初期費用?ランニング費用?kintone(キントーン)の料金どっちがいい?

kintoneは、サブスクリプションサービスつまり月額もしくは年額で継続的に費用が発生するサービスです。さまざまなお客様とお話をしていると、このようなランニング費用を嫌う方が一定数おられます。

SaaS登場以前はパッケージソフトあるいはちょうどいいパッケージソフトがなければ独自に開発という手段になっていたわけですが、その場合は、大きな初期費用と毎年かかる保守費というのが一般的な形となります。

現在は、SaaSが普及してきておりパッケージソフト(や独自開発)は減少傾向にあります。つまりランニングコストを払うことを選ぶ人が増えてきていることを意味しています。

このコラムでは、SaaSのようなサブスクリプションサービスの特徴とメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。

サブスクリプションサービスはなぜ継続課金なのか?

ITは、今やビジネス推進に必要なインフラストラクチャーだと言っても過言ではないと思います。そして、世の中のサービスは、インフラストラクチャー色が強くなるほど、従量課金になる傾向があります。

たとえば、電気・ガス・水道が典型的な例です。電気・ガス・水道は基本料金がありますが、それ以外の部分は使った分だけ支払う仕組みになっています。電話も基本的には従量課金です。(携帯電話の複雑な料金体系についてはここでは触れません)

では、なぜこれらのサービスは従量課金なのでしょうか?

私個人の見解としては、インフラストラクチャー化したサービスは利用者が多くいます。その多くの利用者で不公平感なく、提供された価値に応じて費用を負担をしていただこうとすると従量課金という課金形態になります。(それだけではなく、これまで競争があまりなかったからという側面もありますが、それについてはこのコラムでは触れません)

さて、SaaSです。SaaSは、たくさんのユーザーさんに利用していただくことを前提として開発されます。そして、そのユーザーさんに不公平感なく、提供した価値に応じて支払っていただくという形になっています。電気・ガス・水道と同じなんです。

なぜ、そうなるのかというと、SaaSはソフトウェアそのものを販売しているのではなく、運用保守も含めて利用することによる価値の提供になるからに他なりません。これをよく「所有から利用へ」と言われます。

パッケージソフトの場合は購入して終わりで、それをコンピューターにインストールして運用するのはユーザーの責任になります。反面、SaaSはインストールも不要でサービス提供者が運用保守までやってくれます。

これがSaaSの一番の特徴でクラウドサービスのよさです。

継続的に課金されるのは、運用保守していくために必要だからです。使い続けている限り価値が提供されているのでそれに応じた費用負担をしていただくというモデルです。

そして、運用保守以外にもいいところは、機能アップしていくことです。SaaSは継続課金することで、その開発企業に継続的に資金が入ることになります。これは、開発のためのガソリンが常に供給されている状態に似ています。ガソリンが常に供給されるのでずっと開発を続けることができるわけです。

パッケージソフトの場合、ある時たくさん売れてもその先に売れるかどうかはわからないため、積極的な開発投資を行うことが判断しづらくなります。(もちろんそこは経営者の手腕が問われるところでもあるのでパッケージソフトがだめということではありません)

SaaSのメリット

失敗コストが低い

kintoneをはじめ多くのSaaSでは初期費用がかかりません。ランニング費用だけで利用できるものが大半です。これが意味することは「失敗するコストが低い」ということです。

そのソフトウェアが自社の業務に合っているかどうか判断するには使ってみるのが一番です。kintoneをはじめ大体どのようなサービスでも30日間お試しなどがありますが、その期間だけですべてを理解して判断するのは難しいケースが多いです。

しかし、「30日のお試しで判断できなかったので諦める」ではもったいなすぎます。kintoneであれば1ユーザー月額1,500円で5ユーザーから利用できますので、月7,500円から利用できます。3か月利用して22,500円です。

これは、万が一3か月やってみて失敗だと判断するとしても22,500円しかかからないと理解できます。パッケージソフトだと、初期費用が最低でも何十万円とかかり、さらに稼働させるためのサーバーを購入し、それを運用するためのITの専門家を雇用したりとなります。3か月で失敗と判断しても、その時点でかなりの額が使われてしまっていることになり「辞めたいけど辞められない」という状況になります。

