kintone hive 大阪 「中小企業のリアルなkintoneトーク」 アフタートーク

みなさん、こんにちは、金春です。 今日は kintone hive 大阪です。みなさん楽しんでいただけましたか?(別に僕が作ってるわけじゃないので変な言い方ですが)

ちなみに、過去形で書いていますが、この文章ははじまる前に書いています。

さて、kintone hive大阪では、地域企画「中小企業のリアルなkintoneトーク」に登壇させていただきました。ご覧になられていない方に向けて説明をしておくと、中小企業が抱える問題についてお題を選んでディスカッションするようなコーナーです。

お題は8つ用意されていたのですが、本編では時間の関係ですべてを扱うことができませんでした。せっかくいいお題を提供していただいているので、このブログですべてに補足しておこうと思います。

この記事に書く意見は、kintone SIerとしての立場および中小企業の経営者という2つの視点で書いています。

1. 会社の課題どこやねん

課題

今の業務に問題があることはわかる。でも具体的にどこに問題があって、それをどう解決すればいいのかがわからないし、自分でなんとなく「これかな?」と思うポイントがあってもそれが本質的に合っているのかどうかがわからない

kintone SIerとして

弊社は、課題を抽出し解決の方向性を出すところからお手伝いできます。それで20年以上会社を存続させてきたといっても過言ではありません。

もちろん費用をいただく必要がありますが、弊社の業務理解力や問題解決能力については、弊社の事例記事を読んでいただくとご理解いただけるのではないかと思います。

様々なお客様から毎日ご相談をいただきますが、この段階からご依頼いただければよかったのにな・・・というお客様がたくさんいます。

ここを自分たちだけで考えた課題と解決方法を前提にご依頼いただくケースが多いです。我々がそれはちょっと違うなと思うと、それは正直に指摘させていただくのですが、それを受け入れていただけるケースは極めて稀です。

専門家の意見は早い段階からもらっておくほうが安全だと思いますので、できれば早い段階でのご相談をおすすめします。

経営者として

経営者は基本的に孤独であり、万能である必要があると思いがちです。特に中小企業の場合、全てを自分で把握して決定しないと落ち着かないという方もいらっしゃると思います。

しかし。能力の差はあれども万能な人はいません。

自分が苦手とすること、あるいは社内にできる人がいないこと、自社だけでは自信が持てないことは、勇気を出して外部に依頼する覚悟が必要です。

当然ながら費用がかかりますが、そのリスクを取れるのが経営者という役割です。弊社では苦手な分野については外部の専門家に相談することがあります。もちろんすべてがうまくいくとは限らず、相談したけど大した成果なかったねということもあります。でも、それも勉強ですし、それをやるのが経営者の役割だと考えています。

2. 人が足らん!猫の手も借りたいわ

課題

ITのことがわかる人材がいない、あるいはある程度詳しい人がいたとしてもその人の時間がとれなくてITの導入が進まない。外部に依頼すればいいのかもしれないがその予算もない。

kintone SIerとして

予算がないと言われてしまうと、弊社に依頼してくださいとは言えなくなってしまうのですが、弊社ではそういう方に向けて、低価格で始められる伴走型の gusuku Boostone というサービスをご用意しています。

これは、基本的に自分でやっていくけれども、kintoneのプロである弊社が伴走しアドバイスし続けることで、その効率を最大限上げ、少ない時間を効率的に使っていただくためのものです。

また、IT人材、特にkintoneのことがわかる人材を増やしたいということであれば、弊社では cloud uiversity というkintoneの研修コースも提供しておりますがので、こういった研修でスピーディに理解を進めるのはいい方法だと思います。

経営者として

悩ましい問題だと思います。弊社の例でいうと、ITの会社でITに詳しい人材はたくさんいますが、その反面マーケティングに詳しい人材は少ないなどの課題もあります。

外部に依頼することは弊社でも行いますが、予算やスピード感の問題などもあり、できるかぎり自社でやりたいと思っています。

弊社ではそのための学習サポートは手厚く行うようにしていて、研修に参加するための費用であるとか、資格取得のための費用や試験費用などは会社でサポートするなどしています。

社員の方が、学びやすい環境を作るというのも経営者の役割の1つとして御社の制度を見直してみてください。

3. ITって何?むずない?

課題

パソコン・スマホを使って仕事をすることに抵抗がある人が多い。せっかく導入しても使われずに放置されてしまう。

kintone SIerとして

これが起きた場合、SIerとしては大いに反省しないといけないケースなのですが・・・。

ここには2つの問題がありまして、1つは「慣れ」の問題、もう1つは「UI/UX」の問題です。

「慣れ」の問題は、手厚くサポートしてあげる、最初は簡単な機能だけを提供して慣れていっていただいて徐々に使う機能を増やしていくなどの方法があります。かつ、それができるようにするための業務設計やシステム設計のスキルが必要となります。

