東関交通株式会社様 事例紹介

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「うちにはシステムなんて無理」から年間360時間削減へ。中小バス会社が実現した、自社専用アプリによるDX

東関交通株式会社
代表取締役 浅川 範仁 様
専務取締役 浅川 義範 様

東関交通株式会社は、設立40年を超える千葉県成田市のバス会社です。貸切バス・タクシー・ハイヤーなど55台以上を保有しています。今回、貸切バスの受注管理をはじめ、車両管理、従業員管理、タスク管理など複数の業務をkintoneでアプリ化。
サイボウズ社のkintoneとアールスリーの業務改善・システム開発サービス「キミノマホロ for kintone」により、紙やExcel、Googleスプレッドシートなどに分散していた情報を一元管理できる仕組みを構築しました。その開発の経緯と導入効果についてうかがいました。

バス車両数が5台から31台へ。1人に頼る受注管理が経営リスクに

Q:はじめにkintone導入の経緯を教えてください。

社長 浅川様

貸切バス事業の拡大に伴い、車両数は当初の5〜6台から31台へと約6倍に増加しました。一方、受注管理は長年業務に精通した担当者1人に頼る状態が続いていました。

受注内容は紙のカレンダーや既存の運行管理システムで管理していましたが、詳しい内容を把握できるのは担当者本人だけ。他の社員は「その日に仕事が入っている」ことは分かっても、依頼元や金額などの詳細まではすぐに確認できませんでした。

車両数が少ないうちは1人でも対応できましたが、事業規模が拡大するにつれて、担当者が不在になれば業務が回らなくなるリスクや、情報共有不足によるミスへの懸念が大きくなっていきました。そこで、「担当者しか分からない管理」から「誰が見ても受注状況を把握できる管理」へ変えることを目的に、システムの見直しを始めました。

「大手向け」だと思っていたkintone。バス会社の事例から自社にも使えると直感

Q:世の中にはさまざまなシステムがありますが、kintoneの決め手は何でしたか?

社長 浅川様

kintoneの名前はCMなどで知っていましたが、当初は「大手企業が使うシステム」という印象があり、自分たちのような中小規模のバス会社が使うものだとは考えていませんでした。そのイメージが変わったのは、kintoneを導入している小規模なバス会社の事例を見つけたことがきっかけです。その会社も、営業や配車、受注管理を特定の担当者に頼っており、「その人がいなければ受注状況が分からない」という、自社とよく似た課題を抱えていました。

それをkintoneで改善している事例を見て、「小さな会社でも、自分たちの業務に合わせた専用の受注管理アプリを持てるんだ」と具体的にイメージできました。既製のシステムに業務を合わせるのではなく、自社に必要な項目や仕事の流れに合わせて仕組みをつくれる。それが分かったことで、kintoneは一気に現実的な選択肢になりました。

今回は貸切バス車内での取材のため、kintoneの画面をバスのモニターに投影した

同じバス業界での実績と、完成形が見える提案が決め手に

Q:kintoneの開発をアールスリーにご依頼いただいた決め手を教えてください。

社長 浅川様

kintoneの導入事例を調べる中で見つけたのが、大手バス会社の事例でした。その開発を担当していたのがアールスリーです。同じバス業界での開発実績があることから、バス会社特有の業務や仕事の流れを理解してもらいやすく、開発もスムーズに進められるのではないかという安心感があり、サイボウズを通じて相談しました。

他社からも見積もりを取りましたが、アールスリーは料金が明確で、導入後のフォローがあることも安心材料になりました。中でも決め手になったのが、担当の浅賀さんの対応です。サイボウズ社のイベント「Cybozu Days」で直接話した際、希望している仕組みがkintone上でどのような形になるのかをパソコンで見せてもらい、導入後の姿を具体的にイメージすることができました。

また、予算の都合で利用を予定していたライトコース(高度なカスタマイズができない)についても、「できること」「できないこと」を事前に明確に説明してもらえました。完成形と制約の両方を具体的にイメージできたことが、「ここなら任せられる」という判断につながりました。

