高島株式会社様 事例紹介

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kintoneで見積作成システムを開発し、約300種類の見積フォーマットを統一。見積作成業務を標準化し、属人化を解消。

高島株式会社
経営統合本部 IT統括部 ITソリューションユニット
ユニットマネージャー 樋田 義史 様
チーフ 小林 雄大 様
建材事業本部 住建事業統括部 住宅・断熱ユニット
営業 佐藤 佑樹 様
事務リーダー 木村 瞳 様

高島株式会社様は省エネ・省力化・軽量化に関する事業を展開している商社で、太陽光発電やビルの建築材料などの商材を扱っています。この度、見積作成システムをサイボウズ社のkintoneとアールスリーの開発により構築されました。開発に携わった皆様に、開発の経緯やkintoneの導入効果についてうかがいました。

約300種類あるExcelの見積フォーマットを統一し、業務をアウトソーシングしたい

Q:見積作成システムを作る前は、同業務はどのような状況でしたか?

事務リーダー 木村様

以前は、全社で約300種類のExcelの見積フォーマットが存在していました。営業ごとに独自のフォーマットを持っていて、得意先ごとにも形式が異なっていたからです。異動や退社があった際の引き継ぎは困難でした。また、見積作成は私を中心に1〜3名で担当していたので、私にしか分からないことも多く、業務は属人化していました。何パターンもの作成手順を覚えなければなりませんでしたし、多い日で1日40件ほど対応していたので、1つのテンプレートにまとめたいと思っていました。「私が倒れたら業務が全部止まる」と感じていて、気を張っていましたし、残業も多い方だったと思います。

木村様

高島様は建築資材を扱うので、物件名・図面・必要な資材の名前とその数量などが記された注文データを参照しながら見積を作成する。見積作成には商品知識や経験が必要であり、Excelフォーマットが300種類もあることと相まって属人化、重労働化していた

Q:大量の見積フォーマットからの脱却や、見積作成業務の属人化を解消するために動き出されたのですね。見積作成アプリとその開発について詳しく教えてください。

住宅・断熱ユニット営業 佐藤様

最初のきっかけは、私が独力でExcelの見積フォーマットをkintoneに移行するアプリを作り始めたことです。ただ、通常業務と並行していたため時間がなく、自分一人だけであれば使えるものにはなりましたが、色々な人が使えるようにするためには技術力が足りませんでした。そこで、他のアプリを一緒に作成した実績があり、信頼しているアールスリーに開発を依頼しました。

佐藤様

見積作成の標準化と外注化に成功。3人必要だった業務が1人で可能に

Q:アールスリーにはどのような開発を依頼しましたか?

住宅・断熱ユニット営業 佐藤様

アールスリーとの開発では、見積フォーマットの標準化、見積作成業務の外注化による社内工数削減、基幹システムと連携することによる受発注業務の効率化の3つを目指しました。そのため、開発には見積作成を一手に引き受けている木村さんにも入ってもらいました。

開発では、営業がそれぞれ持っていた約300種類のExcelの見積フォーマットを何パターンかにまとめ、kintoneの見積作成アプリで雛形として呼び出せるようにしました。

約300種類の見積フォーマットを数パターンにまとめるためのアールスリーの提案資料

得意先情報や商品価格などもkintoneに登録し、見積の雛形を呼び出すと見積作成に必要なデータが自動的にセットされる仕様にしました。また、作成した見積を上長に確認してもらうためのワークフロー機能も実装しました。アプリを使うことで木村さんのノウハウがなくても見積作成が可能になり、業務を外部委託する土台ができました。

得意先ごとに見積書の雛形を作成。見積作成者は合致する雛形レコードを「再利用」して見積を作成する。新規に作成されたレコードには、見積に必要なデータがあらかじめセットされている

事務リーダー 木村様

見積作成業務の外注が始まってからは、もっと使いやすいアプリにするために改良を行いました。二次店(販売代理店)用の特別価格を入力するケースが多数あり、価格表を参照しながら手入力するのが大変だったためです。この改良で、定価がセットされている見積の画面から「価格更新ボタン」を押すだけで特価に更新できるようになりました。外注先の手入力が原因によるミスもなくなりました。

二次店(販売代理店)からの注文の場合は、代理店専用の価格に置き換える必要がある。「価格更新」ボタンを押すと、通常価格から二次店(販売代理店)専用の価格に置き換えられる

今では私の仕事は、外注先が作成した見積内容をワークフロー機能で確認し、承認するという内容に変わりました。承認されたら見積書をPDFで出力できる仕様にしており、外注先が見積書を出力して得意先に提出します。また複数の外注先に委託しているため、お互いのレコードを閲覧できないようにするなど、権限も細かく設定しています。

こうして、私一人に集中していた作業は大幅に軽減され、倒れられないという緊張感や残業も減少しました。また、社内に3人必要だった見積作成業務は管理者1人と外注先で回せるようになり、同作業にかかるトータルの人件費も削減できました。

外注先が「申請ボタン」を押すとワークフロー機能を通じて木村様に承認依頼が飛ぶ

承認された見積書はPDFでダウンロードできるようになり、外注先から得意先に送信される

基幹システム連携で、受発注業務も大幅に効率化

Q:見積作成アプリは基幹システムとの連携も行ったそうですね。この開発フェーズについて教えてください。

ITソリューションユニット チーフ 小林様

当社では正式な受発注を基幹システムで行うのですが、以前は基幹システムに受注データを手入力していました。これを効率化するためにkintoneと基幹システムを連携し、受発注の入力を行う際にkintoneで作られた見積データを利用できるようにしました。この見積作成アプリの基幹システム連携はIT統括部が主導し、連携するための課題をアールスリーと一緒に解決しました。

