株式会社奥羽興産様 事例紹介

公開日:2023-09-26

伴走サービスを活用したノーコードカスタマイズで、不動産業界に特化した業務システムを構築

株式会社奥羽興産
経営企画部 河邉 祐梨子 様

株式会社奥羽興産は平成10年に設立され、物件の賃貸や売買、管理、開発などを手掛ける総合不動産企業です。熊本県熊本市に本社を構えており、扱っている部屋数は2700戸を超えています。これらの入居者からの相談を引き受けており、内容は、家賃の問い合わせなど電話口で解決できるものもあれば水漏れなど急ぎの対応が必要なものまで様々です。以前は紙のメモやExcelを使って情報を共有していたのですが、忙しい時期だと忘れてしまうなど伝達ミスが発生することがありました。そこで、2014年にkintoneを導入し、クラウドで管理するようになったのです。

kintoneの社内浸透が進むにつれ、社員から寄せられる要望のレベルも上がってきました。最初は様々なプラグインを導入して対応していたのですが、プラグインの数が50を超えると競合し、動作しないケースが出てきます。また、それぞれは安価なサービスでも、トータルするとコストがかさんできました。

そこで、多数のプラグインを集約するために、gusuku Customine(以下、カスタマイン)を契約しました。そこからは利用しているほとんどのアプリにカスタマインでカスタマイズを行い、社内の業務システムとして活用しているそうです。さらに、kintoneとカスタマインで作り上げた、不動産特化の業務システムをパッケージ化し、同業他社への導入も行っています。

今回は、kintone×カスタマインでアナログな不動産業務をデジタル化した経緯ついて奥羽興産 経営企画部の河邉祐梨子氏にお話を伺いました。

■個別プラグインで対応していたがフラストレーションが溜まる原因になった

不動産業界はIT化が遅れている業界の一つで、今でも紙で業務を行うことが多いのが特徴です。奥羽興産も9年前までは、電話メモを紙で残していました。しかし、対応を忘れたり、担当者が外に出ていたりして情報共有がうまくいかず、同じ入居者から再度電話がかかってきて、2次クレームにつながることもあったそうです。

当時の管理部部長が管理方法を見直すために情報収集し、出会ったのがkintoneです。すぐ導入が決まり、活用を進めました。河邉氏はkintoneの社内浸透が進んだ2017年に入社し、2021年にkintoneの担当になりました。会社の平均年齢が36~37歳ということもあり、多くの社員は新しいITサービスの活用に協力的だったそうです。しかも、kintoneを使うほどに、「kintoneって自分たちでいろいろと作れるものなんだ」という認識が広まり、要望のレベルも高くなりました。

例えば、たくさんの情報を見やすいようにタブ化したい、ここをクリックしたら特定の情報は表示されないようにしたいといったkintoneの基本機能では行えないニーズが出てきたのです。

まずはコストを抑えるために、個別のプラグインを使うことにしました。そこで、タブ化や表示/非表示、自動集計といったニーズに応えていったのですが、どんどんコストが高くなってしまいました。さらに、最大で50個ものプラグインを使っていたので、プラグイン同士が競合してアプリが正常に動作しないという問題も出てきたのです。とは言え、それぞれ別の開発元が作っているプラグインなので、原因の追及も困難です。

そこで、Webでの検索やパートナーからの紹介によってカスタマインを知り、フリープランでの試用を開始しました。

「フリープランを使うことで、カスタマインならいろいろできそうだ、という雰囲気にはなったのですが、「年額10」プランのコストに手が出せないというジレンマの時期が続きました。このままでは現場の期待に応えることができないというフラストレーションも溜まり、1年後に有償契約することを決めました」(河邉氏)

■伴走サービスgusuku Boostoneで複雑なカスタマイズの実装とスキルアップを実現

カスタマイズでわからないことがあると、積極的にチャットサポートも利用していただきました。さらに、アールスリー本社で開催しているCloud University(カスタマインの有償研修)にも、部署の3人全員で参加したこともあります。

その上、「gusuku Boostone(以下、ブーストーン)」も契約しました。伴走サービスであるブーストーンを契約することで、プロであるアールスリーのアドバイスを受けながらkintoneの開発を進めることができました。複雑なカスタマイズもWeb会議でアドバイスを受けることで、自分自身で実装できるようになりました。

「カスタマインで複雑なことをやろうとすると、自分の知見が足りないので、設定するのにすごく時間がかかってしまうのが課題でした。アプリの開発を外注するという選択肢もありましたが、伴走してもらうことで、自分の成長にも繋がりました。カスタマインに対する概念的な考え方をわかりやすく説明していただけたのがよかったです。なぜこの設定を使うのか、ということを理解できるようになりました。もちろん、スピード感もあってありがたかったです」(河邉氏)