貸切バスの受注管理アプリで、受注・売上・入金管理をひとつに集約

Q:開発したkintoneアプリ「貸切バスの受注管理」について教えてください。

社長 浅川様

今回の開発のきっかけとなったのが、貸切バスの受注管理アプリです。このアプリでは、誰が、どの顧客から、どんな仕事を、いつ受注したのかを一つの画面で確認できます。さらに営業担当者ごとの売上や粗利も集計できるため、受注管理だけでなく営業管理ツールとしても活用しています。

これまで営業担当者が個人のExcelで管理していた売上情報もkintoneに集約。社内で共有し、必要に応じて他のメンバーも確認・編集できるようになりました。スマートフォンから確認できるため、外出先でも最新の受注状況を把握できます。

さらに、受注ごとに入金済みかどうかを確認できる機能も追加しました。「この仕事の入金はあっただろうか」と別のシステムや資料を確認する必要がなくなり、受注・売上・入金管理までを一つのアプリに集約できました。当初は入金管理のために別サービスの導入も検討していましたが、kintoneにまとめることで、複数のツールを使い分ける必要もなくなりました。

受注管理アプリ

タスク管理アプリで、誰が、どこで、何をしているかを一目で共有

Q:開発したkintoneアプリ「タスク管理」について教えてください。

社長 浅川様

以前は、私が作成したGoogleスプレッドシートで社員の予定や業務内容を共有していました。これをkintoneのタスク管理アプリに移行し、担当者・作業内容・時間などを一覧で確認できるようにしました。

「本日の作業」で絞り込めば、その日に誰がどこで何をしているのかが一目で分かります。社員は経営陣の予定も確認できるため、「外出する前に相談しておこう」「会議が終わってから報告しよう」といった段取りも立てやすくなりました。

各タスクのレコードには、予定だけでなく作業内容や業務ログも自由に記録できます。社員にとっては自分のメモとして、社長や専務にとっては営業日報としても活用されています。

タスク管理アプリのレコード内は自由記入

さらに便利なのが、社内への一斉周知です。健康診断や写真撮影、定例ミーティングなども、タスクを一つ登録して関係者を設定すれば一度に共有できます。以前のようにLINEで一人ずつ連絡する必要がなく、情報もポータル上に残るため、確認のためにメッセージを探す手間もなくなりました。

タスク管理アプリの内容をkintoneのポータル画面に表示させ、社員全員のその日の行動を共有できるようにした

開発当初は、予定をカレンダー形式で表示することを希望していました。しかし、ライトコースでは希望するカスタマイズに制限があります。そこでアールスリーが提案したのが、「本日の作業」などの条件でタスクを絞り込み、日付順の一覧としてポータルの目立つ位置に表示する方法です。カレンダー表示そのものにこだわるのではなく、「今日、誰が何をするのかをすぐ確認したい」という本来の目的を、基本機能の範囲で実現できました。

紙の台帳や書類をkintoneへ集約。探す・確認する・忘れない仕組みに

Q:書類業務のDXをkintoneで実現したケースについて教えてください。

専務 浅川様

車両マスタや従業員マスタ、乗務員の健康管理、車検証など、これまで紙や複数のスプレッドシートで管理していた情報もkintoneに集約しました。バス事業では、従業員台帳や車両に関する各種書類を保存し、監査などの場面で確認できる状態にしておく必要があります。現在は紙の原本を保管しながら、スキャンした書類や必要な情報をkintoneにも登録。「必要な書類を探しに行く」管理から、「検索すればすぐに出てくる」管理へと変わりました。

例えば、外出先で車検証が必要になった場合も、kintoneからその場でデータを確認・ダウンロードできます。また、車両マスタでは車検時期を管理し、直近で車検が必要な車両を一覧で確認できるようにしました。乗務員の健康管理についても、過去の検査記録をkintone上で確認できます。

これまで受注管理のExcel、車検管理やツアー管理のスプレッドシートなど、業務ごとに分散していた情報がkintoneに集約されたことで、必要な権限を持つ社員が同じ情報を共有できるようになりました。

業務理解の速さと、「できない」で終わらせない提案力がある

Q:今回の開発ではkintoneのライトコースでカスタマイズに制限がありました。どのようにアプリ開発の要望を実現しましたか?

