株式会社 Be Magical Solutions様 事例紹介

kintone × カスタマインの研修事業を一生やりたい

株式会社 Be Magical Solutions
稲澤 康博 様

株式会社 Be Magical Solutions(兵庫県高砂市)は、1995年に作曲業の会社「そらみみ工房」として誕生しました。その後1998年に「パソコンのお医者さん」を設立し、メーカーや販売店ではできないパソコンの修理事業を開始しました。2016年に株式会社 Be Magical Solutions として法人化し、現在までパソコンの修理事業だけでなく、中小企業で使える業務改善のクラウドシステムの製作として kintone の開発事業を行っています。

株式会社 Be Magical Solutions 代表取締役 稲澤 康博氏に、kintone 事業の成長と gusuku Customine (以下カスタマイン)の効果についてお話を伺いました。

稲澤 康博氏

IT に明るい自分ならできる!~kintone との出会い~

kintone との出会いは2013年、自社に導入したのが最初でした。それまでは外部のプログラマーにシステム作成を依頼して使用していたり、顧客管理プラットフォームを使用したりしていました。しかし、システムの作成に時間がかかりすぎてでき上がる頃には業務にフィットしない、使いにくくて放置されてしまうといった問題を抱えていました。

そんな問題を抱えていた時期にイベントで kintone に出会い、中小企業はこういったシステムを求めているのではないかと感じたそうです。「kintone なら自分で作れそう。自社でやってみよう」という思いから自社に kintone を導入しました。

導入後、アプリの作成を進めますが、最初は簡単には進められませんでした。kintone 自体の使い方がわからず、問い合わせてもまだわからないといったことがあったのです。この経験から、「IT に明るい自分がわからないなら他の人にはもっと難しいのではないか、そんな人や中小企業のお手伝いがしたい」と感じたそうです。

kintone を使って中小企業のお手伝いをしたい

「中小企業が kintone を導入するお手伝いがしたい」という思いから、自社に kintone を導入した翌年の2014年には kintone を活用したシステム開発をはじめます。ここから kintone の事業がはじまります。
kintone に出会う前から「パソコンのお医者さん」にシステム開発の依頼はあり、当時は外部のプログラマーに開発を依頼していました。しかし、kintone であれば自分自身でも開発できると考えた稲澤氏は外部に依頼せず自身で開発を行うこととしました。システム開発は初めての試みであったものの、「パソコンのお医者さん」に依頼のあった開発案件では要件の整理を行っていたこともあり、kintone 事業はスムーズにスタートしました。

意外にできない kintone

こうしてスタートした稲澤氏の kintone のシステム開発サービス。最初の数社は上手くいったのですが、すぐに壁に当たりました。

稲澤氏はプログラマーではないので、コードを読んだり書いたりはできません。kintone に JavaScript でカスタマイズが必要な場合には、要件の整理を稲澤氏が行った後、以前のように外部のプログラマーに委託して作成することもありました。

しかし、こうしてできたシステムは、顧客の要件は満たしてはいるものの、kintone に合っていないのではないか、メリットを活かしきれていないのではないかという思いがありました。

また、さらに高度な要件になってくると、「それはできません」と断らざるを得ないこともありました。そうなると、顧客は kintone の導入自体を断念してしまうといったこともあったそうです。「kintone でできない場合は無理に導入しても、時間もお金ももったいない。導入しない方が幸せですね」と稲澤氏は話します。

kintone ビジネスでぶつかった壁

kintone のシステム開発は、アプリ作成をした後も継続的にメンテナンスを行うことを想定していたため、サブスクリプション型のシステム開発サービスとして事業を始めました。しかし、アプリ完成後にシステム開発サービスを解約されてしまうことが多く、初期に手間をかけて開発しても開発コストを回収できないといった問題が発生しました。

そこで次の段階として、初期費用を別途追加で契約するモデルを開始しました。しかし、こちらは初期費用が膨大な分、顧客から「それまで使っていたシステムがそのまま kintone でできるだろう」と大きな期待をされることとなりました。kintone でなんでもできるわけではなく、もちろんそのままのシステムができ上がるわけでもありません。さらに、顧客は kintone が変化したり成長したりするシステムだということを知らないため、継続的に費用を支払うメリットを見出してもらえませんでした。こういった理由からも、解約されてしまうという状況は変わりませんでした。

このように複数のビジネスモデルを模索しているうちに、様々なモデルが混在している状況となりました。ひとつのビジネスモデルに集約できるのが理想と考えていましたが、上手くいっていませんでした。

さらに、kintone 界隈で流行し始めた「定額システム開発」についても調査を進めたところ、稲澤氏が懇意にしている兵庫県の中小企業では「定額システム開発」という言葉自体が、当時はあまり馴染みがなく理解されなかったそうです。「ビジネスモデルを考える際には、地域性なども考える必要があるんだと感じました」と稲澤氏は話します。

開発中の kintone を知ってもらおう!~ライブ開発の開始~

このように試行錯誤を繰り返していく中で、顧客に kintone の良さ・特性や、でき上がるシステムのイメージについて、納入前から理解してもらう必要があることに気づきました。そこで、開発しているところを目の前で見せることで kintone について知ってもらうと良いのではないか、と稲澤氏は閃いたのです。

