帝人ファーマ株式会社様 事例紹介

発注前の段階で開発責任者が同席し、できること・できないことを具体的に話し合えたことが決め手でした

帝人ファーマ株式会社
地域包括ケア事業推進部
染矢 康一郎 様

 帝人ファーマ株式会社様は、在宅医療のための多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」を利用する顧客の管理や請求の管理を行うためのシステムを、サイボウズ社のkintoneとアールスリーの開発により構築されました。今回は、開発に携わった染矢様に開発会社の選定理由や開発の様子についてうかがいました。

バイタルリンクは在宅医療・介護のための多職種連携情報共有システム

 バイタルリンクは在宅医療・介護の関係者が「患者様の情報」を共有するためのシステムです。在宅医療・介護では1人の患者様に対して、職種・事業所の異なる様々な方々、例えば医師・看護師・介護士・ケアマネジャー・薬剤師などが関わります。バイタルリンクを使うと1人の患者様の情報を関係者全員がほぼリアルタイムに発信・共有できるので、より安全で質の高いケアの提供を実現することができます。

バイタルリンクの概要

既存の顧客管理システムを現状の運用に合わせて改修したい

Q:kintone開発のきっかけを教えてください

 2つあります。1つ目は、入力業務など営業担当者の主業務以外の業務改善です。2017年から当社ではバイタルリンクの営業活動報告や契約管理をkintoneで行ってきました。しかしシステム作成時から時間が経ったことで同システムの入力項目が現状に対応できなくなっていました。そのため、どこに入力したら良いか迷ったり、入力ミスをしたりということがたびたび起こっていました。
 2つ目はExcelで行っていた請求管理のシステム化および煩雑さの解消です。

Q:kintoneをやめる選択肢もあったと思いますが、利用を継続した理由を教えてください。

 kintoneをやめて別のサービスに変更するには時間もお金も必要ですし、kintoneは十分にメリットがあると感じていたので、既存システムの改修を行う方針を決めました。

営業が「できる」と言った後に、開発者が「できない」と言いだす問題に直面

Q:開発会社をどのように探されましたか?

 今回は既存システムの改修・拡張だったので、まずは2017年に開発を依頼した開発会社に相談をしました。こちらの意図・予算・納期などをその開発会社の営業に伝えて合意を得ました。その後、細かい仕様を詰めていくと「そんなに変更をするのならもっと時間もお金も必要」と言われてしまいました。こちらとしては事前に合意を得ていたので「なぜ?」という思いがありましたし、それなら最初からもっと踏み込んだヒアリングと提案をしてほしかったという思いが残りました。

 この出来事から、再び開発会社を探し始め、サイボウズのホームページに紹介されていたkintone開発パートナー会社の中から4〜5社に問い合わせました。最初の打診に対して「対応可能」と答えた会社は3社でした。うち1社には一度はできると回答をいただいた後に「やはり他社が作ったシステムの改修はできない」と断られました。他の開発会社もJavaScriptが分かるらしい営業さんが来られるのですが、システムの本丸の話しとなると開発の専門家が必要になり、その場で解決できないことが多くありました。

発注前から「開発責任者の同席のもと要望を聞いてくれた」ことが決め手

Q:開発会社にアールスリーを選んだ理由を教えてください

 アールスリーからは「gusuku Customine(グスクカスタマイン)」というノーコードでkintoneをカスタマイズできるツールを使うことで、希望納期と予算で開発できるとのお返事をいただきました。営業の林さんがしっかり話しを聞いてくれて、発注前の段階で開発責任者の浅賀さんもミーティングに加わり、当社の要望に対して具体的に「できる・できない」を明らかにしてくれました。これがアールスリーさんを選んだ1番の理由です。この選択は今でも良かったと思っています。

 今回の開発はkintoneの改修だったので、どのようなシステムにしたいか、どのような機能がほしいかは明確でした。しかし私にはこれらの要望をkintoneでどのように表現するのかは分かりませんでした。アールスリーさんとはこの点を一つ一つ話し合えたので「これならできそうだな、作っていけるな」と感じることができたのです。

