株式会社あすみ技研様 事例紹介

GUIでカスタマイズできるようになりkintoneをフル活用 CRM、マーケティングオートメーション、さらにSFAにも

【課題】顧客管理にkintoneを導入するも活用に手こずった日々

 あすみ技研は、研究所向けのコーティング装置を開発、販売する企業としてスタートしました。その後、研究や生産のために使われる精密機器を開発し、現在では20種近い製品を取り扱っています。高価でメンテナンスが必要な製品ばかりを取り扱っているので、売って終わりの製品ばかりではありません。「レンタルする場合もありますし、ラボに来て機器を使っていただくこともあります」と、代表取締役の岡晃史氏はビジネスについて教えてくれました。

 課題となったのは顧客管理でした。起業当初はExcelで対応していたそうですが、ものの1年で破綻しました。CRMに活用できるツールが欲しいと有名グループウェアの導入を検討しましたが、自社でサーバーを管理する手間が効果に見合わず、悩んでいたといいます。

 そんな悩みを抱えていたときに出会ったのが、kintoneでした。クラウドサービスとして提供されるので、サーバーの管理は不要です。「これだ!」と飛びついたと岡氏は言います。しかし、kintoneには別の課題がありました。基本機能だけでは、思うようなシステムを実現できなかったのです。岡氏は当時の状況を「kintoneに入力されたデータをExcelにコピーして、そこで集計したデータを会計アプリにさらにコピーしていました」と振り返ります。

 kintoneは必要に応じてアプリを作りかえられるのが強みです。あすみ技研でもビジネスに合わせてアプリを作り、JavaScriptでのカスタマイズにもチャレンジしました。しかし、カスタマイズには早々に限界が訪れたと言います。「精密機器を開発する会社なので技術者はいますが、ハードウェア開発がメインのためラダー言語に特化しており、JavaScriptに詳しい人材がいませんでした」と、取締役の横山 哲久氏がその理由を教えてくれました。JavaScriptを使わないカスタマイズとしてプラグインも色々試してみましたが、機能が重複したり、プラグイン同士の相性問題があったりして、なかなかうまくいきませんでした。

 結局カスタマイズでは補いきれず、Excelに転記しての集計作業は残ったままになりました。毎月の経理処理には12時間ほどの時間がかかっていたそうです。

【選定のポイント】JavaScriptの学習コストなしにカスタマイズできるgusuku Customine

 kintoneをより深く使い込むために、JavaScriptを習得することも考えたと言います。しかし、本業で使わないプログラム言語を社員に習得させるのは、時間を取られるうえにコストにも見合いません。なにかいい解決策がないかと悩みながら参加したあるセミナーで、岡氏は決定的な打開策を見つけました。 それは、アールスリーインスティテュート(以下、アールスリー)が提供する、GUIでスピーディにkintoneアプリをカスタマイズできる「gusuku Customine(グスク カスタマイン)」です。

 一番の決め手となったのは、JavaScriptを使うことなくGUIでカスタマイズができること。慣れない言語で時間をかけてカスタマイズにチャレンジしていましたが、gusuku Customineがあればプルダウンからやりたいことを選び、条件を設定するだけでカスタマイズが完了します。

 導入のもうひとつの決め手となったのは、チャットサポートの存在でした。メールでの問い合わせ窓口を持つクラウドサービスは数多くありますが、「メールだと、いつ返信が来るんだろうと不安になる」と、岡氏は言います。返信が遅く翌日になると、既に別のことを始めているので対応がさらに後回しになるなど、実務上でも問題を抱えてしまいます。それに対してgusuku Customineのチャットサポートは、営業時間内であれば問い合わせてから短時間で返信を得られるので、すぐに疑問を解決でき、カスタマイズに集中できます。チャットの使い勝手についても「画面キャプチャを送り、それを見てもらいながら相談できるので問い合わせしやすい環境が整っている」と、岡氏は評価しました。

【運用と効果】カスタマイズによりkintone活用の効果がより広く大きく

 gusuku Customineを導入したことにより、kintoneのカスタマイズは容易でスピーディになりました。JavaScriptを使ってカスタマイズをしていた当時には、どのアプリをどのようにカスタマイズしたのか把握するのも大変でしたが、gusuku Customineではカスタマイズ画面自体が仕様書の役割を果たすので、アプリをあとから修正する際に混乱することもなくなりました。「対応期限が近づいたら表示色を変えるようなカスタマイズを、色々なアプリで行なっていました。JavaScriptでカスタマイズしていた頃には、期限となる日数を変えたりしているうちに、どのアプリをどのように変更したかわからなくなることがあったのですが、gusuku Customineではそういう悩みはなくなりました」と、岡氏は効果を語ります。