こうして、2018年に顧客の目の前でシステムを開発する「ライブ開発」を開始したのです。

ライブ開発は、顧客と一緒に考え、目の前で作り、それと同時に作り方を教えるといったスタイルで行われます。

一緒に考えていく過程の中で、顧客のやりたいことを聞きながら、それに対して kintone でどうすれば実現できるかを説明します。そうすることで、顧客に kintone ではどのようなシステムができるのかを知ってもらうことができるので、「以前のシステムがそのまま kintone で再現できるはず」といった過度の誤った期待をされることはありません。また、目の前で作ることで、どのくらい時間や手間がかかるのかを知ってもらうことができるため、発生する費用にも納得していただけることとなります。

さらには開発しながら作り方を教えることで、kintone のメリットである「自分たちで作れる」ことを目指せるシステム開発となっていったのです。

ライブ開発・研修風景(写真提供:稲澤氏)

コードが書けなくてもカスタマイズできる! 

そして、このライブ開発を支えたのがカスタマインです。

稲澤氏はライブ開発を開始したのとほぼ同時期に、カスタマインと出会います。カスタマインは、「やること」と「条件」といった日本語のパーツを組み合わせることで kintone の様々なカスタマイズが可能です。

前述の通り、稲澤氏はコードを書くことはできませんが、カスタマインを使うことで kintone のカスタマイズを自分自身で行えるようになります。そのため、JavaScript でカスタマイズをするために外部に依頼する必要もありません。

自社にカスタマインを導入した後、ライブ開発でもカスタマインを活用することで、今まで断らざるを得なかった高度な要件も受注できるようになっていきました。

こうして、ライブ開発とカスタマインを上手に融合させることで kintone の事業が進んでいったのです。

「開発しない案件」への挑戦

ライブ開発とカスタマインによって稲澤氏の kintone ビジネスは大きく変革し、利益を生み出すビジネスへと変化しました。順調に進み始めた kintone ビジネスは、ある案件をきっかけに再度大きな転換をすることとなります。

その案件とは、kintone の開発はしないで教育のみを行ってほしいというものでした。「開発したらお金を支払いません、とまで言われたんですよ!」と稲澤氏は話します。これまでの案件においてユーザーへの教育も行っていたものの、完全に開発を行わない案件はありませんでした。

最初の開発だけでも自分がやった方がいいのではないか…という思いを抱えながらスタートした案件ですが、蓋を開けてみると稲澤氏が想像していたよりも遥かにスムーズに進んだのです。「こちらが開発して作ってしまうより、研修だけの方がお客さまは自分たちで頑張って手を動かそうとしてくれるんです」と振り返ります。

この案件で稲澤氏は、研修・教育中心の方が顧客が自走できるようになると身をもって知ることとなったのです。

kintone SIGNPOST も活用した研修 (写真提供:稲澤氏)

顧客の幸せのため、研修を中心へモデルチェンジ

ひとつの案件をきっかけにして、「教育を中心にすることで自走できるようになる方が、お客さまの幸せのためになる」と考えた稲澤氏は、研修に力を入れる方向にモデルチェンジしていきました。

以前は稲澤氏が開発した後に研修をしていましたが、研修を受けたからと言って必ずしもすべての方が kintone でアプリを作り、カスタマイズができるようになるわけではありませんでした。研修しても、稲澤氏がいないと kintone に変化がなく活用しきれていない顧客もいたそうです。

現在は、案件の最初から研修を中心に行うようになったことで、稲澤氏がいない間も kintone は変化し活用されるようになったのです。

顧客自身が1から kintone でシステムを作れるよう、スキルアップできる研修を行います。また、スキルアップだけではなく顧客が社内の「チーム」で運用していけるように教育を行うことで、自走できるようになっていきます。

「簡単なことも自分たちで直せないと時間もお金もかかってもったいないし、kintone の良さを出しきれないですね」と稲澤氏は話します。

ライブ開発・研修風景(写真提供:稲澤氏)

一人体制を脱却し、他のスタッフも講師として大活躍

kintone の開発事業を開始した当初、開発を行っていたのは稲澤氏一人だけでしたが、2年ほど前から他のスタッフも開発や研修を行うようになりました。ノーコードで開発できる kintone と、そのカスタマイズをノーコードでできるカスタマインだから、他のスタッフにも拡大できました。

稲澤氏だけが kintone の開発事業を行っていると、稲澤氏に何かあった時に全てが回らなくなってしまうというリスクがあります。そこで、社内やチームみんなでできる方が良いと考えたそうです。

「道を切り拓いて行くのは自分がやって、道ができたらスタッフができるように拡大していきました」と開発者でありながら、経営者でもある稲澤氏だからこその目線で話していただきました。

株式会社 Be Magical Solutions には、パソコンの修理などを行うスタッフとして、子育て中の女性を中心に複数人のスタッフが活躍しています。今後も、社内の様々なスタッフが研修の講師として活躍する機会を増やしていきたいと稲澤氏は考えています。

