なぜあの会社は業務改善に成功したのか?kintone導入前にやるべきこと

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「業務を効率化したい」「情報共有をスムーズにしたい」―――そのような課題を抱え、kintoneの導入を検討している企業は少なくありません。

しかし、同じようにkintoneを導入しても、大きな成果を上げる企業とそうでない企業に分かれてしまうのはなぜでしょうか。その違いは「kintoneを導入する前の段階」にあります。

本コラムでは、実際にkintoneを活用して業務改善に成功した企業の事例をもとに、導入前に必ず押さえておくべきポイントを解説します。

kintone導入プロジェクトが失敗する典型的なパターン

多くの企業が陥りがちな失敗パターンがあります。それは「kintoneを導入すること」が目的になってしまうケースです。

例えば、こんな進め方をしていませんか?

  • 「kintoneが便利らしいから、うちでも使ってみよう」
  • 「とりあえず導入して、使いながら考えよう」
  • 「現在の業務をそのままkintoneに移せば効率化できるはず」

一見、積極的で前向きな姿勢に見えますが、実はこれらのアプローチには大きなリスクが潜んでいます。

リスク1: 目指すゴール(導入の目的)が曖昧

「何のために業務改善するのか」が明確でないと、導入後に「結局、何が良くなったのか分からない」という状況に陥ります。投資対効果も測定できず、プロジェクトの評価もできません。

自分達では目的を明確にしたつもりでも、手段が目的化してしまい、いつの間にかツールの導入が目的になってしまっている事もよくあります。

リスク2: 既存業務の問題点がそのまま残る

現状の業務フローに潜む非効率や無駄をそのままkintoneに移しても、「デジタル化された非効率な業務」が出来上がるだけです。紙の帳票をそのままkintoneに移しただけでは、本質的な改善にはなりません。

リスク3: 現場の混乱と抵抗

業務の実態を十分に理解せずに導入すると、「使いにくい」「かえって手間が増えた」という現場の不満を生み、定着しないまま形骸化してしまうケースも少なくありません。

成功企業が必ず実践している「3つのステップ」

では、kintoneを活用して業務改善に成功している企業は何が違うのでしょうか。実際の導入事例から見えてきた、成功のための3つのステップをご紹介します。

ステップ1: 課題と目的の明確化

成功している企業は、まず「解決したい課題」と「達成したい目標」を具体的に定義しています。

  • 「営業担当者ごとに管理方法が違い、情報共有ができていない」
  • 「請求書発行に毎月◯時間かかっており、経理担当の負担が大きい」
  • 「顧客情報が散在していて、過去の対応履歴が分からない」

このように、現場で起きている具体的な問題を洗い出し、それを解決することで「営業効率を20%向上させる」「経理業務時間を半減させる」といった定量的な目標を設定します。

ステップ2: 業務プロセスの可視化と再設計

次に重要なのが、現状の業務の流れを詳細に分析し、「あるべき姿」を描くことです。(具体的には、業務フロー図を作るという方法があります)

この段階では、まだkintoneの機能やアプリ設計のことは考えません。「理想的な業務の流れはどうあるべきか」「どの工程を自動化すれば効果が大きいか」「どの情報を誰が・いつ・どのように使うのか」といった本質的な問いに向き合います。

多くの場合、この分析を通じて「実は不要だった作業」や「重複していた入力業務」などが見つかり、それだけでも大きな改善につながります。

ステップ3: kintoneで実現したい事を決める(要件定義)

業務の「あるべき姿」が見えてきたら、次に行うのはkintoneで実現する範囲を決める作業(要件定義)です。重要なのは「何をkintoneで実現し、何をkintoneでやらないのか」を明確に切り分けることです。

kintoneは柔軟性が高く、様々な業務に対応できますが、すべてをkintoneで完結させようとする必要はありません。むしろ、各業務に最適なツール(手作業等の人の運用も含む)を組み合わせ、それらを連携させる方が効果的な場合も多くあります。

この段階で決めるべきことは以下の通りです。

  • kintoneで管理すべきデータと機能(顧客管理、案件管理、契約管理など)
  • kintoneでは対応が難しい、または専門ツールに任せた方が良い機能(決済処理、会計連携など)
  • それぞれのツールをどう連携させるか(技術面、運用面)

重要なのは、「すべてをkintoneで実現しようとする」のではなく、「業務要件に合った最適な方法を選ぶ」という判断です。

実践事例: kintoneを軸に基幹システムを再構築した企業

この3つのステップを実践し、大きな成果を上げた株式会社ワイドループさまの事例をご紹介します。

導入前の状況と課題

同社は物流機器の中古買取と販売をWebサイト「中古でマテハン」を通じて行っている会社です。複数のツール(販売管理システム、kintone、LINE、Google)を駆使して業務を回していましたが、以下のような課題を抱えていました。

