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営業管理の脱Excelに成功。アールスリーは自分ごととして開発してくれた


響きパートナーズ株式会社
取締役パートナー 公認会計士 城戸 祐樹 様
コーポレート 森 悠貴 様
響きパートナーズ株式会社様は、ベンチャー企業の経営支援・IPO支援を行う会社です。経理・総務・人事のサポート、上場申請のための社内管理体制づくり、上場申請資料の作成などをハンズオン形式で提供しています。この度、営業活動、売上の予実管理、請求業務が一気通貫でできるシステムを、サイボウズ社のkintoneとアールスリーの業務改善・システム開発サービス「キミノマホロ for kintone」により構築されました。開発に携わった皆様に、ご依頼の経緯やkintoneの導入効果についてうかがいました。
もくじ
- Excelでの属人的な営業管理を脱したい
- 自力でkintoneの開発をするも時間が足りず3年放置
- 「きちんと寄り添います。一緒に考えながら、開発します!」が決め手
- 営業活動と予実の管理、請求業務が一気通貫のアプリが完成
- 2人で丸2日かかる請求書作成が、半日×2人で可能に
- 鋭い問いにはドキッとするが、結果良いアプリができる
- 業務を深く理解し、自分ごととして開発してくれた
Excelでの属人的な営業管理を脱したい
Q:はじめにkintone導入前の課題について教えてください。
城戸様
当社では長年、営業管理・売上管理をExcelで行ってきました。コンサルタントが自身の営業状況を社内コミュニケーションツールで報告し、その数字を社長が拾いExcelで取りまとめて全社の動きを把握していました。少しずつメンバーが増えてきたことで、私は営業管理や情報共有を効率的にやりたい、案件担当者が直接システムに営業数字を登録して後工程が自動的に流れるような仕組みを作りたいと思うようになりました。こうして2021年頃にkintoneのアカウントを契約し、自分でアプリの開発をはじめました。
営業管理システム化の目的
- 一気通貫した営業データの持ち方をしたい
- 営業担当者(コンサルタント)が自分で営業数字を入力してほしい
- 入力した営業の数字が自動的に全社に共有される仕組みがほしい
- 数字をもとに分析して経営に活かしたい
- 数字を管理する社長の工数を減らしたい

自力でkintoneの開発をするも時間が足りず3年放置
Q:ご自身での開発をはじめられたのですね。その開発の様子について教えてください。
城戸様
まずは描いた構想に沿ってkintoneアプリの箱を作りました。カスタマイズはkintoneの基本機能や無料で使えるプラグインを利用しましたが、できることに制限があると感じていました。並行してメイン業務のコンサルをするのですが、これが忙しく、kintoneを全くメンテナンスできずに3年くらい放置してしまい、実際に活用するところまでには至っていませんでした。2023年の終わり頃になると、もう自分1人では完成できそうにない、kintoneの専門家に相談しながら開発をしたいと思うようになり、外部への依頼を決めました。
「きちんと寄り添います。一緒に考えながら、開発します!」が決め手
Q:外部の専門家はどのように探しましたか?
森様
サイボウズパートナー一覧から開発会社をピックアップした後、体制や実績を見て数社に絞りました。依頼先の検討の最終段階では2社で迷いました。作り付けのアプリをベースにカスタマイズしましょうと提案いただいた会社と、寄り添い自分ごととして、業務を理解しながら一緒にアプリを開発しましょうというスタンスのアールスリーです。
出来合いのアプリがあり安心できそうな反面、当社の業務に噛み合うものになるのかという不安な気持ち、当社の業務フローに合わせて一から開発するメリットがある反面、はじめから目に見えて形になるものが無い不安などがありました。
この迷いを振り払ったのは、「アールスリーはきちんと寄り添います。一緒にあるべき姿を検討しつつ、開発します!」という和田さんの言葉でした。私はシステムには明るくありません。開発では、初歩的なことから難しいことまで戸惑うことが多いと感じていました。そんな時に、この会社なら快く教えてくださりそうだと強く感じました。一緒にやっていきましょう、という熱を感じるご提案が心に響いたのでアールスリーにお願いすることに決めました。