株式会社 Be Magical Solutionsのスタッフの皆様(写真提供:稲澤氏)

経営者としての稲澤氏と事業の成長

こうして株式会社 Be Magical Solutions は、パソコンのお医者さんと kintone 事業の2つの事業を行うようになっていきます。

kintone の開発事業が研修・教育メインになってから売上が順調に伸び、当初全体の2割程度だった kintone の開発事業は、売上の増加と共に増えていき現在では6〜7割を占めています。

2020年から続いたコロナ禍でも kintone の開発事業が伸び続けたこともあって、「事業の柱が1本でないことの大切さを感じた」とこちらも経営者の目線でのお話がありました。

研修の事業を「一生やりたい」

そして、今後の展望についてもお話を伺いました。

kintone やカスタマインの研修の事業を行う前は、将来は作曲家に戻るのが夢だったそうです。しかし、教育をしていく中で今後やりたいことが変化していったのです。

当初、カスタマインは稲澤氏が「顧客の要望に応えるためのもの」だと考えていました。しかし、顧客が「できた!」と喜ぶ瞬間に立ち会う経験を重ねたことから、今ではカスタマインは「顧客の幸せのために必須のもの」になっているといいます。

さらには顧客が成功し幸せになることが、稲澤氏自身の喜びに変わっていったのです。

そういった思いから「kintone やカスタマインの研修の事業を死ぬまでやりたいんです」と嬉しいお話をいただきました。

研修の事業を「一生やりたい」と話す稲澤氏

カスタマインへの想い

ここまで kintone を活用したビジネスについてお話いただいた稲澤氏から、「今後カスタマインをビジネスとして取り組む方」や「カスタマインの導入を考えている方」へ、熱い想いを語っていただきました。

コスト面で見るカスタマイン

特に中小企業では、kintone やカスタマインは価格が高いと言われてしまうことも少なくありません。しかし、実際には稲澤氏の多くの顧客がカスタマインの最上位プランである年額1000プラン(1,200,000円/円)を契約すると言います。そこで、稲澤氏がどのように顧客にコストや効果を伝えて導入に至っているのかを伺いました。

稲澤氏は、案件の最初に今後かかるコストを顧客の経営者に説明するようにしているそうです。その際には、kintone とカスタマインやその他連携サービスも含めて最小〜最大でかかる費用を、人件費で例えます。「少なければパートさん一人分、最大で社員一人分程度の費用が毎月かかります」という説明をしておくことで、カスタマインや他の連携サービスを導入する際に、スムーズに進められます。

最初に経営者に説明しておかないと、導入を進める段階になって現場から追加要望が出た際に「こんなに費用がかかるならできない」ということが起こり、顧客の kintone 開発はストップしてしまいます。それは幸せではないことだと稲澤氏は考えています。

さらに、自身が自社にカスタマインを導入した際に「自由自在に自社の kintone 環境を変えられる」という体感があるため、全てのアプリをカスタマイズできる年額1000プランをお勧めするようになりました。

求められる安定性・拡張性はカスタマインで解決!

顧客がもっと安価なプラグインに関心を持つこともあるそうですが、その際にはカスタマインは安定性が高いことを説明しているそうです。

kintone のアップデートがあっても、カスタマインは開発元であるアールスリーがメンテナンスを行います。kintone のアップデートでカスタマイズが動かなくなるといった心配がないことは、顧客に求められることが多いといいます。

さらに、カスタマインは非常に多機能であるため、初期にある程度の学習が必要ですがやったらやった分だけ自分自身の手で解決できることがドンドン増えていきます。

教育が進み自走し始めると、顧客の社内で kintone が浸透していき、それと共にカスタマインの必要性も認識されます。「お客さんがもっと自分たちで作りたい、改善したいと思った時に、カスタマインが必要と感じる瞬間が来るんです」と稲澤氏は話します。

スピード第一!のサポート体制

稲澤氏の教育内容のひとつとして、カスタマインのチャットサポートの使い方を教えることもあるそうです。通常、他社の問い合わせはメールやチャットボット(自動応答のロボット)であることが多い中、カスタマインのチャットサポートは最初の返答からエンジニアが対応しています。

このチャットサポートのレスポンスの速さを稲澤氏は高く評価しています。稲澤氏も経験がありますが、問い合わせをしている間は、物事が進まなくなってしまいます。その点、カスタマインチャットサポートは問い合わせてからすぐ解決できるケースがとても多く、「スピードが早くてすごいです!このスピードに勝てるサービスはないのではないか!」と稲澤氏は喜んでいました。

このメリットをみんなに享受してほしいという思いから、問い合わせ方法も研修することがあるそうです。

カスタマインならできる!

稲澤氏は kintone の開発だけでなく、カスタマインの教育を行うビジネスを行っています。

教えていく中で顧客の「こうしたい」という要望に対し「カスタマインならできます」と応えることができます。これはビジネスとしてとてもプラスになっているといいます。

「カスタマインがあることで kintone が望まれる姿になっていくんです」と稲澤氏は締めくくってくださいました。

貴重なお話をありがとうございました。

取材年月:2023年5月