イワキテック株式会社様 事例紹介

公開日:2022-06-16

kintoneにより製造情報を一元化することで、材料や半製品の運搬・物流計画のリアルタイムな更新情報の共有を実現し、業務トラブル激減と併せて残業時間の減少、業務の見える化が叶い更なる改善に繋がりました

代表取締役社長 山本 一郎 様
営業グループ 副グループ長 西本 亮生 様
(kintone構築のパートナー)有限会社メイセイ 西岡 弥絵加 様

イワキテック株式会社は大型鋼構造物を製造する会社で、しまなみ街道沿いの島々に3つの製造拠点と取引先を有しています。これまでは製造・物流管理はExcelで計画していましたが、製品製造中の各種情報の停滞や伝達の不備による対応に追われていました。

この度、kintoneを導入し職場毎 担当者毎にてリアルタイムな情報を共有することで、業務の円滑化と効率化を達成すると共に、残業時間の減少や更なる改善に着手出来るようになりました。今回は瀬戸内海島嶼部が舞台の、kintoneアプリ構築を通じた働き方改革の物語をうかがいました。

「少子化による人手不足」解消のためにDX化を図りたい                     

Q:kintone導入前の課題と、導入の経緯について教えてください

社長 山本様

当社は鋼材を加工し組立溶接することで、数十㌧~大きなものでは2百㌧を超える重量物を主として製造しています。

それぞれが受託製造品であることから、自動化は遅れており、職人の技や経験に頼る部分はかなりあります。また 製品の性質上、製造中の仕様変更や物流事情による製造工程見直しなどは日常茶飯事であり、その対策に追われることにも慣れていたのは否めません。

しかしながら、近年は少子化による後継者不在や人手不足を実感するようになり、このままでは将来の生産性低下は免れないと危惧するようになりました。

ついては、IoTなどの先端技術を使って 省人化、省力化への対応や生産性向上への取組が出来ないかと考え、当社のDX活動を始めました。

山の上に置かれたボート中程度の精度で自動的に生成された説明
岩城島の本社工場では大型の鋼構造物を製造。因島工場では船のハッチカバーなどの荷役装置の製造を、向島工場では鋼板加工や船の煙突などの製作をしている。3工場で約6,000トン/月の製品を出荷している

そんなある日、懇意にしている会社の社長さんが自社のkintoneを見せてくれて「凄いアプリができた、しかも自分達でシステムを作れるんだ!」と 興奮ぎみに教えてくれました。その会社は当社と同様に重厚長大産業であることから同じような悩みを抱えていますが、kintoneの仕組みとアプリを見せて貰い、これは当社にも適用できると確信しました。その会社でアプリの構築をされた西岡さんが事情により当社の近くに引っ越してこられました。すぐさま私は「立ち上げを手伝ってほしい」と頼み、当社のkintone開発が始まりました。2021年の夏のことでした。

前職でkintone構築をされていた西岡さんがフリーランス形式でイワキテック社のアプリ開発に参加してくれた

工場への資材運搬を司る「配船物流管理アプリ」を開発                     

Q:最初にどのようなkintoneアプリを作りましたか?

社長 山本様

「製造情報の一元管理ができていない」ことになによりも困っており、そのことから一番トラブルの多い海上輸送計画での問題を解決するために、まず「配船物流管理アプリ」の開発を行いました。問題とは次の通りでした。当社には頻繁に海上輸送を伴う取引先が10社ほどあり、資材、部材や半製品(組立途中の製品)が、当社各工場(岩城島・因島・向島)と取引先工場間を輸送されます。海上輸送は天候の影響や各社のクレーン事情によりスケジュールが狂いやすく、朝に伝えた物流予定がその日のうちに変わっていることがよくあります。これまで部材の移動は朝礼時にExcelや手書きの書類にて計画を伝達、その後の変更は電話を使って管理しており、最新の物流予定を正確に把握できない中、その場の担当者判断にて対応せねばならぬことも多々ありますし、これが更なる混乱を招きます。これらの問題を解決できるアプリを西岡さんに作ってもらいました。

