因幡電機産業株式会社様 事例紹介

gusuku Customineがないと開発は無理!紙ベースの複雑なワークフローをkintone化して年間400万円の経費削減を実現

因幡電機産業株式会社
管理本部 情報システム部 システム企画課 主事 田中 健太郎 様
管理本部 情報システム部 システム企画課 亀井 海沙 様
電材カンパニー 企画室 課長 井上 勝史 様
電材カンパニー 企画室 稲本 アンジェラ 様

因幡電機産業株式会社は1938年、昭和13年に創業、電設資材の卸売業を手がけている老舗です。現在は大阪市西区に大阪本社を構え、東京都品川区にも東京本社を展開しています。主に照明器具やエアコンを地方の卸売業者に卸すというビジネスモデルです。

連結子会社に株式会社パトライトがあり、表示灯や回転灯などを販売しています。このパトライトは以前からkintoneを導入しており、その話を聞いた因幡電機産業でも2020年2月に導入しました。情報システム部の人であれば、kintoneを問題なく使いこなせますが、ITに詳しくない社員だとUIが少しとっつきにくいのがネックです。そこで出会ったのが、「gusuku Customine」です。

今回は、kintone x gusuku Customineでペーパーレス化や業務効率化を実現し、電材カンパニー部門の全員で活用するようになった経緯や導入効果についてご紹介します。お話を伺ったのは、管理本部 情報システム部 システム企画課 主事 田中健太郎氏、同じく情報システム部 システム企画課 亀井海沙氏。そして、電材カンパニー 企画室 課長 井上勝史氏と同じく企画室の稲本アンジェラ氏です。

導入:ニーズごとにプラグインを調べる時間が勿体ないので、全部できるgusuku Customineを選んだ

2020年、田中氏は現場でシステムを構築できるサービスを探していました。基幹システムだと追加機能を構築できる範囲が限られているうえ、工数や人員の問題で手が回らないことも多かったのです。そのため、現場でできることは現場にやってもらおうと考え、色々なサービスを試しました。そんな中、kintoneを知り、圧倒的に使いやすく感じたそうです。

そこで早速情報システム部で試し、触る人を増やしていきました。最初は特にkintoneで行いたい業務が決まっていたわけではなく、手探りで当番表の管理アプリなどを作ってみたところ、これは行けるのではないかと感じ、現場に勧めていきました。

経費や予算の管理をはじめ、週報などもkintoneの基本機能でアプリを作成していきました。しかし、以前から電材カンパニーは監査法人により内部統制プロセスの処理方法が決められていました。そのプロセスに沿ってkintoneアプリを構築しようとすると、たくさんのフィールドを作らなければならないことが増えてきたのです。

大量のフィールドが並ぶので、ユーザーは自分が入力する項目を見つけるのに手間取ってしまうようになりました。そこで、項目ごとにタブ分けをしたい、というニーズが出てきたのです。

タブ分けによって整理された入力画面
タブ分けによって整理された入力画面

「多分、情報システム部だけで使っていたら、気がつかなかったニーズですね。入力のしやすさを求めるユーザー部門が使うことで、気がついたニーズだと思います」(田中氏)

「何かしたい時に「kintone 何したい」といった感じで検索するのですが、だいたい解決法のページにgusuku Customineの名前が出てくるんです」(亀井氏)

ニーズごとに調べると有料でも無料でも様々なプラグインが見つかります。当初はそれらのプラグインを使うことも考えたそうですが、どのプラグインを使ったら良いのか探したり考えたりする時間がすごくもったいない、と井上氏。何かしたいことが出る度に30分くらいかかるので、gusuku Customineであれば全部できるのでこの時間を短縮できると考えたそうです。

「たくさんのプラグインを入れると、プラグイン同士の相性が悪くてきちんと動かなかったりすることもあります。その点、gusuku Customineだけなら確実に動作するので安心です」(稲本氏)

開発:超複雑な返品フローをkintone x gusuku Customineでアプリ化してペーパーレス化を実現

kintone x gusuku Customineの活用が進み始める中、大きな効果を上げたのがペーパーレス化でした。卸売業を手がけているので業務の中で返品というフローが発生することが多く、その際は営業担当が4枚複写の返品帳票を書いていたそうです。その帳票は社内便で物流部門に転送し、物流部門がその帳票を認識して各取引先に商品引取の処理を行います。それぞれの工程で1〜3日かかってしまい、最長で引き取りまで1週間かかるケースもありました。

その際に活躍したのがgusuku Customineでした。それまで、複雑な内部統制プロセスの中で、意味を知らずに、あやふやなまま処理している若手社員が多かったそうです。