まずは要望のあった、アプリのタブ化や不要な項目の非表示化、自動採番などを行いました。他には、アプリ間のフィールド更新も活用されていました。賃貸物件を管理する際、空室に住む人が決まったら、募集を停止しなければなりません。しかし、賃貸申込アプリには入力したのに、募集申込アプリを止めるのを忘れてしまうことがあります。そうすると、空室情報を見た人が連絡してきたのに、その物件はすでに契約済みとなり、トラブルになってしまいます。不動産業界あるあるの課題ですが、この点もカスタマインで同期させることで、ミスがなくなったそうです。

■最新の「やること」も積極的に活用して業務効率改善にチャレンジ

他サービスとの連携や最新の「やること」にもチャレンジしています。例えば、店頭に来ていただいた顧客には、「フォームブリッジ」(トヨクモ株式会社)を利用して情報の入力を依頼しています。フォームブリッジから登録された情報はkintoneに保存されますが、賃貸契約の申し込みをする場合、再度同じ個人情報が必要になります。顧客に二重入力してもらう手間を省くため、申し込みする顧客の情報は自動的に転記されるようにカスタマイズしています。

一般的に、「フォームブリッジ」からkintoneにデータが入ってきたときにはプラグインは動作しません。これは、多くのプラグインはkintoneアプリでユーザーが操作したときのみに動作するためです。カスタマインなら、Webhook連携の仕組みを使用することで、ユーザーがkintoneの画面を操作しなくても、様々な処理を自動で行えるのです。

賃貸契約の申込フォーム

ブーストーンで伴走してもらいながら開発したのが「請求管理」システムです。家賃の請求をするために複数の保証会社と取引をしているのですが、家賃の算出をするため、他のアプリから複雑な条件に基づいてレコードを取得する必要がありました。難易度の高いカスタマイズですが、その時に登場したばかりの「条件を組み立ててレコードを取得する」を活用することで解決しました。

「条件を組み立ててレコードを取得する」を活用

「請求マスタ」アプリには家賃だけでなく工事などの請求も入っているので、そこから「何月分の家賃」といった条件で抽出し、未入金データの消込をする別システムに渡すために抽出しています。カスタマイズ部分は完成したのですが、お金に関わるアプリなので最終的な動作確認の後に、実業務での利用を開始するとのことです。

社内でのkintoneの活用も進むという嬉しい状況になっていったのですが、アプリスロット数の関係で、要望への対応を断らざるを得ないことが増えてきました。

そこで、上長に相談したところ、2023年2月に待望の「年額1000」プランへアップグレードすることができたのです。

「主要アプリが約30個、周辺アプリが約100個あるのですが、すべてのアプリの要望にカスタマインで応えることができるようになりました。これからはカスタマインでできることはすべて統合し、既存のプラグインも減らしていこうと考えています」(河邉氏)

■kintone×カスタマインで作り上げたシステムで同業他社の力になりたい

奥羽興産はこの9年間に渡ってkintoneとカスタマインで作り上げてきたシステムを不動産特化の業務効率化システム「natos」(https://www.natos.jp)としてパッケージ化しました。すでに、株式会社natosを立ち上げ、販売を開始しています。奥羽興産のメンバー3人が兼務して動いており、代表取締役はkintoneを導入した奥羽興産 取締役 経営企画部長である櫻庭健一郎氏が務めています。「natos」の意味は「納得するシステム」から取ったそうです。

不動産業界は会社同士でバチバチやりあっているようなイメージがありますが、実はそんなことはなく、交流することが多いそうです。同業者と話をする中で、課題や使っているシステムなどが話題に上ります。そこで、自分たちと同じ課題を抱えている人たちが多いことを知り、システムを世に出すことを考えました。

「弊社(奥羽興産)の社長が交流のある他社にシステムを見せたところ、うちでも使わせてくれ、とあちこちから言われたそうです。それがひとつのきっかけとなり、1年半ほど前にnatosを設立し、今はサイボウズのオフィシャルパートナーにもなっています。「natos」を広め、不動産業界のシステム化やDX化を進めていこうと考えています」(河邉氏)

最後に、今後の展望を伺いました。

「今後は、請求管理システムのリリースに向けて詰めていく予定です。「natos」に関しても、導入企業を増やしていきたいです。不動産業界はIT化が進んでいない部分も多く、紙での管理から抜け出せない企業も多くあると思います。ちょっとでもシステムを導入すると仕事が楽になるよ、ということを広めていければと思っています」と河邉氏は締めてくれました。

取材日:2023年7月