株式会社おおきにホテルズ様 事例紹介

9施設の予約管理が効率化されミスと残業が激減。社員旅行も叶ったkintoneのチカラ

株式会社おおきにホテルズ
ホテル事業部 部長 森田 哲平 様
ホテル事業部 小原 望 様

おおきにホテルズ様は、9棟の宿泊施設・約200室の予約管理を1画面で処理できるシステムをサイボウズ社のkintoneで構築されました。今回は同システムの責任者である森田様と予約業務を担当している小原様に導入の背景・kintoneやアールスリーを選んだ理由・導入効果についてうかがいました。

おおきにホテルズとは

おおきにホテルズは大阪・難波・心斎橋など大阪の観光地エリアで9つの宿泊施設を運営している会社です。部屋数は、2017年頃は約100室でしたが2019年12月は175室(200室に拡大予定)と、3年で2倍に増えました。同施設のユニークな点は「フロントの無い部屋がある」ことで、宿泊者は部屋の鍵番号をメールで受け取り、部屋に着いたら自らロックを解除してチェックインします。そのため同ホテルの予約管理業務では「部屋割り・鍵番号の設定・宿泊者へのメール連絡業務」の正確さがとても重要です。

9施設・約200部屋の宿泊施設を運営

外国のお客様に人気。フロントが無い施設では宿泊者は自ら鍵を開けて入室する
キッチンのあるお部屋
洗濯機のあるお部屋

9施設・200部屋の予約管理を集約できるシステムが必要

Q:kintone導入前の課題を教えて下さい

当社の予約業務には課題が大きく2つありました。

(1)「Excel✕手入力」の予約管理が限界

以前は9施設の部屋割りをExcelの予約管理表で行っていました。同表は施設が増えるたびに横に長くなり操作が難しくなっていきました。この予約表には、予約システムの申込み情報を人が目視確認し、「予約期間に色付け」「宿泊者の名前の記入」「注意事項の記入」をしていましたが「人の注意力の限界を超えるほどの細かな隙間」に手入力をするためミスが起こりがちでした。

(2)9施設の予約管理に9回のログインとログアウト

当社の宿泊施設はフロントが無い施設では宿泊者に自分でチェックインしていただくので、9施設の予約対応はメインの事務所で全て行っています。以前は一般的なサイトコントローラー(複数の予約サイトからの注文を集約できるシステム)だけを利用していたので「施設ごとにログインし、処理を行ったらログアウト」して9施設の管理をしていました。とても手間がかかっていました。

既存システムは9施設を同時に管理できない

Q:予約業務の改善にあたりkintoneに目をつけた理由を教えて下さい

たいていの宿泊施設は1施設の予約管理ができれば良いため、9施設を同じ担当者が管理する当社の状況にマッチする既製品はありませんでした。9施設・約200部屋の「部屋割・金額確定・お客様ごとの要望や問合せ」をひとまとめにできるシステムとなると自分たちで作る必要がありました。調べた結果kintoneが使えると感じました。以前から利用しているサイボウズのメールワイズ(顧客対応に向いているメールソフト)とも連携できるようだったのでメールのやり取りも同時に効率化できそうに感じkintoneの採用を決めました。

「やりたいことを理解してくれた」と感じ発注

Q:アールスリーに開発を依頼した経緯を教えて下さい

9施設・約200部屋の管理をひとまとめにできるシステムとなると開発パートナーが必要です。そこで取引先にkintone開発ができる会社があったのでまずは相談しました。しかしミーティングで「当社のやりたいことを理解していただけていない」と感じ依頼しませんでした。

その後、検索でアールスリーを見つけました。当社の担当はアールスリーの金春さんなのですが、会話の中で「やりたいことを理解してくれている」「システムの目的を分かってくれた」と感じました。いただいた提案も論理的で分かりやすいものでした。目的を理解してもらえていたら最終的に使えるシステムができると思いアールスリーに依頼を決めました。

「部屋割り」「鍵番号の自動生成」「宿泊者へのメールに情報自動挿入」が可能に

Q:完成したkintoneによるシステムについて教えて下さい

完成したシステムには「部屋割り機能・宿泊者情報を一覧確認できる画面・鍵番号の自動生成・宿泊者にメールを送る機能」があります。そして9施設の管理を1回のログインで全て行うことができます。

作業手順は次の通りです。まず9施設の予約情報がkintoneに送られます。次にkintoneの予約アプリでスタッフが部屋を割り当てます。リモートロック(クラウドで鍵番号を変更できるシステム)とも連携しているので部屋割りが済むと自動で鍵番号が生成されます。最後に宿泊者宛に部屋番号や鍵番号を入れた案内メールを送るのですが、ここではメールソフトの記述欄にkintoneから宿泊者にお知らせしたいデータが自動で挿入されます。

実際のkintone予約アプリ

あるお客様のkintoneの予約管理画面

この画面1つで部屋割り・言語の選択・メール送信・部屋番号の発行・宿泊者とのやり取り履歴の確認ができる。他の施設の作業は画面左上の「施設選択タブ」で切り替えるだけ。

あるお客様への宿泊情報案内メール

 kintoneで割り当てた部屋番号や鍵番号が自動でメールの文面に挿入される

3ヶ月で予約システムが完成

Q:アールスリーとの開発の様子と感想を教えて下さい

アールスリーは当社のやりたいことを理解し、kintoneでできること・できないことをハッキリと説明した上でアプリの概要を提案してくれました。提案には目的の1つである「キーバンカーによる鍵の管理をスマートロックに変える」ための仕組みも入れていただきました。このkintoneアプリは2〜3ヶ月で完成しました。最初にやりたいことを握っていたので途中の打ち合わせ回数は少なかったです。

Q:導入後はスムーズにkintoneアプリを利用できましたか?