「そこで、「フィールドに吹き出しを設定する」機能を利用し、どんな意味があるのかをきちんと説明することで、「今までやっていた処理にはこんな意味があったのか」と気づきを与えられたのが良かったですね」(井上氏)

しかし、返品のフローはとても長く、複雑です。卸売業は1つ1円もしないような商品から、100万円、200万円を超える商品まで多種多様です。それぞれの返品処理が異なっており、ものすごく込み入ったプロセス管理が必要になります。実際、ユーザーが今どの処理で止まっているのかがわからなくなることが多いのですが、その場合はgusuku Customineのプロセス管理の承認ステップ図をクリックするように周知しています。今どこにボールがあり、その後どんな処理があるのかが一目瞭然です。

承認ステップ図のカスタマイズ設定

生成された承認ステップ図(一部抜粋)

「返品依頼アプリを作った時に、承認ステップ図がないと混乱しそうだったので自分で頑張って図を作りました。そうしたら、その1週間後くらいにgusuku Customineの新機能としてリリースされたので、笑ってしまいました。もちろん、現在はgusuku Customineの承認ステップ図を活用しています」(稲本氏)

他にも、値引き処理や価格の訂正処理などが発生します。一旦100円で販売した商品を80円で登録し直す処理です。以前は毎回A4の紙に印刷し、上長の承認を得るというプロセスが発生していました。手書きで理由を書いたりして、上長にハンコを求める処理があったのです。また、週報も紙で提出しており、上司から返事が来るのが1ヶ月後という笑えない状態でした。しかし、これらすべてkintone化することでペーパーレス化を実現したのです。

とりあえず作ってみると、想定以上の反応があったアプリもありました。「返品依頼」アプリでは削除申請レコードを申請者が勝手に削除できないようにしています。しかし、操作間違いなどでレコードを削除したいというニーズもあったのです。実際に「レコード削除依頼」アプリを作ったところ、リリースした日に50件も申請が来たそうです。

導入効果:紙だけで年間400万円のコスト削減、業務効率も大幅に改善できた

現在、kintoneのライセンスは電材カンパニーが600人、電工カンパニーが150人、産機カンパニーが100人、その他の部門が100人で合計950人と、全社1700人の半数を超えています。

作成したkintoneアプリは全部で617個あり、gusuku Customineによりカスタマイズしているアプリがそのうちの250個とバリバリと活用されていました。もちろん、大きな導入効果が出ていました。

返品フローで使っていた書類の紙代は年間400万円ほどかかっていたのですが、kintoneとgusuku Customineでペーパーレス化することで、ゼロになりました。

もちろん、業務効率化にも寄与しています。例えば、因幡電機産業では物流センターを決まった時間に閉めるのですが、状況によっては無理矢理お願いして今日中に商品を出荷して欲しい、や発送をキャンセルして欲しいといったオペレーションが発生することがあるそうです。その場合は、各部門に請求が発生するのですが、この確認業務が手間だったそうです。

まずは26部門ごとに請求書を振り分け、キャンセルと追加発送に分けるという作業を行うのですが、これに1週間ほどかかっていました。この部分もkintoneとgusuku Customineで自動集計することで、時間も手間もなくなり、毎月1週間分の人件費を削減することができました。

「情シス宛ての問い合わせもとても多く、分散させたいと考えていたので、kintoneアプリ化しました。問い合わせフォームを作って、そこに問い合わせてもらうことで、処理の集中化を回避しています」(田中氏)

もちろん、作ったばかりのkintoneアプリは完璧ではありません。運用する中で気がついたことがあれば、すぐに対応してアプリを修正していきました。例えば、項目の内容を解説している吹き出しマークは数が少ないと読んでもらえるという効果があったのですが、多くの項目に付けると面倒臭くなってクリックしなくなってしまうことがわかりました。そこで、どうしても読ませる必要がある内容はダイアログを強制的に表示するようにしたそうです。

「もうgusuku Customineがないと開発は無理ですね。あとは単純に楽しいです。アプリを作ると最初は大体エラーが出るのですが、修正して最終的に自分が望んでいた動作をしたときに、机の下でガッツポーズしています笑」と稲本氏。

最後に今後の予定を伺いました。

「今後は社外との連携もkintoneで行っていきたいと考えています。現在、外部との図面や見積りのやりとりはFAXで行っていますが、それだとナレッジが蓄積されないので、kintoneに残していくようにしたいですね」と井上氏は締めてくれました。

取材2022年5月