「UI/UX」の問題は、パット見でどこを操作すればいいかがわかるようにする、どう操作すれば思ったことができるかを即座に理解してもらうようにするということです。kintone は、この手のツールの中ではかなりUI/UXがよくできている方ですが、それでも悩むことがある方はいらっしゃると思います。更に、SIerがカスタマイズを入れた場合は、機能が増えますのでUI/UXを慎重に検討する必要があります。

例えば、いろんな会社のプラグインをたくさん入れたりすると、各社さんでUI/UXのポリシーが異なりますので、操作の一貫性がなくなるという問題が発生したりもします。

このあたりは、SIerの腕の見せ所もありますので、我々も日々精進しているところです。

経営者として

よかれと思って入れたシステムが使われないって悲しいですよね。実はIT企業の弊社でもこの経験があります。ITの会社なのでパソコンに抵抗が・・・ということではありません。

パソコンへの抵抗うんぬんの前に、そのシステムを入れる目的や目指しているゴール、そのゴールを達成することで、自分たちのどういうメリットがあるのかということが共有されている必要があります。

経営者は常に社内にビジョンを提示し続ける必要がありますが、システム導入においてもビジョンを明確に共有することが大切なのではないでしょうか?

4. Excelがえらいこっちゃやで

課題

社内に、高度に機能を使いこなしているExcelのファイルがある。複雑化しておりかつ属人化しているので,引き継ぎもできず問題となっている。

kintone SIerとして

Excelは「表計算ソフト」です。この表計算ソフトという本質を逸脱した使い方をすると色々課題が発生してきます。

例えば、共有ディスクにおいてExcelのファイルを共有して複数人で編集するという方がいらっしゃいますが、Excelは元々そのような使い方に強い仕組みにはなっていません。そのため、場合によってはデータが壊れたりということが起きます。

Excelがすべてダメということはなく、管理する情報の特性に合わせて適切なツールを選択していく必要があります。

弊社にご相談いただくケースでも、逆に全部kintoneでやりたいと言われる方が多いのですが、「それはExcelのほうがいいです」とお答えすることもたくさんあります。

ちなみに、kintoneカスタマイズでも同じような事が起こる可能性があります。誰が入れたわからない謎カスタマイズが入ってるkintoneアプリは容易に作成可能です。 この問題を回避したい場合は、gusuku Customineをぜひ試してください。

経営者として

優秀な社員がいるほと、ツールを高度に使いこなして属人化していく。どこの会社でもある問題です。その属人化しているのが経営者自身であれば、その経営者がいる間は問題が露呈しないという更に悩ましい問題があります。

経営者の視点としては、社内の各業務について「自分の含めてこの人がもしいなくなったらこの業務はまわるのか?」という観点から見直してみることをおすすめします。

その上で、属人化している業務が見つかれば、

  • 別のメンバーを補助につけて理解させてみる
  • マニュアルを作成して標準化する
  • ツールを導入して誰でもできるようにする
  • 自分で理解してみる(最後の手段です)

といったことをやってみてください

5. めっちゃ紙多ない?

課題

伝票や顧客情報など紙で管理しているものが多くて、検索性がなく効率が悪い。IT化したいけれどもどこからどう手をつければいいのかわからない。

kintone SIerとして

最初の「会社の課題どこやねん」とも関連しますが、この段階から弊社にお手伝いさせていただくとよいケースがあります。業務を分析してネックになっている部分を発見し、そこをどの程度IT化すればいいか一緒に考えていくことができます。

一般的に、紙での業務が多い企業の場合、一気にIT化するとうまくいかないケースが多いです。そういった場合は、検索に必要な最低限の項目だけでシステムに入れるようにして、あとはスキャンした書類を添付するだけでもいいかもしれません。

ただ、スキャンして添付もなかなか手間がかかるので上手にシステム化する必要があります。

経営者として

紙って意外と便利でして、検索性がないのは確かなんですが、熟練するとどれがどこにあるかだいたいわかるので、検索できなくても困らなかったりもします。

以前、ある企業さんでマニュアルの電子化のような話が出たことがあったのですが、現場を見せていただいたところそこのメンバーはみなさんどこに何が載っているかを把握していて、一瞬でそのページを開けるというのを目の当たりして、システム化をやめたほうがいいと提言したこともありました。

なんでもシステム化すればいいとは限らないので、そこを最後に判断するのは経営者の仕事です。紙をやめてすべてシステム化すると考えると、詰まってしまうので、紙で残すところもあっていいという前提で考えるようにしてみましょう。