小林様

事務リーダー 木村様

基幹システムとの連携で一番難しかったのは、kintoneではテーブルの行を分けて入力しているデータを、基幹システムに連携する際には1行にまとめる必要があるケースでした。まとめる対象の明細に「一式コード」という名称で基幹システムのコードを入力する方法でこの希望を実現しました。こうした難しい要望を依頼する時には、ITソリューションユニットの小林さんとアールスリーの力をたくさんお借りしました。

見積番号を基幹システムで検索すると該当の見積データが基幹システム上で表示される。見積作成アプリのデータを流用することで受発注業務が効率化された

見積作成アプリの功績が認められ、佐藤様、木村様が社内で表彰

Q:見積フォーマットの標準化、属人化の解消、見積作成コストの削減、基幹システムでの受発注業務の効率化など、とても大きな成果を得られたのですね。素晴らしいですね!

住宅・断熱ユニット営業 佐藤様

このシステムを構築したおかげで、見積作成業務に必要な社員数(人工)が半減し、トータルの見積作成コストが減少しました。また異動や退職があっても誰も困らない状況になりました。これが会社に評価され、事務リーダーの木村さんと私は社内表彰をいただくことができました。管理職の方々からは、非常に助かっているという声もいただいておりとても嬉しいです。

アールスリー浅賀・青木 

それはおめでとうございます!私たちも嬉しいです。

木村様・佐藤様がマネージャー大会で社内表彰。賞状を授与された

アプリの使いやすさを向上させるために親身になってくれた

Q:今回の開発では営業現場の皆様が中心となりアールスリーと開発を進めましたが、開発の感想をお聞かせください。

住宅・断熱ユニット営業 佐藤様

私たちが開発で実現したいことは、社外の人になかなか伝わらないニッチな内容であることが多いのですが、アールスリーはその要望を噛み砕いて素早く理解してくださいました。弊社の業務を深く理解してくださっていればこそです。

事務リーダー 木村様

私は開発が初めてで、システムのことはよく分かりませんでした。実務的に「こうしたい、ああしたい」と構想をアールスリーにお伝えすると、アールスリーの青木さんはちゃんと理解しようとしてくれて、「こうですか?ああですか?」と確認しながらアプリを形にしてくれました。凄くありがたかったです。また、権限設定やアプリの使い勝手に関する改良の際の相談にも親身に対応して改善してくれました。おかげで外注先がスムーズにアプリを利用できています。

アールスリー青木より

本開発では、まず高島様の見積作成業務を理解することを意識しました。業務を理解すると実際に使う時のイメージが湧きやすくなりますし、お客様とのやりとりの中で「どこに重点を置いてほしいのだろう?」「本当はこういうことを言いたいんじゃないだろうか?」と想像しやすくなるためです。また、お客様の要望を可能な限り実現したいという気持ちがあったので、難しい要望をいただくと嬉しくて、とことん悩みながら開発をしました。うまく利用できているということでホッとしました。ありがとうございます!

アールスリー 青木

現場主導での開発・保守が進んでいくのが理想

Q:今後のkintone活用について、どのような展望をお持ちですか?

ITソリューションユニット ユニットマネージャー 樋田様

kintoneは本来ノーコード・ローコードなので利用部門で作っていけば良いと思いますが、作って終わりではなく、どう使い続け、改善していくかというところが課題です。現場主導での開発・保守が進んでいくのが理想ですが、開発の内容によっては外部のプロの力を借りる必要があり、それには外注費用が必要です。利用部門が費用を納得できるか、あるいは全社的な予算として対応するのかなど、どうしていくのが一番ベストなのか、ブレークスルーするアイデアを考えていきたいですね。

樋田様

アールスリーは屈託のない意見をくれる心強い開発パートナー

Q:最後に、同じようにExcelで業務をされていたり、kintone導入やベンダーとの開発を検討されている読者の方々へメッセージをお願いします。

住宅・断熱ユニット営業 佐藤様

私にはアプリのアイデアは沢山ありますが、アプリを作る時間がないことが悩みでした。見積作成アプリは独力で作り始め、通常業務を並行して行っていました。そのため全社で使えるアプリに仕上げるには開発にかける時間も技術力も足りませんでした。アールスリーはこんな時にピッタリです。開発の後半は事務リーダーの木村さんにほとんどを任せていましたが、アールスリーは木村さんと実際の業務に寄り添って使いやすいアプリを完成させてくれました。

ITソリューションユニット チーフ 小林様

開発の属人化(IT部門への集中)が課題と感じているので、その解決策として外部のベンダーを活用して、保守も含めてお願いするというのは有効な方法だと考えています。アールスリーはITリテラシーがない方でも丁寧に付き合ってくれますし、「そもそもkintoneでやるべきなのか?」というところから屈託のない意見をくださるので、心強いパートナーになってくれると思います。

(左から)アールスリー 浅賀、小林様、木村様、佐藤様、樋田様、アールスリー 青木

貴重なお話をありがとうございました。

取材:2025年5月


アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。