  • 販売管理システムが業態に合っていなかったため、機能不足を運用でカバーせざるを得ず、ミスが多発
  • 人によって情報伝達の手段が異なり、案件情報が様々なツールに点在していたため、必要な情報を見つけるのに苦労する
  • システムの不具合により売上データが合わなくなる
  • 売上に応じて人員が必要になるビジネスモデルを変えたくても、システムが追いつかない

ステップ1の実践: 徹底的な現状分析

プロジェクトは「kintoneでアプリを作る」ところからスタートしませんでした。まず行われたのは、既存の各システムと業務フローの徹底的な分析です。

現場担当者へのヒアリングを重ね、「どこで手間がかかっているのか」「どの情報が必要なのか」「どんなデータを経営判断に使いたいのか」を丁寧に洗い出しました。

その結果、明確になったkintone導入の目的は「事業拡大に対応できる業務基盤の構築」と「データに基づいた迅速な経営判断の実現」でした。

ステップ2の実践: あるべき業務フローの設計

目的が明確になった後、「理想的な業務の流れ」を設計しました。この段階でも、まだkintoneの具体的なアプリ構成は決まっていません。

設計されたのは、商品の買取から支払、販売商品の見積作成から販売・請求書発行・入金確認までの流れで、担当者が手作業で転記する手間を省く仕組みを想定したものでした。

ステップ3の実践: kintoneを軸とした最適なシステム構成

業務の「あるべき姿」が明確になった後、要件定義のフェーズに入りました。ここで重要だったのは、「すべてをkintoneで完結させようとしなかった」ことです。

例えば、経理業務においてkintoneで実現するには難易度が高い業務がありました。しかし、実施頻度が低いため、kintoneから出力したデータをExcelで管理する運用としました。

これにより、kintoneの強みである「柔軟なデータ管理と可視化」を最大限に活かしながら、各業務に最適化された機能を実現できたのです。

導入後の成果

kintoneを軸としたシステム稼働後、同社では以下のような成果が得られています。

  • 顧客や案件の情報がkintoneに集約され、情報を探すのが楽になった
  • 業務に合わせたシステムを作れた事で、入力ミスや入力漏れが減少した
  • 売上データの不一致が解消した(一致しない場合でも原因の特定が可能に)
  • 業務が効率化された事で、攻めのビジネスへ転換できた

重要なのは、これらの成果が「kintoneを導入したから」ではなく、「kintone導入前の準備をしっかり行ったから」得られたという点です。

詳しい内容は導入事例ページもご覧ください。

株式会社ワイドループ様 事例紹介

株式会社ワイドループ取締役 川咲 亮司 様営業部リーダー 丹羽 雅彦 様 2024年11月に行われた「kintone hive tokyo vol.20/kintone AWARD」にて、 ワイドループ様が見事グランプリ […]

あなたの会社で今すぐできること

では、これからkintoneを導入する企業は、何から始めればよいのでしょうか。

1. 課題を書き出してみる

まず、現場で困っていることを具体的にリストアップしましょう。「なんとなく非効率」ではなく、「◯◯の作業に毎月◯時間かかっている」「◯◯の情報が見つからず、顧客を待たせている」といった具体的な問題を挙げていきます。

kintoneは業務に合わせて柔軟にシステムを作る事ができますが、解決すべき課題が明確でなければ、その柔軟性を活かすことはできません。

2. 業務の流れを整理してみる

業務フロー図を作るなどして、現在の業務を視覚的に整理し、全体を俯瞰します。
そうすると、新たな課題が見つかったり、原因を把握しているつもりでも実は別の要因による課題だと気づいたりするなど、新たな発見につながります。

3. 現場の声を聞く

kintoneの導入担当者だけで判断せず、実際に業務を行っている現場の声を丁寧に拾い上げましょう。彼らが日々感じている不便さや改善のアイデアこそが、kintoneを効果的に活用するための鍵になります。

まとめ

kintone導入の成功と失敗を分けるのは、「導入前の準備」にあります。

kintoneは優れたプラットフォームで、柔軟性が高く、様々な業務に対応できます。しかし、その柔軟性を活かすためには、まず自社の課題を明確にし、業務プロセスを整理し、その上でkintoneに最適化した設計と実装方法を選ぶ必要があります。

「失敗したくない」と考えるのは当然のことです。だからこそ、焦ってkintoneのアプリを作り始める前に、今回ご紹介した3つのステップを踏んで、着実に業務改善を進めていきましょう。

もしkintoneの導入を検討されているなら、まずは「kintoneで解決したい課題」を書き出すことから始めてみてはいかがでしょうか。

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