6. 自分以外この仕事分からんやん

課題

その人が退職してしまったらその業務がまわらなくなってしまう。引き継ぎや教育制度の充実を考えないといけないが、そもそも教育対象になるメンバーもいない。

kintone SIerとして

社内だけでやると引き継ぎの問題がでるので、SIerに頼むという会社さんもいらっしゃいます。とはいえ、そのSIerも未来永劫対応できるわけではないので、同じ様に引き継ぎの問題は発生する可能性があります。

ただし、SIerへの依頼方法によりますが、その辺を見越して業務をちゃんと定義してドキュメントを残すように依頼すると、引き継ぎ問題は軽減される可能性があります。その分費用はかかりますが、そういう依頼をすることもできるということを知っておいていただくと良いかと思います。

経営者として

引き継ぎ問題はどこにでもあります。弊社でもあります。理想的には、引き継ぎぐことを前提としない業務にしておくことが重要だと思っています。

引き継ぐことを前提としないというのは、業務フローや業務をちゃんと定義しておけば、引き継ぎのためにわざわざドキュメントを作ったりすることはないよねという意味です。

とはいえ、そのための時間をなかなか取れなかったりしますので、片手間でやれというのではなく、経営者がそのための時間をちゃんと使えるようにしてあげることが大切になります。

7. どのツールがええのん?

課題

自社にどういうツールがいいのかがわからない、付き合いのある地元の代理店の営業に押し切られてしまったりして、よくわからないツールを導入してしまっていたりする。

kintone SIerとして

現在はkintoneをはじめ、SaaSのツールでかなりのことができるようになっています。そしてほとんどのSaaSにはお試しがあります。

さらに、SaaSは有料契約でも月額契約ができるものが多いです、月額契約ができるということの意味は「いつでも辞められる」ということです。

kintoneにしてもなんにしても、やってみないとわからないことがたくさんありますので、まずやってみる。そしてダメならやめる。というノリで気軽に使ってみてはいかがでしょうか?

経営者として

社内から「このツールが使いたい」という声があがってきた。というときに「その費用対効果は?」と聞いてしまっていませんか?

もちろん、費用対効果は大切です。でも、やってみる前に計算された費用対効果にどれほどの意味があるのでしょうか?もちろん無計画に入れることは意味がありませんが、費用対効果だけにこだわるのではなく、別の課題でも書いたように、それによってどういう課題を解決しようとしていて、ゴールがどこにあるのかが大切です。更に重要なのは、そのゴールに向かう過程で、もしこういうことならこのツールはやめるということを決めておくことです。

ゴールがはっきり見えないような場合でも「まず半年やってみて判断しよう」など従業員がチャレンジできる環境を作り、そのためのリスクを取るのが経営者の役割ではないでしょうか?

8. どないなったら業務改善成功なん?

課題

目標設定といえば売上一辺倒になってしまう。売上以外の目標値を設定することができておらず、ツールの導入効果と結びつけにくいため、ゴールとして曖昧になってしまっている。

kintone SIerとして

kintoneも含めてツールは道具です。道具はなんのためにあるかというと、楽をするためにあります。ゴールは大きすぎるとなかなかそこに向かっているかどうかわからないので、まずは「面倒な作業が楽になる」ということを目指すことが多いです。

SIerとして仕事でヒアリングする時も「面倒な作業ありますか?」というような聞き方をすることも多いので、みなさんもまずは面倒をなくすということを小さなゴールとして設定してみてはどうでしょうか?

SIerとしてお仕事をさせていただく場合、「売上を上げる」というゴールを設定することはその業務特性上難しいので、上に書いたようなゴールを設定することになります。そういう意味では、SIerは小さなゴールをたくさん設定することには長けているので、相談してみてはいかがでしょうか?

経営者として

企業の目標は売上をあげて利益を出すことです。売上はわかりやすいゴールとして使われがちですが、個々の活動が売上につながっているかどうかを判断することは難しい事が多いです。

売上を向上させるには、そのためのアイデアが必要です。そのアイデアを生むには余裕が必要です。ツールをうまくつかって、業務を効率化することで、その余裕を生むということを目標にしてみてはどうでしょうか?

いいアイデアは、家でお風呂に入っているときに浮かんできたりするものです。そのためにも従業員の方に心の余裕が生まれるようなツール導入を目指してみましょう。

まとめ

長くなってしまいましたが、これがみなさんのIT導入のヒントに少しでもなれば幸いです。

投稿者プロフィール

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金春 利幸
"gusukuシリーズプロダクトマネージャー
ノーコード(No-Code)の有効性に着目し、kintoneとgusukuシリーズの普及のため全国を飛び回っています。"