西岡様

「配船物流管理アプリ」は配船と物流の予定がカレンダー表示されるアプリです。

これまでは岩城島の工場構内では20チームが紙で配船の要望を出して、要望が出揃ってから物流管理者がExcelに予定を打ち込み、その内容を印刷して運用していました。kintoneになると、スマホやパソコンから閲覧するので情報が出揃うのを待つ必要がなくなります。要望がバッティングした時に、それまではどうしても早いもの勝ちだったのですが、中身の重要性を考慮できるようにステータス(仮予定・確定・完了)を設け、適切に優先度を反映するようにしました。ここで確定された予定をもとに色々な作業が行われるのですが、作業内容を直感的に理解できるように「作業の色分け表示」を行いました。白黒印刷の予定表を見て作業をする方もいらっしゃるので、Excel時代から利用している「作業内容を表すマーク」を表示させたりと工夫しました。

西本様

スマートフォンを持っていない現場担当者には白黒プリントで予定表を渡します。その時に作業マークが役に立っています。例えば、3基の大形クレーンの下に「玉掛け係」という荷物の積み下ろしを行なう担当が15人程います。彼らは紙の表を見て作業内容を把握しています。

「西岡さんは、現場のみんなが使いやすいアプリを次々と作ってくれた」と語る西本様
◎積込、◯水切り(搬入すること)、□配材、△移動、◇定盤整理、▽トンボ(反転すること)、☆保管、仮予定。これを見れば作業時間、資材や作業の内容がひと目で分かる

西岡様

このアプリを作るために、まずは物流管理者さんらが使っているExcelの帳票や書類を分析しました。その上で運用面のルールなどをヒアリングさせてもらいました。アプリを言葉で説明しても利用イメージは伝わらないものなので、まず試作品を作ってお見せして意見をいただき複数回のブラッシュアップを重ねました。こうして3ヶ月弱で本番稼働に至りました。

配船物流アプリを起点に、1年で20個のアプリを次々とリリース                  

Q:1年弱の間に多くのkintoneアプリをリリースされたそうですが、どのような流れでアプリが増えて社内に浸透していったのですか?

西岡様

一番困っていた配船物流管理アプリがスムーズに使われ始めたことで、現場からアプリ作成の要望が出てくるようになりました。2つ目のアプリは大型のジブクレーンを予約するアプリでした。その次は因島工場専用の配船物流管理アプリで、本社工場のアプリとどう連携させるかを考えて作りました。向島工場のアプリも同様です。下記の図の枠はすべてkintoneアプリです。メインの4アプリは連携しています。アプリが一つできると、現場から「これもできますか?」と要望が広がり沢山のアプリができました。

イワキテック社のkintoneアプリ相関図
3基のジブクレーン。2つ目に開発したアプリで利用申請を行っている

社長 山本様

最初はどう説明しても現場はkintoneを理解していないようでしたが、実際に使ってみると使い勝手の良さが伝わって「kintoneいいねえ!」と意見が変わりました。それまで情報共有ができないことで困っていたので、kintoneで情報共有ができて変更事項もきちんと伝わる便利さから前向きに使ってくれるようになりました。

「意見を出し合う相手としてマストだったのが、アールスリー開発者の和田さん」         

Q:今回アールスリーの開発サポートを利用されていますが、ご利用の経緯と感想を教えてください

西岡様

はじめに配船物流管理アプリを作ることになりましたが、業種が特殊なだけでなく作業内容もイワキテックさん独自のものなので、このアプリはkintoneの標準的な機能だけでは作れないと思いました。前職の経験から「現場の方が使い心地の良いものにする」ためには、使うツールやアプリ構成がとても重要なことが分かっていました。ツール面ではノーコードでkintoneをカスタマイズできる「gusuku Customine」と、レコードのデータをカレンダー表示させるプラグインの「カレンダーPlus」があれば実現できる感覚がありました。

