東急株式会社様 事例紹介

公開日:2020-04-11

新規事業に求められる迅速かつ柔軟な業務基盤づくりに貢献

アールスリーインスティテュートの対面開発がビジネスの最適化を導き出す

【課題】社内ベンチャー立ち上げに必要な業務基盤の構築が急務に

鉄道やバス、不動産などを手掛ける都市開発、生活サービスなど、魅力的な沿線づくりに貢献する様々な事業を展開する東急株式会社(以下、東急)。現在は2015年4月から始まった中期3か年経営計画「STEP TO THE NEXT STAGE」の真っただ中にあり、2022年に創立100周年を迎えるにあたって東急が目指すべき姿の実現に向けて様々な施策を展開しています。その中で具体的に取り組んでいるものの1つが新規事業の創出です。この新規事業においてすでに具現化しているのが、社内起業家育成制度第一号案件となるサテライトシェアオフィス事業「NewWork」。この事業は、主に法人顧客を対象として提携先も含め東急沿線のみならず全国に店舗を展開する計画となっています。 実は、新たに事業化を進めるにあたって必要とされていたのが、利用履歴をベースに請求を行う業務基盤の整備だったのです。

 NewWork事業を起案した経営企画室 企画部 イノベーション推進課 サテライトシェアオフィス事業「NewWork」担当プロジェクトリーダー 永塚 慎一氏は、テナント誘致をはじめとしたオフィス開発・運営事業に携わってきた経験があり、「本社以外の周辺にも働ける場所を確保することで、テナント誘致の際の営業フックにつながる優位性の1つになると考えたのです」とそのアイデアの種を説明します。 ただし、NewWorkは無人で営業することが想定されており、そのためには利用者の活用履歴から請求につなげるまでの課金の仕組みが必要とされました。人件費を抑えながら内装への投資を手厚く行うことで、居心地よく働きやすい空間を付加価値として提供できる環境づくりを目指したと説明するのは同担当プロジェクトサブリーダー 野崎 大裕氏です。「都心にはシェアオフィスがたくさんありますが、我々は家の近くで働ける場所にシェアオフィスを設置するというのが特徴の1つです。また、起業家やフリーランサーではなく企業に勤めるサラリーマンをターゲットとしたスペースを目指しているという点も、他のシェアオフィスとはコンセプトが異なります」。そのため、他人に聞かれないように電話が可能なブースや貸し会議室など秘匿性を維持するためのクローズな空間作りにも力を入れています。ほかにも、企業でも安心して活用できるよう労働時間の把握など労務管理にも配慮した仕組みとなっていますが、実は無人オフィスでその環境を実現するためには、ITによる業務基盤づくりが必須だったのです。

【選定のポイント】同じ人が最後まで関わらない…課題感の共有が大きなきっかけ

基盤を構築する際に社内起業家育成制度の事務局として事業化を支援してきた同課 課長補佐 梶浦 ゆみ氏がこだわったのが、スピード感を持って事業を立ち上げることでした。「システムを発注する前に全体像から詳細まで作りこんだ仕様書を作成した上で見積もりを収受し、すべて決めたのちにシステム開発を始めるというのがこれまでのスタンダードであり、今でもそれは変わりません。しかし、この新規事業の制度がスタートした当時から、進め方については課題感を持っていました。次々と新規事業をスタートさせるには違うやり方が必要だと考えていたのです」と梶浦氏は当時を振り返ります。スピード感を持って進めていくためには、既存のサービスを有効活用しながら手を入れていけるもの、そして万一の失敗時でも撤退しやすいよう、クラウドサービスが最適だという結論に至ったといいます。そこで様々なセミナーに参加するなど情報収集を行う過程で注目したのが、アールスリーインスティテュート(以下、アールスリー)が提供する対面開発のソリューションでした。「不動産開発の仕事をしていたことがありますが、顧客の要望を聞く営業と実際に設計やデザインする人が異なっていることでニュアンスの違いが発生することも。仕事の進め方という点で課題を感じていたのです」と梶浦氏。システム開発という異なる領域ではあるものの、そんな課題を対面開発によって解消していこうという姿勢に共感することができたといいます。実は、当初は業務がしっかりと固まっておらず、ある程度議論しながらシステム開発を行っていくことが想定されており、できる限り柔軟に変更できる仕組みが不可欠だったとも。「すでに実績のあるしっかりとしたクラウドサービスの基盤を駆使し、柔軟に対応できるようなITの基盤を作ってもらえる企業を探していました」と梶浦氏。実際に打ち合わせをしてみるとプロジェクトメンバーとの波長が合ったことも大きなポイントとなり、NewWork事業における業務基盤づくりのパートナーとして、対面開発を得意とするアールスリーが選ばれることになったのです。