城戸様
アールスリーは営業も開発も同じ人が担当するということで、依頼の背景を汲んで開発してくれそうという期待を持てました。
当社は、ベンチャー企業の経営支援・IPO支援のプロフェッショナルとして、顧客であるベンチャー企業に対し、業界最高水準のコンサルティングサービスを提供しています。
多くのメンバーがベンチャー企業での経営経験を有しており、時間・人材・資金のいずれも制約がある中で培った「現場力」を強みとして、解決策を提案するだけでなく、お客様と共に実務を行う伴走型のコンサルティングを行っています。将来的にはお客様自身が課題解決を行えるよう、実践的なノウハウを惜しみなくお伝えすることも当社の特徴です。
当社と同様に、伴走型のコンサルティングを提供しているアールスリーにシンパシーを感じたことは、パートナー選定の際の決め手になりました。
kintone開発パートナー選定時の検討項目
アールスリー | B社 | |
開発スタンス | 業務理解から始めて、同じ目線にたって開発を進める | 作り付けのアプリをカスタマイズする |
担当者 | 営業と開発者が同じ | 営業と開発者が違う |
感情 | はじめから形になっているものが無い点に不安を感じる | ある程度の形があることに安心感を感じる |
業務への影響 | 一からつくるので自社の業務フローに合わせた開発ができそう | 作り付けアプリを使うことで希望が叶わない点が出てくるかもしれない |
決め手 | 丁寧でレスポンスの早い受け答えと、改善に導こうとする熱意で依頼を決断 | 依頼を見送り |
営業活動と予実の管理、請求業務が一気通貫のアプリが完成
Q:今回開発したアプリについて教えてください。
城戸様
開発したのは、以下の業務を一気通貫で行うことができるkintoneアプリです。
- 営業活動の管理
- 受注案件の管理
- 時間制サービスの実績入力
- 請求書の発行、会計ソフト登録データダウンロード
- 売上数字の集計と分析
コンサルタントはkintoneアプリに営業活動や受注の詳細を入力します。管理者は入力されたデータを集計したり分析したりして経営に役立てます。コーポレート部は請求書の作成をしたりkintoneからダウンロードしたCSVファイルを会計ソフトに登録したりします。

Q:営業活動を管理する「受注管理アプリ」について教えてください。
受注管理アプリは、コンサルタントが営業活動内容を登録するアプリです。コンサルタントの入力負荷を下げるため、開発では色々な工夫をしました。既存顧客は顧客データベースの情報を呼び出して入力できます。新規顧客の場合は、受注管理アプリの入力中に顧客データベースアプリの新規登録画面に1クリックで遷移できるように工夫されています。
受注管理アプリ。コンサルタントが営業活動内容を登録する画面

顧客情報の入力後は、活動日時や提案内容と金額を入力します。


会計ソフトや電子契約サービスで作成した提案書や契約書のリンクを貼るスペースも設けました。Excel管理時は、案件ごとの提案書や契約書の紐付けまでできていませんでしたが、kintoneにすることで案件の詳細を一元的に管理できる状態になりました。バラバラに資料があり、あちこちに見に行く作業が多かったので助かってます。

Q:受注案件を管理する「案件管理アプリ」について教えてください。
受注管理アプリで提案したメニューのうち受注確定したメニューにチェックを入れると、次の案件管理アプリに新規でレコードが作成されます。この受注確定後はサービスメニューごとに案件管理を行います。


Q:時間報酬型サービスの実績入力「TC工数管理」について教えてください。
時間報酬型サービスの稼働時間と具体的な作業内容を入力するアプリです。当初の開発計画にはないアプリでしたが、アールスリーの提案で追加開発をしました。これまでは時間報酬型サービス終了後にコンサルタントがExcelで実績をまとめていたのですが、このアプリで入力する形に変えることで、売上予測の集計や請求書作成の手間の大幅な削減につながりました。

Q:請求書の発行、会計ソフト登録データ取得を行うアプリについて教えてください。
「請求(予実)管理」は、案件管理アプリとTC工数入力アプリの実績に基づき、予実の管理ができるアプリです。一つの会社に複数のサービスを提供している場合はアプリにすべての実績が集約され、請求書には数字だけでなくサービス明細も反映されます。また会計ソフトに売上を登録するためのデータファイルのダウンロードもできるようになっています。


