小倉社会保険労務士事務所様 事例紹介

小倉社会保険労務士事務所
代表 小倉 貴士 様
小林 礼子 様

小倉社会保険労務士事務所は、千葉県千葉市で給与計算や労働社会保険の手続・労務相談を行っている社会保険労務士事務所です。代表の小倉貴士氏と小林礼子氏のお二人で事業を行っています。設立は2020年1月。小倉氏一人だけでスタートし、3月に小林氏が入所しました。お二人は以前、同じ事務所で働いていたそうです。

開業当初は紙の力業で仕事をしていたのですが、小林氏が入所されたタイミングで「kintone」を導入し、1年後にはさらなる活用のため「gusuku Customine」(以下、カスタマイン)を導入しました。

小倉社会保険労務士事務所では、通常の事務所であれば5人分の仕事量を二人で処理しているのです。2.5倍もの業務効率をkintone×カスタマインで実現した経緯と効果について、代表の小倉氏と小林氏に伺いました。

左)小倉氏 右)小林氏

■ノーコードでアプリを作れる点とコスト、使い勝手を考慮してkintoneを導入

以前お二人が勤めていた事務所ではクラウド型のデータベースシステムを利用しており、ITツールのメリットについては理解していたそうです。前職でITツールの選定は小林氏が行っていました。日々、情報収集したり比較検討する中、「kintone」のことを知りました。

小倉氏は起業直後、手続や郵送の管理を紙で行っていました。印刷や送付、送付の管理などの手間が大きくなり、何とかしなければと思っていたところに小林氏が入ってきて、「kintone」の導入を提案してくれました。

「kintoneをお勧めした決め手は、画面周りがシンプルなところです。kintoneは拡張機能が豊富なため、必要な機能を必要な分だけ入れて活用する方が無駄がないと考えました。あとはコストが安いところですね」と小林氏。

「小林が言っているから間違いない、というのもありますが、私もkintoneを触ってみました。ノーコードでアプリを作ったりカスタマイズできるのがすごくカンタンだったので、即入れました」(小倉氏)

まずは基本機能を使い、顧問先一覧や手続管理のアプリを作りました。プラグインや連携サービスを使うことは最初から予定していましたが、まずは1年間基本機能を使いこなすことにフォーカスしました。その間、どのようなプラグインや連携サービスを選択すべきか、どうすれば効率が上がるのか、と日々考えながらkintoneを使っていたそうです。

小林氏はkintone hiveやCybozu Daysといったイベントに参加し、情報収集をしており、そこでカスタマインのことを知りました。

「イベントで事例のお話を聞いていると、カスタマインを入れているところが多く、すごくいい連携サービスなのかな、と思いました。当時、コロナ禍で助成金の申請業務がとても多く、帳票出力の機能が必要でした。ワンクリックで出せれば、かなり業務効率化につながります」(小林氏)

他のプラグインも検討したそうですが、カスタマインは帳票出力以外にできることが多い点に注目したそうです。例えば、顧問先一覧アプリは情報量が多く、タブ形式にして必要な情報を区分けしたい、手続管理のアプリはフィールドを一括で更新したいなど様々なニーズがあったので、カスタマインの導入を決定したとのことです。色々なプラグインを契約するより、カスタマイン1つに絞った方がコストが抑えられるという計算もありました。小倉氏は今回も即ゴーサインを出しました。

「とにかく業務効率を上げたいですね。私は常に新しいものをどんどん取り入れたいと思っています。kintoneがさらに便利になると提案されたので、まず入れてみようと考えました。彼女の方がITスキルが高いということもありますが、ダメなら止めればいいだけなので、チャレンジしました」(小倉氏)

■日付の計算や帳票出力、一括更新など様々なアプリでカスタマインを活用

カスタマインを導入すると、まずは課題だった助成金に関する書類の表紙を、帳票印刷できるようにしました。顧問先へ申請書類の控を納品する際に、中身がわかるようにWordで作成した表紙を貼付していました。