【運用と効果】kintoneとAWSの2つのクラウドサービスを最適な形に連携させるインテグレーション

 今回システム化したのは、サービス申し込みから入退出管理による利用実績把握、利用状況の可視化から請求へとつなげる一連の業務フローです。この業務システムの基盤として、管理者およびサービス利用企業の管理者が利用するシステムのインターフェースとして、サイボウズが提供するビジネスアプリ作成プラットフォーム「kintone」を、入退出管理など各システムのハブとなる役割として、アマゾンが提供するクラウド基盤「Amazon Web Services(以下、AWS)」が活用されています。具体的には、kintoneを経由してサービス契約の手続きを行い、AWS上に展開するオープンソースETLツール「Talend」を介して各店舗で行われている入退出情報のやり取りを行っています。「請求金額は毎日AWS上にて集計、計算しており、月の途中でも利用金額の推移が可視化できるようになっています」と野崎氏。各システムとのハブとしてAWSを利用しながら、インターフェース部分はkintoneにて実装するという、それぞれ得意な分野を組み合わせでシステム開発が行われています。  ほかにも、現状の座席数と利用者の状況から混雑状況がWebで可視化できるような仕組みをはじめ、直営店舗ではない提携先を利用した場合の、提携店に対する支払明細の出力なども新たな機能として実装が検討されています。さらに、現在は法人をターゲットにしていますが、フリーランスや小規模事業者、個人に向けたクレジット請求機能の実装も現在計画されています。これら各システムのハブとしてAWSを介して実装される予定となっており、段階を踏んで順次スタートしていく計画です。

今回導入した仕組みについて梶浦氏は「画面周りが柔軟に変更できるkintoneや様々な業務処理が得意なAWSを組み合わせるなど、我々にとって最適な解を提案、実装していただくことができました。一括請負とは違う形で契約できたことで、必要に応じてその都度わかりやすく実装方法を説明いただき、費用についても納得したうえで機能追加が柔軟に行うことができています。プロジェクトを推進するパートナーとしてとてもありがたい」とアールスリーを高く評価しています。また、今回のようなスタートアップにはとても適した環境だと永塚氏も力説します。「その場でイメージを伝えて、それが形にできるのが素晴らしい。こういったスタートアップの場合、対面開発で業務を詰めていくというのは適しています」。今回の仕組みでは店舗の稼働実績がリアルに把握できるため、どの店舗がどの程度使われているのか一目瞭然です。「集めたデータから、次の店舗を出店計画の参考にするなど、事業計画へのデータ活用も可能です」と永塚氏は評価します。今回のプロジェクトに関わらず、これから新たな事業立ち上げを行っていく事務局としての立場である梶浦氏は、今後も実績のあるクラウドサービスと対面開発を行ったアールスリーの組み合わせを成功事例として、適したものがあれば引き継いでいきたいと語っています。

【今後の展望】業務拡張をさらに続けながら、他業務での応用にも期待

今後については、まずは直営店舗や提携先を増やしていきながら、リゾートや地方の出張時にも利用できるよう国内外問わず働ける場所として利用できる拠点を増やしていく計画です。「日本中どこにでもオフィスがあって働ける、という環境をあたりまえのものに。NewWorkが変えていきます。」と永塚氏はその意気込みを語ります。  また、kintoneをはじめとしたクラウドサービスを活用した経験から、他部門の様々な業務に応用できる可能性を感じていると永塚氏。「オフィスビルの賃料管理や契約書管理など、必要な情報をリアルタイムに共有できるようなインフラとして他部門で使う場面は多いのではないでしょうか」。現状では数字の集計やグラフによる可視化は手作業で行われており、時間がかかるだけでなく正確性の面でも新たインフラの検討は必要です。「今はExcelに実績を転記してグラフ化するといった、とにかく手間と時間がかかる作業が社内にたくさんあります。今回の仕組みを応用できる可能性は高い」と野﨑氏。今回の案件を新しいやり方として広く社内に広めていきたいと今後について語っていただきました。

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