Q:売上見込みの把握、売上実績の集計、売上データの分析について教えてください。
売上管理や案件管理アプリのデータを用いて、売上見込みの把握、売上実績の集計、売上データの分析などを行うことができる機能です。当社は長年Excelで営業数字の分析を行ってきたので、ここについてはkintoneの使用感がしっくりきませんでした。アールスリーに相談しkrewSheetを導入することでExcelのような使用感を実現しました。krewSheetのインターフェースの設定は私が行い、アールスリーには裏側の開発をお任せしました。

krewSheetでExcelの操作感をkintone上で実現した

2人で丸2日かかる請求書作成が、半日×2人で可能に
Q:アプリの導入効果についてお聞かせください。
城戸様
社長には、アナログ的な運用からシステム的な運用に変わり、データを一気通貫で管理できるようになったことを高く評価いただきました。導入効果については、情報共有が進んだことと、2人で丸2日かかっていた請求書作成が半日×2人の作業で可能になったことに大きな価値を感じています。またkintoneアプリの社内浸透については抵抗なく受け入れられました。当社の運用に沿って開発していただいたことや、慣れ親しんだExcelの使用感を実現できたことが良かったと思います。
kintoneアプリの導入効果
担当者 | ビフォー | アフター |
営業数字の管理 | ・Excelを駆使 ・アナログ的 ・データが分散 | 営業活動、売上管理、請求書の発行まで一気通貫 |
社長 | 売上数字の取りまとめにリソースをとられる | 取りまとめの時間が不要になり、より経営に注力できる |
管理職 | 色々なExcelにデータが分散しておりデータ活用に至らない | 一元管理できるようになり、データに基づいた営業戦略を立案できるようになった |
営業 | ・口頭で営業状況を共有 ・営業データをExcelで蓄積 | ・データ共有が簡単になった ・ナレッジ共有が活性化 ・若手の営業マインドが向上 |
経理 | ・前月の売上を手作業で集計 ・月30〜40件の請求書作成 ・月初2日間✕2人必要 | ・ボタン1つで請求書を生成 ・請求書作成が半日×2人で可能に |
その他 | 各種数字のダブルチェックが必要 | 突き合わせ業務がラクに |
鋭い問いにはドキッとするが、結果良いアプリができる
Q:アールスリーとの開発に対する感想をお聞かせください。
城戸様
アールスリーの開発には大変満足しております。開発においては、できること・できないことをはっきりと言ってくださる点が助かりました。当社の業務をまるで自分のことのように捉えて動いてくださり感謝しています。今ではアールスリーの和田さんを当社のシステム開発部長のように感じています。

森様
仕様を検討している際に「この業務フローは何のためにやっているのでしょうか?」と和田さんに聞かれ、結果的に「これは不要ですね」という結論になることが多々ありました。
何となく進めてしまっていた部分をしっかり確認して、その上で「今回はこうしたら良いと思います」と具体的な案を提示して下さるので、納得して仕様を決めることができました。踏み込んだ質問にはドキッとしますが、このおかげで最終的に良くなることが多かったように思います。
また、私はkintone開発について分からない点が多く、仕様の決定だけでなく、作成したアプリで実際に作業するときにも細かい不明点で悩むことが多かったのですが、その都度親身に素早く対応してくださいました。
例えばアプリ同士でのデータの出し入れで、データが書き換わってしまったことがあったのですが、「こうやれば大丈夫ですよ」と優しく解決策を教えてくれました。
いつもフォローが丁寧で、分からないことを聞きやすかったのでとても助かりました。

アールスリー和田・青木
仕様検討で機能の要/不要を深堀りするのは、アールスリーが行う開発や構築支援の基本です。アールスリーは現場で役に立つアプリを作るために、業務フローや社内事情をよく理解することに重きを置いています。お客様の業務がより良いものにならない場合は「これは、やらなくて良いんじゃないでしょうか?」とお伝えします。こうした基本理念があるので「自分ごととして取り組んでくれた」とご感想をいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます。


業務を深く理解し、自分ごととして開発してくれた
Q:最後にアールスリーの開発を検討中の会社様にメッセージをお願いします。
城戸様
アールスリーは当社の業務を深く理解し、自分ごととして開発してくれました。kintone開発の引き出しが多いので、相談すれば、その内容に沿った手段やアイデアを、素早く丁寧に提案してくれると思います。

取材:2025年6月
貴重なお話をいただきありがとうございました。
アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。