顧問先に納品する助成金の書類控。コロナ初期は提出する書類が多く、
申請件数も多かったため、データ納品で効率化

「以前は『助成金の申請書類控』『給与関連の書類』などの書類を、全て印刷して顧問先に郵送していました。送付する書類は専門性が高いものが多いためいくつかのシステムから出力していますが、それらの表紙をkintoneとカスタマインでボタン1つでPDF出力できるようにし、データ納品に切り替えました。コロナ禍で特に助成金の申請が多かったので、印刷・郵送の手間が省けました。当事務所と顧問先の書類のペーパーレス化に大きく寄与し、その結果月に300枚ほどのペーパーレス化に繋がりました。」(小林氏)

助成金書類控の表紙のPDF出力中の画面と出力したPDF

フィールドをタブでグループ分けするのも簡単でした。手続管理アプリでは一括更新のカスタマイズも活用しています。1日に作業した顧問先をまとめてチェックし、記録できるようにするためです。

「給与の送付チェックアプリもカスタマイズしています。月に30件くらい行っているのですが、データを送り忘れてしまったことがあります。そのため、計算期限のお昼に送付が完了していなければ、kintoneから通知が出るようにしました。送付日が入っていないところが赤く表示されるようにしたので、見逃すこともありません」(小林氏)

給与送付チェックアプリの画面

社会保険労務士の業務では、日付の管理がとても多いそうです。例として労使協定の手続が挙げられます。

労使協定の手続は原則年に1回ですが、例外的に3年に1回のこともあります。例外のケースも含めて決められた期限までに手続を行う必要があるので、カスタマインで日付を計算し、期限の1か月前に通知を出すようにしています。

産休・育休では様々なタイミングで手続が発生します。出産予定日が決まると産休開始日が確定し、出産日が決まると産休終了日・育休開始日・育休終了予定日が確定します。

これらの日付によって手続の必要なタイミングが決まるため、複雑な日付の管理が必要です。そのためこちらもカスタマインで日付を計算し、計算した日付をもとに通知を出すようにしています。

リマインドがないと対応もれが起きかねません。現在はkintoneの基本機能で通知していますが、上限の10個が埋まってしまったので、今後はカスタマインのJob Runnerでコメントを追加し、通知を出すように改良する予定とのことです。

必要なタイミングで通知を出し、対応もれを防いでいます

基本的にアプリの開発やカスタマイズは小林氏が担当しています。お話を聞くに、小林氏のkintoneスキルはとても高いのですが、それでもやりたいことがカスタマインで実現できるのかどうかわからないときがあるそうです。そんな時は、チャットサポートに問い合わせています。

「私はシステムに長けているわけではないので、チャットサポートの方にできるかできないかをはっきりと言っていただけるのはありがたいです。こういうやり方はどうですか、と提案してくれるのも心強いですね」(小林氏)

最近は監督署や年金事務所の行政調査対応や勤怠システムの導入など、手続以外の業務も増えているそうです。そのためにもさらに労働生産性を高めようとしています。社会保険労務士は企業に働き方改革を指南する立場ですが、自分たちができていなければ教えることもできません、と小倉氏は語ります。

kintoneは最小5ユーザーからの契約ですが、お二人で契約し、使い倒されています。自社の業務を完ぺきに把握し、以前使っていたクラウドサービスのうち必要な機能をkintoneで再現するなど、明確に目的を定めているのが成功の原因といえるでしょう。徹底的な業務改善の結果、一般的な事務所であれば5人分の仕事をお二人で対応されているそうです。実質、2.5倍の業務効率改善を実現しており、素晴らしい導入効果と言えます。

最後に、今後の展望を伺いました。

「顧問先に関しての業務ではkintoneがハブになっていて、今はカスタマインがないと処理できないので、必須のシステムになっています。これからもカスタマインでできることを模索して、さらに効率化したいと思っています」(小林氏)

「kintoneとカスタマインに限らず、業務を効率化できそうなシステムがあるならどんどん入れていって、ダメなら止めるということを続けていきます。今ではほとんどの業務がクラウドで完結できるようになったため、削減できた時間を実務に使っていこうと思います」と小倉氏は語ってくれました。

取材日2023年10月