アールスリー 浅賀

例えば車両管理では、車検期限を把握するために3つの工夫をしました。1つ目は「来月の車検」という検索条件をつくり、直近の対象車両を一覧で確認できるようにすること。2つ目は、フィールドへの色付けなどができない代わりに絵文字を使って視認性を高めること。3つ目はメール通知です。

一方、オイル交換の通知では件数が多くなりすぎると、大切な通知が埋もれてしまいます。そこでメール通知は使わず、「前回の交換日」や「走行距離」で対象車両を絞り込んだ一覧を確認する方式にしました。

期限の迫った車両を絞り込みで一覧表示させ、絵文字で重要事項を目立たせている

アールスリーでは、高度なカスタマイズをすればよいとは考えていません。将来の保守性も考えながら、できるだけシンプルな方法でお客様の目的を実現することを大切にしています。今回もライトコースという制約の中で、「本当に実現したいことは何か」を確認しながら、基本機能を組み合わせて最適な方法をご提案しました。

Q:アールスリーの開発に対するご感想をお教えください。

専務 浅川様

印象的だったのは、アールスリーの業務理解の速さです。バス業界特有のオイル交換や乗務員の健康管理などについても、説明するとすぐに仕組みを理解してアプリへ反映してくれました。要望をそのまま形にするだけではなく、「それなら、こうした方が使いやすいのでは」と次の提案が出てくるので、開発もスムーズに進みました。

定期的なミーティングでは、前回の課題が次回までに解決され、実際に使ってみて問題があればすぐに修正してもらえました。その結果、当初想定していたよりも開発が順調に進み、時間に余裕があればつくりたいと考えていたツアー管理アプリまで、期間内に形にしてもらうことができました。

「探す・聞く・待つ」が無くなり、社内全体で年間約360時間を削減

Q:kintoneアプリの導入効果について教えてください。

専務 浅川様

特に大きな効果を感じているのが、情報を探したり、誰かに確認したりする時間の削減です。以前は、「あの書類はどこにある?」と探したり、外出先から事務所へ電話して、必要な情報や書類を確認してもらったりすることが少なくありませんでした。

一つひとつは数分の作業でも、社員全体で積み重ねると大きな時間になります。社内では、こうした「探す・聞く・待つ」時間が、全体で1日約1時間、月約30時間、年間約360時間削減できているのではないかと試算しています。時間だけではありません。書類が見つからないことによるストレスや、「あの確認を忘れていないだろうか」と気にし続ける負担も減りました。

また、一般社員にはデータを削除できないよう権限を設定し、誤操作によるデータ消失を防止しています。人によって整理方法が変わる紙や個人管理のExcelとは異なり、決められた項目に沿って登録するため、個人の整理能力に左右されず、会社として同じルールで情報を管理できるようになったことも大きな成果です。

「自社でアプリ開発」は難しくても、プロと一緒なら一歩を踏み出せる

Q:kintoneの開発パートナーを検討している企業様へのメッセージをお願いします。

社長 浅川様

kintoneは自由度が高く、自社の業務に合わせたアプリをつくれることが大きな魅力です。一方、中小企業には「自分たちでアプリをつくる時間がない」「社内に詳しい人がいない」「何から始めればいいか分からない」という壁もあります。私たちも同じでした。

やろうと思えば自分たちで作れたのかもしれません。ただ、限られた人数で日々の業務を回している中、経営陣が時間を割いてゼロから仕組みを考え、アプリを作り込むのは現実的ではありません。そこで大きな力になったのが、アールスリーのサポートでした。「こんなことができたらいい」という要望を伝えれば、それを業務に合った形に整理し、実際に使えるアプリとして形にしてくれます。

自社の業務を一番よく知っている私たちと、kintone開発のプロであるアールスリーが一緒につくる。だからこそ、専門知識がない私たちでも、自社専用の仕組みを実現できたのだと思います。

バス会社では、今もFAXや紙でのやり取りが多く、「アプリ開発なんて自分たちには難しい」と感じている会社も少なくないと思います。でも、一歩目を専門家に支えてもらえば、その先は思っていた以上にスムーズに進みます。私たち自身、アールスリーの伴走があったからこそ、構想だけで終わらせず、実際の業務改善まで進めることができました。

写真左:社長浅川様、中央:アールスリー浅賀、右:専務浅川様

貴重なお話しをありがとうございました。

取材2026年9月

東関交通株式会社様:https://tokan-kotsu.com/

アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。