私が営業アシスタントとして培ってきた営業の視点を活かしながら、kintoneの導入から5年間で無数のkintoneアプリを開発し経験を積みました。今では業務改善の一連の流れである「業務フローの整理・アプリの仕様検討・アプリの開発作業」を、課題を抱える部署と連携しながら進めることができるようになりました。

2023年の大坂様(左から2人目)。ご自身の努力とkintone開発の伴走支援を通じて短期間でkintone開発のエキスパートとして業務改革を牽引する存在に成長。巴バルブ様の工場にて撮影したアールスリーとの写真

数年でkintoneは無くてはならない基盤システムとして定着

Q:2019年のkintoneの導入から約5年が経ちましたが、kintoneが御社にもたらした変化について教えてください。

大坂様

最初に作った「営業案件管理アプリ」は、営業パートナーの仕事の属人化を解消するために作成しました。以前の営業パートナーの仕事は専門的な知識・多数の社内コミュニケーション・煩雑な作業を伴う業務で、残業も発生していました。アプリ作成により業務の可視化がされ、一元管理のできる仕事に変わり、今では派遣チームが同業務を行うようになっています。
その後は、課題を抱える部署からの相談に応じる形で無数の業務改善を行いました。また、基幹システムデータ(受注系データ)を同期して利用するようにもなり、kintoneは今では全社の基盤システムとして無くてはならないものになっています。

大坂様

納入品仕様書35万&納入図9万件を有するシステムの保存容量が枯渇寸前

Q:ここからは、今回のインタビューのメインテーマである「納入品仕様書データ35万件&納入図データ9万件」を有する独自システム「トムサーチ」のkintoneへのリプレイスについてうかがいます。まずはリプレイスの背景を教えてください。

大坂様

トムサーチは納入品の製品情報や図面情報を保管しているシステムで、営業をはじめ様々な業務で使われる重要なシステムです。リプレイスのきっかけは同システムのデータ保存容量が枯渇寸前となったことでした。1990年頃にできたシステムで、老朽化・作者不明・仕様不明・メンテナンス不可能・サポートなしという状況でした。
サーバー容量枯渇の対策としては、容量を買い増す選択肢もありましたが、それでは根本解決になりません。そこでkintoneへの移行を検討しました。トムサーチのデータをkintoneに整理整頓して入れることができれば、様々な業務とデータの紐づけができます。業務効率が劇的に上がることは誰の目にも明らかでした。

トムサーチ画面
図面(PDFファイル)
図面(htmlファイル)

HTMLのテーブル形式で保存されたデータをkintoneに登録したい

Q:トムサーチのkintoneへの移行はスムーズに進んだのでしょうか?

大坂様

大きな問題がありました。システムからデータを抜き出す技術を持つ人が社内にいなかったのです。移行先のkintoneアプリは自分でつくることができるので、データ移行のみを依頼したいとアールスリーに相談を持ちかけました。

アールスリー井上

本件の詳細をうかがったところ、トムサーチは一般的なデータベース形式で保存されていませんでした。納入仕様書・納入図それぞれ35万件・9万件分のテキストデータがHTMLのテーブル形式で保存されており、加えて図面等の添付ファイルがPDFで同じ数だけありました。また、データの項目名が統一されていないことや、表記揺れが相当数あることなどから、データ移行は困難を極めそうでした。とはいえ長年のお付き合いのある巴バルブ様のお力になりたいと思い、アールスリーでプログラミングに強い淺利に相談したところ、データ解析プログラムを書けば何とかなるとの意見をもらったので、このお仕事をお引き受けしました。

アールスリー井上

データ解析プログラムを何度も修正しながら4か月でデータ移行を完了

Q:具体的にはどのような方法でトムサーチのデータをkintoneに登録できる形式に変換したのですか?

アールスリー淺利

kintoneにデータを登録するには、項目名とそれに付随するデータをCSV形式(スプレッドシートのような表)で整理整頓する必要があります。そこで今回のデータ移行プロジェクトでは「HTML形式のデータをプログラムで解析 → 項目抽出 → 表記揺れ整理 → kintoneに取り込み」というプロセスをとりました。
まずは項目名をプログラムで抜きだして、その項目名を巴バルブ様の社内で精査していただきました。次にまた別のプログラムを書いて、表の縦列には製品番号を、横列には製品データに関する項目名を置き、表の中に対応する値を入れていきました。
元データは手入力で作成されたものだったので表記揺れが多く、プログラムを動かしては項目を精査し表現を統一していく必要がありました。また、納入仕様書でも納入図でもないHTMLが混ざっていたりしてエラーと修正を繰り返しました。このような作業を大坂様やトムサーチのサーバー担当の方と連携して行い、約4ヶ月でデータ移行を完了しました。

アールスリー淺利

データ容量枯渇問題が解決され、自力でデータの管理も可能に

Q:今回のリプレイスでは業務改革室の視点ではどのような成果を得られましたか?

大坂様

アールスリーのおかげで喫緊の課題であるデータ容量枯渇問題を解決できました。添付ファイル類はすでに契約していたBoxへ入れるようにしたため、トムサーチを移行しても追加費用は発生しません。今後はトムサーチにかかっていたサーバー費用も不要になるので、かなりのコスト削減につながりました。また、トムサーチのデータがkintoneに入ったことで、製品や図面データの管理を私が自力でできるようになりました。今後はデータを整理整頓したり、入力項目をより良いものにしたり、検索性を上げたりして業務改善を進めたいです。

重要データがkintoneに集約され、大幅な業務効率化に成功

Q:今回のリプレイスが会社全体の業務改善に与える変化はどのようなものになりそうですか?

大坂様

kintoneに移行したことにより、必要な図面の検索工数が大幅に下がります。これまで社内サーバーへVPN接続でアクセスする必要がありましたがそれが不要になり、図面の検索方法も従来に比べてシンプルになったため、お客様先で過去事例や費用感をkintoneから取り出してすぐにお伝えできます。これまではデータが社内サーバーや書類など色々な場所に分散していたので、必要な情報を取り出すにはあちこちの保管場所にアクセスして必要な情報の検索をする必要がありました。今後はkintoneを見に行けば情報はほぼ紐づいて揃っているので、受注番号をキーにして取引履歴や図面、またそれらに紐づく他の業務のデータにもアクセスできるようになります。かなりの業務効率化につながるでしょう。

kintoneアプリ(一覧)
kintoneアプリ(詳細)

Q:本プロジェクトで大きな効率化を達成されたのですね!今後の業務改善の展望があれば合わせてお聞かせください。

大坂様

今回のリプレイスで社内の重要情報の多くをkintoneに移行できました。さらなる業務改善の土壌ができたと思います。次は、「kintoneだけで業務が回る世界」の実現を目指します。

製造業の「やりたいこと」を実現に導いてくれるパートナー

Q:最後に、アールスリーのkintone開発伴走サービスを検討中の方にメッセージをお願いします。

大坂様

製造業では、会社ごとに独自ルールや専門性があり、「こんなシステムを作りたい」と伝えるだけでも難しく感じるものです。でも大丈夫、アールスリーなら安心です。製造業特有の複雑な状況をきちんと噛み砕いて理解し、kintone開発の豊富な知見と経験をもとに提案してくれます。そして、必ず「やりたいこと」を実現してくれます。まずは思うままに相談してみてください。親身になって聞いてくれて、同じ方向を向いて対策を考えてくれる、そんな心強いパートナーです。 

貴重なお話しをありがとうございました。

取材2025年8月


アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。