 日付、商談からの日数、製品メンテナンスのタイミングなど、様々な条件で、営業担当者や経理担当者にプッシュ通知を表示するように各アプリをカスタマイズしました。その結果、出社したらまずkintoneにアクセスすることが習慣化したと言います。「kintoneにログインすると、その日にやらなければならないことが通知されます。それを確認してから一日の業務を始めます」と、gusuku Customine導入後の状況を横山氏は説明してくれました。この習慣は、現場の担当者にとっても管理職にとってもいい効果をもたらしました。「あれやった?これはどうなってる?」と急かし、急かされる会話がなくなったのです。kintoneの画面を見れば、各案件の進捗ひと目でわかります。現場の担当者は業務を始める前にkintoneにログインし、その日にやらなければならないことを確認してから業務に取りかかることで、抜け漏れがなくなりました。「条件により次の行動をプッシュ通知できるので、マーケティングオートメーションに近いことも実現できた」と岡氏は満足そうに言いました。

 以前は12時間かかっていた経理も、自動化されました。kintone上で集計まで行えるようになったので、今は各集計結果を会計アプリにコピーするだけ。劇的な時間短縮を実現できました。

 さらに、全員がkintoneをきちんと使うようになり、リアルタイムに近いデータが入力されるようになったので、最新の数字をベースにして経営層が業績を俯瞰的に見ることができる環境が整いました。岡氏や横山氏が経営について相談する際にも、「お互いに同じ数字を見て現状を把握している状態から経営会議を始められるようになりました」と、両氏は口を揃えます。以前はExcelを印刷したものを広げて現状を把握するところから話し始めていましたが、今では現状をベースに課題を挙げるところから会議を始められて効率的になっています。

【今後の展望】活用拡大の展望と、gusuku Customineを検討しているユーザーへのアドバイス

 あすみ技研の業務効率化に大きな効果をもたらしたkintoneとgusuku Customine。特にgusuku Customineのもたらした効果が大きく、「kintoneを導入したときよりもgusuku Customineを導入したときの方がインパクトは大きかった」という岡氏の意見に、横山氏も賛同します。

 CRM的な使い方から社内に浸透したkintoneですが、今後はSFA的な使い方にもチャレンジしていきたいと考えていると明かしてくれました。具体的な方法としてはポータル画面をカスタマイズし、担当者ごとに表示する情報を分けるなどの施策を検討中とのこと。岡氏は例として「製品Aの担当者には、製品Aの最新情報や売上の前年同期比、案件ごとの進捗などを、製品Bの担当者には製品Bの情報を表示して、いまやるべきことをより明確化していきたい」と話してくれました。

 また、すでに一部取り入れているマーケティングオートメーション的な活用についても、より強化していきたいとのこと。問い合わせや前回のコンタクトからある程度の日数が経過した案件は、次の行動を促すようプッシュ通知を出すなど、製品ごとのマーケティング活動を支援する方法を取り入れたいと意欲を見せます。「ひとりあたりが担当する案件数が増えてくると、どうしても対応から漏れる案件が出てきます。問い合わせに対してパンフレットを送っただけで終わるのではなく、それから何日か経過した頃を見計らって、検討状況についてヒアリングするようプッシュ通知を出して、漏れや見逃しをなくしたいですね」と岡氏は更なる活用に前向きです。

 最後にgusuku Customineの導入を検討しているユーザーへのアドバイスを聞いたところ、岡氏も横山氏も口を揃えて、「kintoneを使っているなら、gusuku Customineも合わせて導入した方がいいと思います。容易に業務のデジタル化を進めることができて、空いた時間を人間でなければできないことに使えるようになります」と語ってくれました。実際、導入から半年で事務的な仕事に割かれる時間が大幅に減り、経営方針を考えたり、次の製品や追加機能について考える時間が増えたと言います。

 「本当にみなさんにオススメしたいんですが」と岡氏は、少し言いにくそうにさらに言葉を続けました。「こんな便利なものは自分たちだけのものにしておきたいという気持ちもあり、同業他社には教えたくありませんね」と語った岡氏の言葉に込められた気持ちが、gusuku Customineの導入効果の大きさを示していると言っていいでしょう。