日清食品ホールディングス株式会社様 事例紹介

日清食品ホールディングス株式会社
情報企画部 次長 成田 敏博 様
植松 麻子 様

【課題】デジタル化から漏れていた業務をkintone、gusuku Customineを使って改革

 日清食品グループは、デジタル化に意欲的に取り組んでおり、既に多くの業務がデジタル化されています。一方で、紙とハンコを使う従来型の業務も残っていました。それらのデジタル化を進めていく中で、「グループ全体に展開することを前提として、レスポンスやユーザビリティ、開発の容易性を満たすようなソリューションをゼロベースで検討すべき」という意見がでてきた、と日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部の成田 敏博氏は語ります。

 選定に当たって、他社で使われているコラボレーションツールをリサーチしました。実際に動いているものにしぼり、レスポンス、ユーザビリティ、開発の容易性という3つの要件を満たすことのできる製品/サービスかどうかを検討しました。リサーチ対象として21社にヒアリングを行い、そのうち具体的に検討したのは6つのシステムにのぼったと言います。その結果、2020年2月に満場一致でサイボウズ社のkintone導入が決定しました。3つの要件を満たすシステムであること、なかでも開発容易性の高さが決め手になりました。同社ではシステム開発の内製化を進めたいと考えており、その方向性にkintoneの特性が合致したのです。「SIベンダーに開発を依頼すると、システムがブラックボックス化してしまいます。そうしたシステムは継続的なメンテナンスや、業務の方向転換に合わせたシステム改修が困難です」と、成田氏は語ります。一般的にシステム開発の内製化のためにはコーディングできるエンジニアが必要ですが、ドラッグ&ドロップでアプリを作れるkintoneならその点もクリアできます。

 さらに同社は、アールスリーインスティテュート(以下、アールスリー)が提供する「gusuku Customine」をkintoneに組み合わせました。gusuku Customineを使えば、GUIだけでkintoneアプリをカスタマイズできるため、kintoneの基本機能だけでは足りない部分を補うことができます。実際の開発を担当している同部門の植松 麻子氏は、かつてExcelマクロやVisual Basicを使って業務現場の課題に向き合っていた経験を持っています。それらと、kintoneにgusuku Customineを組み合わせた場合との違いを次のように語ります。「ExcelマクロやVisual Basicは、自分が知っている関数やコマンドを駆使して対応していました。一方、gusuku Customineでは、日本語で書かれた『やること』リストを見て、解決策のアイディアを練ることができます。gusuku Customineの機能が増えるたびに、私ができることも増えていくのです」

【選定のポイント】gusuku Boostoneは内製化に向けて必要な伴走者

 kintoneとgusuku Customineを使って内製化に舵を切った日清食品グループ。しかし、システム開発の経験を持つエンジニアがいない中で、新しいシステムを使って内製化を進めるのは容易ではありません。成田氏はそうした懸念を解消すべく、パートナーを探したと言います。「kintoneで自走できるようになるために、頼れるサービスがないかと探しました。サイボウズ社に相談したところ、アールスリーさんが新しいサービスを開始すると教えくれたので、すぐに話を聞きに行きました」

 そのサービスが、アールスリーが2020年春から提供開始している「gusuku Boostone(グスクブーストーン)」です。アドバイザリーや開発の支援など、kintone導入を加速させるサブスクリプション型のSIサービスです。

 gusuku Boostoneは自社でkintone開発を行う人々に寄り添うことで、kintone導入を加速するためのサービスです。まさに、アールスリーに在籍するのべ40名を超えるkintone認定資格保有者の知見を借りることができるアドバイザリーが、自走できる力をつけたい日清食品グループがパートナーに求める要件に合致したのです。もちろん、同社のサービスであるgusuku Customineについてもアドバイスしてもらえるため、kintoneとgusuku Customineを使って内製化を進めようとする日清食品グループには最適のサービスだと成田氏は語ります。「社内でkintoneアプリを開発していく上で、解決できない課題をピンポイントで質問して、クイックかつ的確に回答してくれるパートナーを探していました。その点、gusuku Boostoneは求めるサービスレベルに完全に沿っていました」

【運用と効果】gusukuシリーズの活用でワークスタイルの変化にも迅速に対応

 2020年春、デジタル化を語るうえで欠かせない話題となったのが、新型コロナウイルスの蔓延です。感染拡大防止策として、多くの企業が在宅ワークを取り入れました。食品の製造、販売を行う日清食品グループでは、製造部門は出社を余儀なくされます。一方、IT部門を含む内勤部門は原則出社禁止で在宅ワークとなり、特別な理由がなければ出社しないほどだと言います。