しかしアプリ構築の面では、私一人では発想がまとまらない部分があると思いました。そこで前職でお付き合いのあったアールスリー開発者の和田さんに相談させてもらうことにしました。「複雑な作業をkintone化する方法」を1人で考えても発想がまとまらないことが多いです。組み立ての作業には、たくさん正解があり、たくさん不正解があり、それはやってみないと分からないからです。この時、誰かと意見を出し合えるとより良いアプリができます。その意見交換の相手を和田さんにしてもらうことは私の中でマストでした。和田さんは、会社全体がkintoneに求める価値、どのような運用にしたいかなど、全ての背景を理解したうえでアプリの形を一緒に模索してくれます。今回もちゃんと運用されるアプリに至るように導いていただいたと思います。おかげ様で、アプリの開発要望にも迅速に対応することができ、構築を始めてから約半年で約20個のアプリができました。1人で作っていたら半分もできていないと思います。約3倍速ですね。

「アールスリーの和田さんはkintoneづくりのチーム」と西岡様は語ってくれた

アールスリー和田より

嬉しいお言葉をいただきありがとうございます!私は「壁打ちの壁」のようなもので、西岡様がご自身で答えを出すための材料を提供しようと、あまり直接的な答えを言わないサポートを心がけていました。イワキテック様にとっては西岡様が、西岡様にとっては私が、二人三脚のパートナーであり良きチームになって開発を進め、現場の方が使いやすいアプリが完成して本当に良かったです。

情報一元化により、残業半減・人手不足の危機解消、会社の雰囲気改善など効果多数         

Q:kintoneアプリの利用効果について教えてください

情報が一元化できた

kintoneで3つの工場の色々な情報が一元化できたことにより、案件の内容や物流予定の変更などが正確に伝わるようになりました。このことで部門間のいざござが激減して職場の雰囲気も良くなりました。例えば、3台ある大型クレーンの予約をとるだけでも20チームから依頼が入るので交通整理が大変でした。利用申請が出揃うまで返事がでませんし、要望が通らない理由が分からないのでイライラしますし、製造予定に対して予約時間が遅すぎて頭を抱えたりもしていました。これがkintoneで誰もが依頼状況をリアルタイムに閲覧できるようになると、重要なものを優先させたり譲り合ったりできるようになったのです。

残業が激減

以前は残業を美徳とする会社で、働き方改革で残業を減らそうとしても「そんなことできるわけがない!」という雰囲気を感じていました。これがkintoneを導入すると残業が激減したのです。水曜日を定時退社にしようと言うと「はい、分かりました!」とすぐに実行されたほどです。

当たり前に残業をしていた過去が一変し、働き方改革を推進できるようになった

引き継ぎが簡単になり、定年退職の危機が一部解決

今後は物流部門のベテラン従業員のリタイヤも控えており、煩雑で経験の必要な後任育成にも頭を抱えていました。今はkintoneにより会社業務にて必要な情報が定義されており「配船物流管理アプリ」が専門知識の一部を担い、また属人化された情報も明確化しており、引き継ぎ業務が見えるようになりました。作業の効率化により、人材を他部門に配置転換する余裕も出てきたと感じています。

人口減少による人手不足を解消

これから人口が減少するので人手不足を懸念しています。 地方の労働集約的産業は人材の確保が課題なのですが、kintone のような仕組みを活用することは問題解決の有効的な手段であると思います。

地方の製造業も、アプリは自分で作る時代                           

Q:kintoneの導入やアールスリーの開発サポートを検討中の会社様にメッセージをお願いします

今は、昔できなかったことがどんどんできるようになってきています。私はExcelしか知らない時に情報の一元化を一度諦めたことがあるのですが、kintoneを知ったことで「できる」と思い行動しました。時代は変わっているので目的達成のための手段もどんどん増えています。また、当社だけではここまでのスピード感を持って社内システムの再構築は為し得なかったと思われますので、西岡さんとアールスリーさんには感謝するばかりです。

左からアールスリー和田、イワキテック山本様・西本様・アールスリー林

貴重なお話をありがとうございました。

取材2022年4月