事業に合わせたコスト負担

SaaSは従量課金のものが多いです。kintoneであればユーザー数で課金されます。このことも予算が確定しづらいなどの理由から嫌われることがあります。ただ、ユーザーが増えるということはそれだけビジネスが成長しているということであり、そのビジネスの成長に合わせてITコストを制御できるというのはメリットだと言えます。

ビジネスが好調で、人員が増えている時に月1,500円のコスト負担ができないとすると、そのビジネスは本当に好調と言えるでしょうか?もし、この負担が重いということであれば、そもそもkintoneだけでなく全体のコスト構造を見直す必要があるのかもしれません。

弊社のお客様でも、コロナ禍においてビジネスが影響を受け、辞めていったメンバーもいたためkintoneの契約数を減らしたお客様がいらっしゃいます。残念なことではあるのですが、ビジネスの状況に合わせて制御できているという点ではいいことだと思います。

「調子のいい時に初期投資でドン!と買っておけば、コロナ禍になっても費用かからないじゃないか?」というご意見はあると思います。それはその通りという部分もあるのですが、パッケージでも運用コストはかかり続けますし、初期投資の減価償却費ものしかかります。そして、それらの費用は制御できない費用となります。減らしたくても簡単に減らせないのです。

継続的な機能追加

SaaSの大きなメリットは継続的に機能追加されることにあると言っても過言ではありません。kintoneは毎月機能追加されていますし、弊社のgusuku Customineも毎週のように機能追加を行っています。

これは、上にも書いた通りユーザーのみなさんから継続的に利用料をお支払いいただけるからこそできることで、ユーザーが増えれば増えるほど、機能追加の数や頻度をあげていくことができるようになります。

弊社のgusuku Customineの場合、早ければご要望いただいた翌週に機能追加されるというようなケースもたくさんあります。これはパッケージソフトではありえないようなスピード感だと思います。

SaaSのデメリット

サービス終了のリスク

SaaSを使うことのデメリットはあるのでしょうか?一番のリスクは、そのサービスが終了してしまうことです。買い切りのパッケージであれば、サポート等はなくなるもののそのまま使い続けることも可能ではありますが、SaaSの場合は提供会社がサービスを終了してしまうと使うことができません。

利用者では、これを防ぐ術がなく悩ましいです。とはいえ、多くの人が継続的に使えばサービス終了されにくくなるという意味で、SNS等を使ってそのサービスの良さを広めることがそのサービスを強くすることに繋がります。

弊社でも、良いと思ったサービスは、メンバーがSNSで発信したりして応援するようにしています。

カスタマイズができない

SaaSは独自のカスタマイズはできないことが普通です。多くのユーザーで共有するサービスなので、一社の要望でカスタマイズすることは困難です。

SaaSはそうすることによって低廉な価格で提供されていますので、これを望むこと自体が間違っているとも言えます。kintoneの場合は、カスタマイズできる範囲が決まっていますが、弊社のgusuku Customineを使うとかなりのカスタマイズができますのでSaaSの中では極めて柔軟性が高いサービスだと言えます。

利用料が爆発する

SaaSは1つ使えばそれで業務のすべてを賄えるということはなく、必要に応じてさまざまなサービスを契約していくことになります。弊社でもたくさんのサービスを契約して使っていますが、気がつくと毎月の課金額の合計が、結構な額になっていることがあります。

必要なものは買わないといけないので構わないのですが、実は全然使わなくなってしまっているサービスや、上位プランを買っているけど、下位プランで実は足りているということもよくあります。

定期的に使っているサービスを棚卸しして、見直しすることはとても大切です。

弊社ではこの棚卸しをしやすいように、契約しているSaaSはすべてそれ用のkintoneアプリで管理しています。

まとめ

ITツール抜きでの業務は、もう考えにくい時代になっています。そして、IT資産を自社で抱え込んでしまうことも、この変化の早い時代にはそぐわなくなっています。そんな中生まれてきたSaaSをうまく使わない手はありません。

これまで触れたようなメリット・デメリットを理解した上で、さまざまなSaaSを使いこなして、より効率化した業務を行っていきましょう!