要望をどのようにkintoneで表現するかを示した提案書

新規顧客の登録から請求書管理まで、一つの台帳で繋がったシステムが完成

Q:今回開発したkintoneアプリについて教えてください

 今回開発した主なkintoneアプリは、見積申請アプリ&契約申請アプリ(営業とその上長・バイタルリンク管理者が利用)・請求管理アプリ(本部が利用)・台帳アプリ(データベースの役割)の4つでした。

契約申請アプリ(一部を抜粋、申請により変更される項目は黄色で表示される)

請求アプリ(1クリックで毎月の請求データが作成される)

Q:開発の重要なポイントはどこでしたか?

 「契約申請アプリ」の利用者である営業担当者と本部(バイタルリンク管理者、請求管理者)の両者にとって使いやすいものにすることです。バイタルリンクは申込みのパターンが非常に多いので「その申込みの処理に携わる人だけ」にワークフローで通知が行く仕組みにすることには苦労しました。開発責任者の浅賀さんが開発課題を共有できる「課題管理アプリ」をkintone上に作り、文字情報で課題をしっかり管理できたことも、大量の申請パターンを網羅する上記機能の実現のために大きく役立ちました。同時に、文字情報だけでは勘違いが起こりやすいので重要な課題については電話やウェブ会議で話し合いました。これは正解で「この点は、こういう意味合いでしょうか?」と開発の浅賀さんに聞かれて改めて自分の記述を読み返すと「確かにそう読めるな!」と気づくことがありました。これらのやり取りを経て希望の動作をするアプリが完成しました。

課題管理アプリ

アールスリー開発責任者 浅賀より

 染矢様は利用者様が使いやすいアプリを目指されており、申請内容に応じて、入力項目を出したり・隠したりできる画面表示を望まれていました。その実現のために、申請パターンの一覧表を染矢様に作っていただき、認識合わせを丁寧に行いました。運用を始めた後に「このパターンが無いね」ということが起こらないようにしたかったからです。資料をよく見ながら染矢様と十分な会話をし、kintone開発の特徴である「実際のアプリを作りながら触りながら進める」ことを丁寧に繰り返して完成させました。

入力の迷いやミスが減ったことで、本質的な仕事に充てる時間が増加

Q:kintoneの改修効果について教えてください

 営業担当者は「申込書」の項目名とkintoneの入力画面の項目名が同じになったことで、ミスなく迷いなく入力ができるようになりました。以前はどのように入力していいか分からないケースが多く、本部への問い合わせが多くありましたが、これが激減しました。請求管理については、Excelをやめて請求管理をシステム化するという会社の目的を達成しました。こちらも「手入力から起こる入力ミスや誤消去の問題」が無くなりました。これらの効果から、どの職種でも本質的な仕事に充てる時間が増えました。

「アールスリーなら大丈夫。」

Q:最後に、アールスリーの開発を検討されている方にメッセージをお願いします

 私は最初に問い合わせた会社との開発がうまく進まなかったことで、その後のパートナー探しでは「この会社は本当に開発ができるのだろうか?」と慎重になっていました。そんな時、アールスリーの営業の林さんは、すぐに開発者の浅賀さんを呼んでくれて、できる・できないを詰めてくれたので「ここなら大丈夫だな」と思えました。これが本当に良かったですね!実際に開発が始まると、浅賀さんと連日アプリや電話、ウェブ会議でやりとりをしました。一つ一つの要望や疑問に「こうすればできます」と、できる方法を、親身に、素早く考えてくださいました。このように開発者と直接やり取りができたことで成果物があると思っています。ご自分のやりたいことを明確化されて、応えてくれる会社を見つけ、良きパートナーとともに開発を進められてください。アールスリーはこの意味で、しっかり相談しながら進められました。私は選んで良かったと思います。

写真上段の中央:帝人ファーマの染矢様。緊急事態宣言下での取材のため、オンライン会議形式でお話しをうかがいました

貴重なお話しをありがとうございました。

取材 2021年2月