 全社的なワークスタイルの変化をきっかけとして、当初の予定よりも早く、幅広くkintone導入を進めることになりました。「以前は、効率化の必要性はわかるがやり方を変えるのには抵抗がある、という声がありました。しかし、在宅ワークで効率化の必要性が増し、結果的にデジタル化を加速する要因となりました。gusuku Boostoneがあるおかげで、kintoneとgusuku Customineを現場の求めるスピード感で展開できています」と、kintone、gusukuシリーズの効果を成田氏は語ります。依然としてウォーターフォール型で開発、導入するシステムはあります。しかし業務現場に残っている課題を高いスピード感を持って解決するには、kintoneのような新しい解決手法が合っていることを実感しているそうです。

 日清食品グループでは内製化を前提にkintoneを導入しているので、gusuku Boostoneの活用方法も前述の通りアドバイザリーが中心。アールスリーのエンジニアが日清食品グループのkintone画面を直接操作することはありません。開発していくうえで「こんなことができればいいな、できるのかな」と疑問が生じた部分を、アールスリーのエンジニアに質問します。それに対してアールスリーのエンジニアは、社内の知見をフルに活かしながら、解決策を提示していきます。「システム的な制約がある場合をのぞき、ほとんどの質問に解決策を示してくれます。具体的な手法を教えてくれるので、打合せが終わる頃には自分たちでできるようになっています。わからない部分を作ってもらうという支援のしかたもあると思いますが、それでは次回も作ってもらわなければなりません。今のやり方は、毎回の打合せが自走していくための血肉になっている実感があります」と成田氏はgusuku Boostoneを評価しています。

 利用しているkintoneアプリの数は40ほど。ユーザー数は500ユーザーからスタートして年内1500ユーザーを目指していましたが、在宅ワークによって加速し、8月の段階ですでに2100ユーザーに達しました。在宅ワークでも支障が出ないよう、それまで紙だった物を迅速にデジタル化してきた結果です。

【今後の展望】アールスリーはkintone活用に欠かせないパートナーに

 kintoneは今後さらに広範な業務に活用される予定で、既に視野に入っているだけでも数多くの課題解決が期待されています。「各部門にExcelがあり、同じデータをそれぞれの部署が重複入力していたり、他部署と共有できていなかったりします。kintoneならそうした課題を解決し、さらに蓄積されたデータの活用も進むのではないかと期待しています」と、植松氏は今後の展開に意欲を見せます。可視化されていないデータだけではなく、標準化されず手作業で対処している業務も、各部署にまだ多く眠っていると植松氏は考えており、それらの業務もkintoneで標準化、デジタル化していく意向です。

 植松氏も、kintoneを社内の標準ツールとして活用を広げたいと語ります。「これまでは現場からIT導入の相談があっても、導入後のメンテナンスなどを考えると総合的に断らざるを得ないケースがありました。しかし今後は、kintoneを紹介して現場の課題解決に活用してもらうことができます」

 kintoneの活用がここまで迅速に進んだのは、gusuku Boostoneがあったからこそと、ふたりは口を揃えます。特にレスポンスの早さを高く評価しており、「最初に問い合わせをしたときから、早く、しかも丁寧な回答をもらえました。それ以来、ほとんどの質問はその場で回答してくれており、宿題として持ち帰った案件も一両日中には回答をもらえています。いずれgusuku Boostone なしで自走できるようになりたいと思ってはいますが、いつでも相談できる安心感は他に代えがたいものがあります。今後もこのサービスレベルを維持してほしいです」と、植松氏はアールスリーの対応に期待を寄せています。

取材は終始和やかにオンラインで行われた。左)成田氏 右)植松氏

gusuku Customine、gusuku Boostoneの利用を通じてアールスリーへの信頼度も増していると言う植松氏。自走を基本にしているとはいえ、APIを活用するような高度な案件や大きなアプリ開発においては、SIを依頼することも視野に入れていると語りました。「作った物をブラックボックスにしたくないという私たちの姿勢を理解してくれているので、開発パートナーとしても心強い味方です」

 日清食品グループにおけるkintoneを使った業務改革は、アールスリーをパートナーにこれからも広がりを見せていくことでしょう。