導入直後は「Excelとの使用感が違うので色々な要望が出てくる」とアールスリーに聞いていたのでkintoneの予約表が使い勝手の良いものに進化するまでの間kintoneとExcelを併用しました。例えば「最初は予約表の横棒に予約人数だけが表示される仕様」だったので「予約者の名前も入るようにしたい」「バーの色数を増やしたい」などとても細かく調整をしました。入力のルール決めは当社の範疇なので、それを決める期間も含めて改良には約6ヶ月かかりました。その後は予約管理をkintoneに一本化しました。アールスリーには私たちの「こうしたい!」というポイントを実現してもらえたと思います。

2倍の予約処理を、同じ人数で、残業なしで可能になるなど、効果多数

Q:kintoneの導入効果を教えて下さい

2倍の予約処理が、同じ人数、残業なしで可能に

当社が管理する部屋数は3年前の2倍になりましたが、同じ社員数で仕事を回せていますし、常態化していた残業も無くなりました。以前は「忙しい・忙しい」と言っていましたが今はその雰囲気はありません。予約業務の効率が良くなったと実感しており、これが一番の効果です。

特に効率化されたのは「宿泊者にメールを送る業務」です。以前はメールの返信はExcelの定型文(施設ごと・言語ごとに作成していた)から必要箇所をコピーアンドペーストしていました。1件数分の作業ですが、ミスは起こりやすく、1日に数十件の予約をさばくのですごい作業量でした。今ではkintoneアプリで「施設・宿泊者の言語」など必要情報を選ぶだけで、然るべきテンプレートがメッセージ画面に自動で挿入されてミスも起こりません。

(旧)Excelで管理していた宿泊者へのメール定型文

Excelで施設ごとに管理していたメールの定型文。これをコピーアンドペーストし、部屋番号・鍵番号などを手動で書き込んでメッセージを送信していたが、記述ミスなども多かった

ミスと、ミスを防ぐためのコピー用紙が激減

Excel管理に比べてミスが激減しました。予約業務が手動であるがゆえに、予約日、宿泊者の名前、部屋番号の誤記入がありました。どれか1つでも間違えるとお客様はチェックインできません。5〜6施設の時代に致命的なミスは月1〜3件も発生していました。細かいものも入れると10件以上のミスがありました。一方、kintoneでは起こったとしても「手動の言語選択ミス」程度です。

同時に減ったのは「コピー用紙の使用量」です。以前はミスを防ぐために予約情報を用紙に出力し「表への記入済みのもの」「宿泊者への連絡済みのもの」などにチェックを入れて何度も確認作業をしていました。1日あたりの予約件数は数十〜100件ほどなので、使っていた用紙はダンボール数箱分にもなりましたが、これでもミスは無くなりませんでした。現在はこうした確認目的で使っていた用紙はほぼゼロになり、確認作業も不要になったので随分な時短も叶いました。当時はこれに慣れていたので何も思っていませんでしたが、kintoneを使ってからは無駄な時間が多かったのだと思いました。

「ミスが減り、随分な時短を達成できた。」と微笑む予約担当の小原さん

営業を続けながら社員旅行に行けた

宿泊施設の営業をしながら1泊2日の社員旅行に行くことができました。以前の予約処理方法は紙も必要だったので誰かが予約業務のために残るか、全館を閉めて行くかのどちらかだったと思います。今回は、事務所の業務をアルバイトスタッフに任せ「社員はバスにノートパソコンを持ち込み予約業務をしながら」という形で石川県の山代温泉を楽しむことができました。

今後の展望:グループ会社の業務を効率化したい

Q:今後はkintoneをどのように活用したいと考えていますか?

全社にkintoneを広げようと考えています。当社の母体は株式会社おおきに商店で、不動産業などを営む約120人の組織です。最初kintoneはホテル事業部だけの導入でしたが、現在はほとんどの部署で利用中です。自分たちで作れる範囲で積極的にkintoneアプリを活用しており、勤怠管理や請求書の発行業務などを行っています。こうした業務はこれまで「Excelで申請書作成→印刷捺印→所属長の印鑑→スキャンして提出」という流れでやっていて手間も時間もかかっていましたが、kintoneでは一瞬で終わるようになりました。次はkintoneと会計ソフトを連携し、帳簿入力を自動化することを考えています。

最初から「開発が分かる人と対話」できる点がおすすめ

Q:kintone✕アールスリーの開発を検討中の方にメッセージをお願いします

アールスリーは良いと思います。営業担当と開発担当がわかれているシステム開発会社の場合、ミーティングで「やりたいことを理解されていない」と感じることは多いです。また「できる・できない」を即判断できず「確認します」と言われることもあります。一方で、アールスリーは最初から開発が分かる人と対話でき、やりたいことを理解した上でシステムを提案してくれますし、kintoneを熟知しているので「できること・できないこと」も明快に示してくれました。できない場合も代案が必ずあり、私たちの「こうしたい!」を実現してもらえたと思います。

貴重なお話しをありがとうございました。
取材2019年12月